写真を撮るとき、構図が気になって悩むことがあるかと思います。
結論、そんなときは「見ないで撮影」してみましょう!
皆さんは「ノーファインダー撮影」という言葉をご存知でしょうか。
ファインダー無し、つまりファインダーから対象を覗くことなく撮影する方法ですね。
ミラーレス一眼の場合は、背面の液晶モニターを見ないで撮影するイメージです。
野球で言ったら「ノールック投法」?どちらも一般的ではないですよね。
え?どんな風に撮れるか分からないじゃん💦
それがドラマチックな結果を生み出したりするんですよ✨
今回はノーファインダーだけではなく、以下のルールで撮影してみました。
- カラーではなく白黒のみ
- 写真は縦位置のみ
- 角度は下から上へ=ローアングル
- 明暗は暗め=アンダーに仕上げる
…明暗については、ちょっと暗くし過ぎたため、黒潰れした部分もあります。
真っ黒の写真に見えてしまったらごめんなさい…
ノーファインダー撮影の魅力
自然な瞬間を切り取る
ノーファインダー撮影は、「カメラを目の前に構えず」に撮影する方法です。この方法を使うことで、被写体となる人々がカメラを意識することがないため、自然な表情や動きを捉えることができます。
特に今回のような街中でのスナップショットでは、人々のリアルで生き生きとした姿を写真に収めることができます。
液晶画面で確認するまで、どんな構図で撮れたか分からないのもひとつの楽しみですが、思ったより楽しい構図になっているのも、ノーファインダー撮影の魅力です。
新しい発見への近道?
ノーファインダー撮影は、構図やアングルを自由に試すことができるため、普段味わえない写真を撮るのに最適です。いつもは見逃してしまうような視点からの写真を撮ることができ、新しい発見や驚きを感じることができます。
カメラを上に向けて商店街のアーケードを撮影。
これだと、普通に撮影しても同じような結果になりそうです。
やはり、ノーファインダー撮影は主に街中で人物を撮影するのに向いているように思います。
一瞬を切り取る撮影方法
ノーファインダー撮影は、カメラを構えて構図を検討する手順をすっ飛ばすので、瞬間を逃さずに撮影することができます。特に動きのあるシーンや一瞬の表情を捉えるのに適しています。
元気なお二人を撮影。とてもよい表情でした。
できれば声をかけて、「ブログに載せてもよろしいですか?」と承諾を得て、顔を隠さずに掲載したいですね。
白黒写真の魅力
ノーファインダーに加えて、本記事の写真は全て白黒。
実は、このノーファインダー+白黒という組み合わせは、森山大道氏など往年の名写真家様たちの技法なので、大変ハードルが高いというのが実感です。
でも、ぜひ試していただきたいです。
普段出てしまうクセやこだわりがスコッと抜けた写真は、必ずと言っていいほど新しい発見につながります。
白黒は時代を超えてひたすら「美しい」
白黒写真は色彩がないため、光と影のコントラストによってのみ、被写体の形や質感が表現されます。
そのため、時代に影響されない普遍的な美しさが特徴と言えるでしょう。
見慣れたカラー写真より、ごく普通の風景さえも味わい深く、ときにはドラマチックな雰囲気を演出してくれるのです。
今回の作例は、全編にわたって露出補正をマイナスにしています。
フィルム風な仕上がりにもなっていると思いませんか?
カラー以上に感情を揺さぶることも
白黒写真は、色彩がない分、被写体の表情や動きがより強調されるため、感情をより強く引き出すことができます。今回の作例にはありませんが、ポートレートやドキュメンタリー写真では、被写体の内面を深く表現することができます。
昭和の作家さんのポートレートや、戦場の写真を見たことがあると思います。迫力を感じられるのも白黒写真のもたらす効果ではないでしょうか。
…写真を確認したときに、街路樹の向こうの軽自動車に気づきました。
ないほうが作品としてはスッキリしたでしょうけど、これもノーファインダーならでは、です(笑)。
シンプルで力強い表現が可能
白黒写真は、シンプルでありながら力強い表現が可能です。色彩がない分、構図や被写体の配置が重要になり、写真全体のバランスやリズムが際立ちます。
カメラを構えず、手を下におろした状態で撮影しているため、常にローアングルです。
普段見ている角度と異なり、小さな子供の目線といった感じでしょうか。
記憶の彼方にあるアングルなのですね。
レンズの選び方
さて、ノーファインダー撮影で最適なレンズはどんな種類になるのか、というと基本的には広角レンズがおすすめです。気になる方向の視界を絞らず、広く捉えられるからです。
とは言っても、これは好みの問題でもあるので、撮ってみてピンとくるレンズを使うのがよいでしょう。
広角レンズの魅力
広角レンズは、広い範囲を一度に撮影できるため、やはり街中でのスナップショットに最適です。特にノーファインダー撮影では、被写体がフレームから外れる=失敗する心配が少なくなり、理想的な範囲で自然な瞬間を捉えることができます。
広い範囲で撮る、ということは後々トリミングすることもできるので、保険にもなりますね。
私の場合は「トリミングしない」というナゾのこだわりがあるのでやらないですが…
この記事の作例も、撮って出しで無加工となっております。
時代に逆行してませんかねぇ😹
この作例のように、被写体にクローズアップすることも可能で、応用が利きます。
被写体の主役感を強調する場合は距離を詰めてみてください。
標準レンズの使い方
標準レンズは、人間の視野に近い画角を持っていると言われているため、より自然な視点での撮影が可能です。
ノーファインダー撮影でも余計なものが写り込まないというメリットはあります。被写体との距離感を保ちながら、リアルな瞬間を捉えることができると言えるでしょう。
こちらの作例は85mmのレンズなので、標準というより中望遠レンズですね。
広角レンズに比べて画角が狭くなっているのが伝わりますでしょうか。
望遠レンズの活用
望遠レンズは、遠くの被写体を大きく捉えることができるため、もし街中でのスナップショットで活用するとしたら、遠くの被写体を狙いたいときでしょう。ノーファインダー撮影では、被写体に気づかれずに自然な瞬間を捉えることができます。
今回の”ロケ地”では望遠レンズを持ち出していないため、作例はありません…
ノーファインダー撮影のテクニック
ファインダーを覗かないのに、テクニックは必要なのでしょうか?
もちろん、闇雲にシャッターを切っているわけではありません。
ぼちぼち歩きながら、気になった方向にカメラ(とレンズ)を向けて、「この角度ならうまく写りそうだな」と思った瞬間にシャッターを切るのです。
ファインダーをしっかり覗いてじっくり撮るのとは対照的に、水平が出ない不安定さ、構図がカチッと決まらない面白さを味わうのが醍醐味です。
カメラの設定
ノーファインダー撮影では、カメラの設定が重要です。シャッタースピードや絞り、ISO感度を適切に設定することで、ブレやノイズを抑えたクリアな写真を撮ることができます。
最初はフルオートでよいと思います。
私の場合、絞りは最大開放・露出補正はマイナス・ISO感度は100~200あたりにしておいて、フォーカスはオートフォーカスです。
ノーファインダーでマニュアル撮影なんて、私には被写体にピントを合わせる力量はまだまだありません。
構図の工夫
さて、いよいよ構図の話に入ります。
皆さん、この記事の作例のほとんどが「水平ではない」ことにお気付きかと思います。
上手なカメラマンさんなら、どんな風に撮ろうとも水平を保てるのでしょうけど、私にはそこまでの力量はありません。ただし!暗めの白黒写真という場合は、水平ではない不安定感もひとつの演出となり、雰囲気を醸し出していると思うので、あえて途中で軌道修正せず、斜めになっても気にしないことにしました。
ノーファインダー撮影では、かなりの熟練者でもない限り、ドンピシャの構図を狙うことは困難です。
「微妙に角度を変えながら連写する」などの工夫をすることで、より理想的な写真に近づくことができます。
連写すれば、被写体の配置や背景とのバランスの良い写真を選ぶことができます。
回数をこなすうちに、ノーファインダーでも想定どおりの構図に近い写真を撮れるようになるでしょう。
撮影後の編集
繰り返しになりますが、私は撮影後の写真編集はしておりません。「写真は撮ったその瞬間のものが写真である」みたいなこだわりもあるといえばあるのですが、簡単にいうとズボラなのです。
もちろん編集は悪いことではないので、ノーファインダー撮影で撮った写真を、写り込んだ余計なものを消したり、斜めに撮れたら水平になるよう修正することで、さらに魅力を引き出すことができます。
特に今回のような白黒写真では、コントラストや明るさ、シャープネスを調整することで、より印象的な写真に仕上げることも可能です。
まとめ
以上、ノーファインダー撮影について長々と解説してまいりました。
カメラを構えず・ファインダーや液晶モニターを見ずに撮影することの楽しさが伝わりましたでしょうか。
このブログ記事をぜひ参考にしていただき、ノーファインダーでのスナップショット撮影に挑戦してみてください。
この記事で登場した機材たち
最後に、機材を紹介します。大変マイナー且つマニアックなカメラとレンズですので、あまり参考にならないかもしれませんが、お付き合いください(笑)。
今回は、数ある手持ちのオールドなデジタル一眼カメラから、お気に入りの「SONY α900」を持ち出して撮影してきました。
隠れた名機ともいえる、ソニーのデジタル一眼レフ・フルサイズです。
ミラーレスのタイプではない点、ご留意ください。
SONY α900については、好きすぎて記事を多めに書いております(笑)。ぜひご一読ください!
そして本記事のほとんどの作例は、これまたマイナーな単焦点レンズ、SIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm F1.8です。
ちなみにズームレンズは一切使用しておりません。
ズームレンズのほうが何かと便利ですが、仕上がりを重視したいときは単焦点レンズがおすすめなのです。
以下の記事で、単焦点レンズの魅力について熱く語って(?)おりますので、ご参照いただけましたら幸いです。
そして85mmの単焦点レンズ。
個人的にもこだわりのある焦点距離のレンズです。
今回の記事にはほとんど登場しませんでしたが、85mmに特化した記事もあるので、ご一読いただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。