どれだけ写真を撮影しても、どんないいカメラを使っても、何か平凡で物足りない仕上がりになってしまう…
そういうときは、「構図」を知っておくと解決する可能性が高いです。
構図とは?
そもそも構図って何?
写真における「構図」とは何か?単純というと、
「できあがった写真の主題や背景が、見る人に心地よいバランスで配置されている状態」
のことを指します。
そして、良いと言われる構図にはいくつものパターンがあるのですが、最初からあれこれ覚えようとする必要はありません。
代表的な構図を頭に入れておけば、とりあえず「ちょっと違う写真」を撮ることができます。
構図に捉われすぎない!
構図は「ちょっと違う写真」を撮るためにも大切ですが、考えすぎるのもよくありません。
- 構図が気になってなかなかシャッターを押せない
- 撮ろうとしている風景の中に当てはまる構図がない
- 構図を覚えても、いざ撮るときにはパッと出てこない
私も意識し過ぎてシャッターが押せなくなるときがあります。
マスターしているわけではないんだねぇ…
「構図」を知ったことにより、今度はその知識に振り回されてしまうのです。
結論から言うと、写真の構図は気にし過ぎなくても大丈夫です!
…ポイントは「気にしない」ではなく「気にし過ぎない」という点です。
どんなことでも”気にし過ぎ” は楽しくなくなるので、肩の力を抜きましょう。
とは言え、あまりにも気にしないでいると平凡な写真を量産してしまいます。
この記事では、代表的な写真の構図3つと、構図に対する心構えを2つ、お伝えします。
できあがった写真に自信が持てるようにしましょう。
そして、会心の一枚が撮れる確率を上げていきましょう。
写真の構図3点
日の丸構図
まずは、ダントツで一番多いであろう構図、「日の丸構図」です。
撮りたい対象を見つけて、ど真ん中でシャッターを切る。
ごく当たり前の、写真の撮り方です。
ところが、皆さんが普段やっているこの撮り方が、この「写真の世界」では割とNG扱いされてしまいます。
主役が中央にある写真を「日の丸」に例え「日の丸構図」と呼ばれていますが、一般社会では自然な撮り方です。
日の丸構図だってNGじゃない!当たり前の撮り方です
しかし、こちらのオランウータンの作例は、いかがでしょうか?
写真のど真ん中に顔があることで、存在感とか、”らしさ”を全面に感じられると思います。
普通の人が普通に撮るスタイルだからこそ、NGだと言われてしまうんですね。
当たり前ですが「これを撮りたい!」という、主役が一番しっかり伝わる写真です。
かっこいい構図にこだわるあまり、変に主役をずらすより、よっぽどいいときだってあるのです。
こちらの作例も、典型的な「日の丸構図」ですね。
まっすぐな視線でこちらをジーッと見ていたので、そのまま私も真正面から撮影しました。
主役が何なのかをハッキリさせたいときは、日の丸構図で捉えましょう。
三分割構図
日の丸構図の次に覚えたい「三分割法」
こちらの作例は、主題であるアジサイの位置がど真ん中ではなくなりました。
ちょっと雰囲気のある写真に感じられませんか?
これが「三分割構図」です。
背景は「石畳」なのですが、そこに浮かび上がるアジサイに不思議な「安定感」や「落ち着き」が出ていると思います。
見覚えのあるグリッド線?
実は、この方法はスマホの画面にも設定できる「グリッド線」に従って撮ることができます。
以下の図をご覧ください。
デジタル一眼カメラを持っていなくても見覚えがある人もいるはずです。
そう、スマホでもコンパクトデジカメでも、液晶画面に「グリッド線のON/OFF」で表示できる線ですね。
この「縦・横を均等に三分割したグリッド線」が、そのまま「三分割法」となるのです。
iPhoneであれば「設定→カメラ→グリッドON」で表示されます。
写真が傾かないよう、水平にするためにも使いますが、被写体の位置を「ど真ん中」から「ずらす」のにも効果的です。
もし、構図を意識するのであれば、ひとまずこの線を意識するだけでOKです。
これでできることは、「縦横3つずつ」に風景を分けた作品作りです。
三角構図
三分割構図が水平・垂直な線を基準にするのに対し、三角構図は「斜めの線」を意識した構図です。
こちらの作例は、あえて鯉の頭を入れないで撮影した写真ですが、「鯉の体から尾びれまで」を「一つの辺」、「落ち葉の影から落ち葉まで」を「一つの辺」とすると、三角形が見えてきませんか?
その他の構図は少しずつ覚えましょう
他にもテクニックとして「二分割法」や「対角線構図」など、数えきれないほどの種類があります。
これらを一気に頭に入れると、撮るときに
「今は【何構図】を使えばいいんだ!!」
と、悩むようになります。
それまでは気にせず気持ちよくシャッターを切っていたのに、本末転倒です…
まずは、シンプルな構図から頭に叩き込んでください。あとは実践の繰り返しです。
写真の構図は「被写体の位置を工夫すること」
こちらの作例は、観覧車です。ずいぶん左端によっていて、切れています。
この配置を中途半端と捉えるか、大胆と捉えるかは見た人の感覚によりますが、普通じゃない感じは伝わるかと思います。
写真を撮ろうと思ったとき、主役をどこに置くか意識していますか?
いつもど真ん中でしょうか?
構図を勉強して、配置を工夫しているでしょうか。
この「構図」という考え方が、ときに撮影者の心を揺さぶります。
いつもどれかの構図に当てはめないといけない、という気になる「構図病」に陥ったら大変です。
最悪、気軽にシャッターを押せなくなり、撮ることが楽しくなくなってしまいます。
それでは本末転倒。構図を覚えたからといって、いつもいつも当てはめる必要はありません。
どういう目的で撮っているか?にもよりますが、脳内の”構図スイッチ”をON/OFFすることをおすすめします。
以下のような、とりあえず残しておこう…みたいなときはOFFにしましょう。
- 自分のためだけに撮っている
- 記録のための写真
しかし、目的をもって撮影するときはスイッチをONにしましょう。
- 人に何かを伝えたくて撮っている
- じぶんを表現のための写真
これらは、私が写真を撮るときに意識していることですが、こんな感じで目的によりメリハリをつけて、”撮影疲れ”を起こさないようにしましょう。
案外、とりあえず気軽に撮った写真がその日のベストだった、なんていうことがあったりするものです。
構図とはいいますが、必ずしも「覚えた構図に完璧に当てはめる」必要はありません。
まずは自分が、何にハッとしたのか?が大事です。思わずシャッターを押していた…
その感覚を大切にしてください。
構図を意識し過ぎないための2つの心構え
ここから、撮影時の心構えについて触れていきます。
一番大切なことは、あなたが今撮りたい!と思った気持ちや情熱があることです。
「どの構図に当てはまるのか?」ということではありません。
テクニックに重きを置くと、本来の「撮りたい写真を撮る」というシンプルな行為が複雑になっていきます。
しまいには、撮るのがイヤになっちゃった…なんて、取り返しのつかないことになりかねません。
主役をずらして撮ってみる
まずは、主役をずらしてみる手法です。
先ほどの「グリッド線」を生かした写真を見てみてください。
なぜ、「ど真ん中写真」より印象的なイメージになるのか?
専門家や専門のサイトで、いろいろな解釈が語られていますので、一般的な考え方は検索いただければと思います。
私の一番しっくりくる理由は、以下です。
…ちょっと何言ってるか分からない💧
例えば、「月が綺麗だ」と思って月を見るときは「視界のど真ん中」に月があるのですが、
「夜空も綺麗だ」と思って月から目を離したときに、「視界のどこか」に月がありますよね。
その感覚を脳が覚えているので、「あぁ、そこにあるね」と安心感が得られるのだと思います。
何かを見るときに、必ず「見ている対象」が中心にあるわけではありません。
しかし、逆に写真となると、普通に撮ったもの…家族の写真、旅先の記念撮影、友達から送られてくる写真は、基本的に主役はど真ん中です。
被写体がいつもど真ん中にあると、自己主張が強すぎるのと、何より写真が「単調」になってしまうのです。
言い方を変えると、「見慣れたものに脳はときめきを感じにくくなっている」のです。
なので、やり方として、「日の丸構図」でいつもどおり撮影した後に、「グリッド」の縦線と横線が交わるポイントに被写体を置きなおして撮影してみる、みたいな試みが重要になってきます。
そうすることで、あなたの撮影のレパートリーを増やしていくことになるのです。
まずは「日の丸」、次に「三分割法」で撮る。これを繰り返してみてください。
いろいろな構図にチャレンジするのは、それからでも遅くはありません!
普段からエアシャッター!気になった景色には何かある
「エアシャッターってなんだ!?」と思われたあなた。
そんな言葉は無いのでご安心ください(笑)
私が考えた言葉です。
どういう意味かというと、日々の暮らしの中で見ているモノや光景に対して
- あぁ、きれいだなと思った瞬間
- ん?と思った瞬間
- ゾッとした瞬間
- ドキッとした瞬間
など、いろいろ感情が動く瞬間があるかと思います。
そのとき、見ている情景に心の中でフレームを思い浮かべて「カシャッ!」とシャッターを切ることをイメージするのです。
エアギターならぬ、エアシャッターです。
このとき注意したいのが、心の中で切り取った光景が「日の丸」オンリーにならないことです。
どちらかというと、主役と脇役と背景の「最も収まりがよい配置」をイメージします。
そうすることで、こんなときはこんな配置=構図を意識できるようになるはずです。
スマホがあれば、サッと出して撮っておくのもよいでしょう。
これらの繰り返しが経験値を積むこととなり、いざ撮影に挑むときに迷わずカメラを構えて、素早くシャッターを切れる、ということが増えていくと思います。
構図に捉われず、自由な発想で撮影したほうがよい場面も多々あります。
こちらの記事もご一読いただけましたら幸いです。
まとめ
以上、構図に対する心構え3つを挙げました。
早速、それぞれ実践していきましょう。
- これを撮りたい!と思ったら日の丸構図でドーン!と撮ってみよう
- ちょっと雰囲気を出したくなったら「グリッド線上」に主役を置いてみよう
- カメラを持っていないときでも、心のシャッターで景色を捉えてみよう
どれも、今すぐ実践できる方法ばかりです。
迷いがなくなってから、他の構図にチャレンジしていきましょう。
しっかり腹に落としこむことができれば、「ここは何法がいいんだっけ…」と考える間もなく、手が先にシャッターを押している、なんて日がやってくるはずです。
皆様のデジタル一眼カメラライフが充実したものになることを心から願っています。
構図の一段階前のお悩み、「基本的なカメラの設定方法」については、以下の記事を参照ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。