皆さんは、ジャンクと呼ばれるカメラやレンズを買ったことはありますか?
ジャンクとは、ざっくり言うと「動作保証していない商品」ということになります。
Wikipediaの記載では、「故障品と同義」とあります。
ジャンク品(ジャンクひん、英語:Junk、故障品と同義)とは、そのまま使える見込みがないほど故障損耗し、本来の製品としての利用価値を失っている品物。販売店による動作保証のない商品もジャンク品と呼ぶことがある。ジャンク、ジャンクパーツと呼ぶこともある。
Wikipedia より引用
しかし、カメラの世界で扱われているジャンク品となると、実は故障品とは限らなくなってきます。
特にレンズについては、動作こそ正常だけど「内側のレンズにカビがあって取れない」とか、「カメラ本体が無くて動作するか分からない」など、故障していない可能性のある製品が含まれることがあります。
そこで今回、タイトルの通り「100円のジャンクレンズ」を一度に5本!購入してみました。
とある中古カメラ市で「ジャンクコーナー」と呼ばれる一角にまとめられた中でも最安となる、「100円(税込)」の値札がつけられたレンズに絞りました。
まさに「レンズの100均」です♪
いやー…またゴミが増えちゃうのでは…
果たして、全部ダメなのか、使い物になるものがあるのか。まさに運試しです。
税込合計「500円」!ワンコインです
さて、早速ですが結果を発表します!
- 正常に撮影できたレンズ・・・3本
- 完全に故障品だったレンズ・・・2本
3本も使える!これは、思った以上の結果でした。
5本のジャンクレンズのうち、3本も正常に使用できたのは正直驚きでした。何しろ1本100円。全部アウトということも覚悟していたからです。
では、5本それぞれについて、詳しい内容を書いていこうと思います。
狙い目は「マニュアルフォーカス」のレンズ
まず、故障していないのにジャンクになりやすいレンズは、以下のような特徴が挙げられます。
- 昔のキットレンズ(カメラ本体とセットで売られ、もともと安価で流通量が多い)
- フィルムカメラ時代のレンズ
- ズームの範囲が標準的なレンズ
- 絞り開放値が標準的なレンズ
- カビが内部にあり、分解しないと除去できないレンズ
- 中途半端にオールドなレンズ
機械的な観点とは別に、フリマサイトでは状況や条件によりジャンクとしている場合もあります。
- 家族、知人から譲り受けたけど、使い方が分からない
- カメラ、またはレンズを手放して動作確認ができない
- 古いし汚れてるし、クレーム防止のため、とにかく「ジャンク」とする
当然ですが、オートフォーカスが不動・不調なレンズも数多くありますので、ここでは「故障していないレンズ」に対象を絞ることにします。
共通点は「そもそも低価格で、数多く出回っているレンズ」が、故障がなくてもジャンクになりやすいと言えます。
今回、無事に使うことができた3本の内訳は、以下のとおりです。
- CANONマニュアルフォーカスレンズ、カビ無し
- TOKINAマニュアルフォーカスレンズ、カビ少しあり
- TAMRONオートフォーカスレンズ、カビ多め
「正常に動く」のカラクリ
ここまで読んでいただいてお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、ひとつ”種明かし”をします。
実は3本も正常動作品だった、といっているうち2本は「マニュアルレンズ」で、「オートフォーカスレンズ」のような電気機械式の複雑な仕組みを持たないレンズでした。
つまり、より新しいレンズと言える「オートフォーカス系レンズ」は、ジャンクの世界において、故障している確率がかなり高まります。
今回「正常に使うことができた」というレンズのうち、オートフォーカスは1本でした。そして、故障していた2本のレンズはどちらもオートフォーカスで、ピントが合わない・シャッターが押せないといった問題がありました。
5本のジャンクレンズをレビュー!
ジャンクの箱にあるようなレンズなんか買うことはないな…という方には無意味かもしれないですが、それぞれのレンズについてレビューをしていきたいと思います。
1位:CANON ZOOM FD 70-210mm 1:4
今回、最も大当たりだったレンズです。
全ての動作がスムーズで、レンズにもカビ・クモリの見当たらない、まさに極上品とも言えるレベル。
純正の前後レンズキャップ付き、というのも個人的には評価できるポイントです。
ジャンクレンズというと、ほとんどの場合キャップは無くて、レンズがむき出しで転がっていることが多いのです…
ではなぜ100円となってしまったのでしょうか。
推測ですが、先に挙げた特徴となる「ズームと絞りの範囲が微妙=現代においてはスペックが平凡であること」と、マウントが「キヤノンFDマウントであること」がネックなのだと思います。
FDマウントは、マウントアダプター無しでは使えない、フィルムカメラ時代の遺産ともいえるマウントです。
他には「中古カメラ市」の客寄せという位置づけであった可能性もあります。
2位:SIGMA HIGH-SPEED ZOOM 80-200mm 1:3.5 (F3.5)
スペックは、1位のキヤノンズームレンズと近いものとなります。
このあたりのズームレンズは、ジャンクの常連かもしれないですね。
こちらのレンズはチリが多く、カビがチラホラ見える感じですが、写りにはさほど影響はなく、なかなか良い写真が普通に撮影できました。
※ニコンFマウント
3位:TAMRON AF ASPHERICAL 28-200mm 1:3.8-5.6 LD
これ以降のレンズは、”ジャンクらしいジャンク”となります。
このレンズはオートフォーカスで唯一正常に動作しますが、レンズに「大カビ」が発生しており、ソフトフォーカスのような描写となってしまいます。
まともに撮影することはできないため、ふんわりした描写を楽しむといった「マニアック」な楽しみ方をするか、分解して中のレンズ掃除に挑戦してみるか、それくらいの用途しか思いつきません。
ただし、しつこいようですが正常に動作して100円は”買い”です!
一般的なリサイクルショップでは500円、5倍はするでしょうから(笑)
4位:TOKINA AF 35-300mm 1:4.5-6.7
ここからの2本は、「完全なる故障品」という残念な結果となったレンズです。
こちらは、装着しても「接点エラー」でオートフォーカス・マニュアルフォーカスともに不可。
前後キャップやレンズフードなどの付属品も無し。
ズームは10倍近い高倍率で、今回もし動けば1位だったかもしれません。
レンズは薄いクモリがありましたが、逆光でなければ許容範囲の写りになると思います。
※SONY/MINOLTA αAマウント
ちょっとした裏技…
故障しているのに最下位としなかった理由がひとつあります。
それは、レンズの接点をセロハンテープなどで塞ぐことで、「マニュアルレンズ」として使用できるからです。
カメラ⇔レンズ間で接点が通じてしまうと、故障したレンズと判断され「シャッターが押せない状態」となってしまうのですが、テープのような絶縁体を挟むことで、通電を防ぐわけです。
ただし、異物(テープ)がカメラの接点に触れる状態となるため、あまり積極的におすすめはできませんが、オールドレンズを使用するような感覚で使うことは可能となります。
遊びで使ってもよい本体がある場合などは、ちょっと試してみる価値はあります。
最下位:CANON ZOOM EF 35-105mm 1:3.5-4.5
今回一番残念だったレンズで、こちらは完全故障品でした。
シャッター半押しすると、ピントを合わせようとピントリングは動作しますが、どうやってもピンボケ状態で、マニュアルモードでの撮影すらできず、どうにもなりませんでした。
ただし、隣に写っているキヤノン純正のレンズフード込みだったため、元は取れたといえるかもしれません(笑)
まとめ
激安ジャンクレンズ、いかがだったでしょうか。
今回は5つの100円レンズを購入し、3つのレンズを使用することができました。
ただし、そのうち2本はマニュアルフォーカスのオールドレンズで、オートフォーカスのレンズは使えない確率が高まることを実感しました。
宝探しではないですけど、くじを引くように当たりはずれを楽しむことはできると思います。
分解してみるのも一手です
何しろジャンクレンズは格安なので、分解して構造を勉強するというのも一つの手です。
私、何本も分解してきましたが、数本はダメにしてます💧
だったらおすすめしないほうがよいのでは💦
マニュアルフォーカスのレンズは分解しやすく、元に戻しやすいので、カビの生えた中玉レンズを清掃し、まずまず綺麗にしたこともあります。
逆に、オートフォーカスのレンズは分解が難しく、内部の配線を断線してしまい、回復不能としたこともあります。
悪化すること=処分することも覚悟で分解するのであれば、アリだと思います。
ジャンクを買ってしまう理由とは
私は、カメラに費やす資金が豊富ではない、という切実な理由もありますが、それだけではありません。
「素晴らしいカメラとレンズで素晴らしい写真を撮れること」より、設計が古くなって見向きもされなくなったり、スペック的に落ちこぼれたりして、墓場(=廃棄)一歩手前のジャンク棚に転がりこんでしまったレンズが、「まだまだ頑張れるよ!」って底力を見せてくれる瞬間がたまらなく好きなのかもしれません。
実にマニアック。ここまで読んでくれる人ってどれくらいいるのかな❓
もう、普通の感覚では理解されない世界かもしれないですが、単純に「お金をかけなくても、良い写真は撮れる!」ということに魅力を感じているのは確かです。
中古カメラ市に行ってみよう
今回のレンズは、「名古屋カメラプロショップメンバーズ様」主催の中古カメラ市で購入しました。
紹介したような数百円のジャンク商品はもちろんメインではなくて、中には数百万円もする貴重なクラシックカメラも販売されたりしています。
こちらの中古カメラ市は数日間、百貨店で開催され、そのうちの2日程度「ジャンクカメラ掘り出し市」が実施されていたので、その日を狙っていってみました。
各地域で、様々な中古カメラ市が不定期で開催されていますので、ぜひ足を運んでみてください。
ジャンクレンズ、一本でもよいので試してみてはいかがでしょうか。
アタリを引くかハズレを引くか、それはあなたの運次第!?
新旧、ピンキリ…あれこれ体験して楽しい写真ライフにしていきましょう♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。