【フルサイズ vs APS-C】論争に終止符を!オールドレンズ愛好家が語る「正解は人それぞれ」

Fullsize or APS-C Battle

レンズ交換式カメラ界には、凡人が決して足を踏み入れてはいけない「聖域」、熱い議論が交わされる世界が存在します。
キヤノン vs ニコン、一眼レフ vs ミラーレス…いろいろある中、最も根深く・最も多くの迷える子羊を生み出しているのが「フルサイズ vs APS-C」論争です。

目次

終わらない聖戦?センサーサイズ論争

こんにちは!ご訪問いただきありがとうございます。

「フルサイズこそ真のカメラだ!」
「いや、APS-Cで十分だ!」
そんな会話やネットでの論争を見たことがあるかと思います。

最初に私の立場を明確にしておきましょう。私は「フルサイズ」に一票を投じます。
なぜなら私は「フルサイズ至上主義者」だから、です(笑)。
いえ、もっと正確に言うなら「オールドレンズの本来の画角を愛しすぎている」が故に「センサーによりクロップされることに罪悪感すら覚える(厄介な)フルサイズ愛好家」だからです。

ですが、今回はその偏愛をグッとこらえ、いち個人として、そしていちカメラ愛好家として、この論争に「私なりの終止符」を打ちたいと思います。もちろん、賛否両論はしっかりと受け止めさせていただきます🖐️

では、その結論から申し上げます。
「どっちが良い」という正解はない。
「何を撮りたいか」によりどっちが良いか?は、変わる。
これだけです。

プリン

なんだ、ありきたりの結論じゃないか😾

はい、そう思われたかもしれません。
しかし、そのありきたりの答えにこそ、あなたが幸せになれるカメラ選びのヒントが隠されています。
本記事ではスペック比較だけでなく、「体験としての違い」を深掘りしていきますので、よろしくお願いいたします!

そもそも「フルサイズ」「APS-C」とは何か?

まずは基本のおさらいから。この違いを理解していないと、この先の議論がすべて無意味になります。
答えはシンプルで、カメラ本体の心臓部ともいえる「イメージセンサー(撮像素子)」の「大きさの種類」です。

レンズを外したとき、奥に見えるキラキラした部分がイメージセンサーです。
以下、2台のカメラの写真をご覧ください。

←フルサイズ・APS-C→

フルサイズ⇔APS-C

全然大きさが違うのがお分かりいただけると思います。

  • フルサイズ(約36mm×24mm)
    • 昔の35mmフィルムとほぼ同じサイズ。←ここ!重要です✨
    • 今も出来上がる写真の”基準”となる大きさ。
  • APS-C(約23.6mm×15.8mm)※代表例
    • フルサイズよりひと回り小さい(約3分の2)。
    • メーカーによって微妙にサイズが異なる(Canonは少し小さめで約8分の5)。

サイズが違うと「画角が変わる」

センサーサイズが違うと何が起きるか。一番わかりやすいのは「画角(写る範囲)」の変化です。

同じレンズ(例えば50mm)を付けた場合:

  • フルサイズ: 50mmそのままの広さで写る。
  • APS-C: 真ん中を切り取る(クロップする)形になるため、望遠気味になる(約1.5倍〜1.6倍)。つまり、75mm〜80mm相当の画角になる。

APS-Cは望遠に寄る、というとメリットとも言えるのですが、私のようなオールドレンズ愛好家を悩ませる呪縛(大げさ?)でもあるのです。

実際の写真で比べてみる

言葉でいくら熱弁しても伝えるのは難しいですよね。百聞は一見に如かず、ということで…

ここに、ズームできない単焦点レンズをひとつだけ準備して、撮影者は同じ立ち位置で被写体との距離は全く変わらないという条件で、カメラだけを「①フルサイズ」と「②APS-C」で取り替えて撮影したと想定すると、結果はこうなります。

①フルサイズのカメラで撮影

①フルサイズのカメラで撮影

②APS-Cのカメラで撮影 ※注

②APS-Cのカメラで撮影

いかがでしょうか。
「え?ズームしたんだよね?」と思われたのであれば、不正解です。
レンズはズームできないし、撮影者は全く移動していません。腕も伸ばしていないので全く同じ位置です。

でも望遠に寄っているだけでしょ、と言われたらそうかもしれませんが、実際は「切り取って拡大」されているため、その分「レンズが持つ表現力が、およそ3分の1は失われている」ということになります。
APS-Cの立場から言えば「フルサイズの1.5倍(キヤノンは1.6倍)、望遠寄りで撮れる」ですね。

ここがポイント!考え方の分かれ目になります!

それくらいなら気にしないとか、そこまでボケは要らないということであれば、もしオールドレンズを持っていてもフルサイズである必要はありません。
私としては、レンズの表現力を最大限生かしたい=写真にしたいので、フルサイズがいい!と思うわけです。

…だからといって、オールドレンズを使うときは必ずフルサイズ!というほど、頑なにこだわっているわけではありません。作例のとおり、APS-Cの範囲でも撮り方によっては十分にボケを味わうことができるためです。

ついでに、もう一枚ご覧ください。

③マイクロフォーサーズで撮影 ※注

③マイクロフォーサーズで撮影

APS-Cよりもさらにイメージセンサーが小さい「③マイクロフォーサーズ」は、なんとフルサイズの半分です。フルサイズと比べると、被写体がかなりクローズアップされる結果となりました。
マイクロフォーサーズ側からすると「フルサイズより2倍望遠寄りに撮れる」となります。

「フルサイズより〇倍望遠寄りに撮れる」ことを、専門用語で「フルサイズ換算」と言います👍
50mmのレンズをAPS-Cで使うとき、「フルサイズ換算75mm(キヤノンは80mm)」となります。

※注:②と③の写真は、①のフルサイズで撮影した写真を、各センサーサイズで撮影したと想定したものです

2. APS-Cを選ぶべき理由:機動力とコストパフォーマンス

以上、撮れる写真の画角が変わることをご理解いただいたところで…続いては、あえて私が愛するフルサイズではなく、APS-Cのメリットについて語らせてください。なぜなら、現代のAPS-C機は驚くほど優秀だからです。

フォトあ

普通にAPS-Cのカメラも愛用してますので👍

プリン

浅いフルサイズ愛好家ですねぇ💧

① 「軽さ」と「小ささ」の恩恵

「カメラは持ち出さなければただの文鎮」という格言?があります。
フルサイズ機は、センサーが大きい分、ボディもレンズも大きく重くなりがちです。一方、APS-C機はコンパクト。
実際のところ、ミラーレスカメラではそこまで大差はなくなりましたが、デジタル一眼レフでは大きな差がありました。
家族旅行、散歩、種類によっては通勤カバンに忍ばせても苦にならず、いつでもスナップ撮影ができるイメージです。
「撮るチャンスを逃さない」という点において、取り回しの良いAPS-Cは最強です。

EOS 5D mark iii EOS Kiss X3

② 望遠撮影に強い(1.5倍の恩恵)

野鳥、鉄道、飛行機、そして運動会で躍動するお子さんを撮りたいとき。
つまり「遠くのものを大きく写したい」場合、APS-Cの「”勝手に”1.5倍(キヤノンは1.6倍)になる(望遠になる)」特性は、かなり恩恵に変わります。
フルサイズで300mmのレンズを使用すると重く大きくなりがちですが、APS-Cなら200mmのレンズでフルサイズ換算300mm(キヤノンは320mm)となり、同等の画角が得られます。機材のサイズも金額も、桁が変わってきます。

③ お財布に優しい

②でも触れましたが、ボディもレンズも、フルサイズに比べて安価です。
初心者向けにエントリー機も豊富に用意されており、まさに最初のレンズ交換式カメラにちょうどよい設定となってますね。
もしかしたら、フルサイズをやめてAPS-Cを選択すれば…浮いたお金で旅行に行ったり、美味しいものを食べたり…あるいは、別のレンズを買ったりできます。金銭的な余裕からくる安心感で言えば、APS-Cの方が上と言えるでしょう。

④ 著しく進化している

最近のAPS-C機の進化は目を見張るものがあります。
イメージセンサーが小さい分、フルサイズに比べて不利だった「光を集める力」は、デジタル技術の猛烈な進化により、もはやデメリットと感じるレベルではなくなってきています。
この進化こそ、「もうフルサイズは要らない」というご意見の増加に繋がっているのでしょう。

キヤノンの公式サイトで「EOS R7」の詳細をご確認ください。

ISOが32000とか、測距点が5915など!
10年~20年以上前の中古デジタル一眼レフを扱っている私はガラパゴス状態です😱

プリン

・・・そもそも語る資格など無いのでは😹

3. フルサイズを選ぶべき理由:表現力の深淵へ

さて、いよいよここからは私のホームグラウンドとなります。軽く読み流してください!
なぜ、大きくて重くて高価なフルサイズを選ぶのか。そこには「数字には表れない魅力」があるからです。

私の場合、「昔の機種を中古で安く買う」が主なので”高額”は当てはまりません🙇

① 「ボケ」の量と質

よく「フルサイズはボケる」と言われますが、これは事実です。
前述の作例で、フルサイズで得られていた周辺の”ボケ領域”がAPS-C以下では失われていたことが証拠です。
もしAPS-C機で、①のフルサイズに画角を合わせるべく後ろに下がって撮影しても「周囲が切り取られる」という条件は変わりありません。
トロトロにとろけるような背景ボケを生かした風景写真やポートレートを撮りたいなら、フルサイズ一択と言っても過言ではないのです。

写真はボケが大きいほど魅力を感じる!という方であれば、やはりフルサイズが有利なのでおすすめです♪

NIKON D700
NIKON D700

② 豊かな階調(ダイナミックレンジ)

センサーが大きいということは、「光を受け止める面積が広い」ということです。
明暗差の激しい夕暮れ時や、夜景撮影において、黒つぶれや白飛びへの耐性が強いです。
撮影の段階でも実感しますが、RAW現像のときなど「おっ、まだイケるか!」みたいな感覚になるので、やはりフルサイズ機に軍配が上がります。

EOS 5D Classic
EOS 5D 初代

③ 【重要!!】レンズの「本来の力」を享受することができる

きました!ここです。私がフルサイズを使い続ける最大の理由はここにあります。

何度も言いますが、私は”オールドレンズ”に魅力を感じている人間です。
最初に購入したオールドレンズが、50年前に作られた「Super Takumar 55mm F1.8」でした。このような昔のレンズは、35mmフィルムで使うことを前提に設計されています。このフィルムの大きさに合わせたのが、フルサイズのイメージセンサーなのです。
よもや、将来「周囲が切り取られた写真が生み出される可能性」を、当時の開発者が想像していたでしょうか。

レンズのクセで周辺部が少し暗くなったり(周辺減光)、柔らかなボケが出たり。そういった「レンズの味」は、画面の隅っこにこそ宿ります。

APS-Cで使うと、その「一番美味しい隅っこ」が切り捨てられてしまうのです!
「目玉焼きなら白身の外縁を、あんかけスパなら周りのあんを捨てるようなものだ!」
…微妙な例えで失礼いたしました💧
何が言いたいかというと、オールドレンズが持つ力、そしてその世界観を削ることなく、余すことなく味わいたいなら、フルサイズのみが最適解なのです。

当然、レンズのクセは「欠点」でもあるので、周辺が暗くなったり流れたり、歪曲したら困る状況=”美しい景色”をそのまま高精細で撮りたい!といった状況では使用を避けなければなりません。

オールドレンズを中心に、こちらの記事でもフルサイズの良さを訴えております(笑)。
よろしければご一読ください♪

4. 実際のシーン別:あなたにおすすめなのはどっち?

抽象的な話が続いたので、このコーナーでは具体的なシチュエーションで判定しましょう。

ケースA:週末の家族旅行やカフェ巡り

判定:APS-C(またはマイクロフォーサーズ)
荷物は軽い方がいい。カフェのテーブルフォトで、フルサイズの巨大なレンズを向けるのは威圧感があります。サッと取り出してサッと撮る。これにはAPS-Cのほうが有利です。
家族旅行の写真は、旅の思い出を残すため。なので、景色が豊かにボケた記念写真などヒンシュクを買ってしまいますよね…
まさにカメラもレンズも適材適所なのです。

ケースB:子供の運動会やサッカーなどの試合

判定:APS-C
またまたAPS-C💦
運動会など、望遠有利なAPS-Cの独壇場ではないでしょうか。フルサイズでしっかりとした望遠レンズを買おうとすると、本当にビックリするような価格になりますが、被写体への距離という面で考えれば、キットレンズの望遠ズームでも十分、迫力のある写真が撮れます。

ケースC:本気の風景・静物撮影

判定:フルサイズ
広角レンズを「本当の広角」として使いたい場合や、ノイズを極限まで減らしたい星空撮影では、フルサイズの底力が光ります。

ケースD:リサイクルショップで1000円のレンズを救出

判定:フルサイズ(推奨)
ようこそこちらの世界へ。
ジャンクコーナーに転がっている1000円前後のレンズは、ほぼフィルム時代(=フルサイズ)のレンズたち。彼らに「現役時代の役目」を完全に取り戻してあげるためには、フルサイズのボディが不可欠です。

…とはいえ、最近は昔のレンズをAPS-C機を含むミラーレスカメラに「マウントアダプター」をつけて楽しむのもひとつの選択肢となっています。
APS-C機の場合、オールドレンズ特有の周辺部のクセが取り除かれ、中心部の「画質の良い部分だけ」が写真になるので、これを”メリット”と捉えるのであれば、実はAPS-Cでもオールドレンズを楽しめるといえます(私は不服ですが😅)。

判定は、以上です。

これらの結果を見たら、「やっぱりAPS-Cでいいじゃん!」となりそうですね。
まぁフルサイズに誘導したいわけではないので、フラットな見方をしているということでご理解ください👍

私、ジャンクレンズについても熱く語っております!
カメラ界の底の底もいいところですが覗いてみてください💧

5. 結論:迷ったら「レンズ」で決めよう

長々と語ってきましたが、カメラ(センサーサイズ)はあくまで「受け皿」です。
写真の魅力は「レンズ」の力が大きく反映します。

レンズには、フィルムカメラ時代からの「フルサイズ専用設計」のものがあれば、デジタル一眼レフカメラが誕生したとき(当初はAPS-Cから始まった)、「APS-C専用設計」のタイプもあります。

APS-Cタイプのカメラに付いてくるキットレンズは、基本的にAPS-C専用設計となっています。

  • 使いたいレンズが、コンパクトなレンズならボディも APS-C で軽快に。
  • 使いたいレンズが、とろけるようなボケ味を持つ大口径レンズや、癖のあるオールドレンズなら フルサイズ で濃厚に。

もし、あなたが今、「初めての一台」で迷っているなら、私の答えはこうなります。

  • トータルで費用を抑えたいならAPS-C
  • ボケより”芸術性”より機動性・実用性を重視するならAPS-C
  • スマホでは得られないボケを思いっ切り体感したいならフルサイズ。
  • オールドレンズの力をフルで発揮させたいならフルサイズ

他に、予算が十分にあるという場合もフルサイズが浮上しますが、型落ちや中古市場で初期のボディを探せば初期費用を抑えることは全然可能です。

フォトあ

私のように✋

そして、どちらを選んでも「明るい単焦点レンズ」を、ぜひ一本買ってください。
その方が写真は間違いなく楽しくなります。

そして、写真を続けていくうちに、「もっとボケが欲しい」「オールドレンズの周辺減光を味わいたい」という業(ごう)が深くなってきたら……。
その時は、フルサイズの世界へ行きましょう(笑)。

フォトあ

私と一緒に👍

ジャンクレンズを集めながら、底なしレンズ沼から手招きしてお待ちしております。

プリン

怖い怖い怖い🙀

ジャンクレンズの話ばかりしていてもドン引きされてしまうので、「単焦点レンズ」の魅力も知ってください。
焦点距離50mmの単焦点レンズについては、こちら。

85mmの単焦点レンズについても記事を書いていますので、ぜひご覧ください。

あなたの結論は出ましたか?

「フルサイズ vs APS-C」。
もうこれ以上、戦う必要はありません。それぞれに得意分野があるので、撮る人がメリットを感じるほうを選ぶのが一番です。
私はフルサイズ至上主義と言いながら、APS-Cもマイクロフォーサーズも所有し、どれも楽しく使わせてもらってます。

どれを選んでも「頼もしい相棒」であることに違いはありません。
ということで、このあたりで締めさせていただきます!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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