早速ですが、皆さんはミノルタのレンズ、「ロッコール(ROKKOR)シリーズ」をご存知ですか?
もしかしたら、そもそも「ミノルタなんて知らない」という世代の方もいらっしゃる時代かもしれませんね。
今では「オールドレンズ」となったロッコールレンズを、ソニーのデジタル一眼レフカメラで撮影してみました。
こんな写真↓が撮れたら…ちょっと試してみたくなりませんか?
こちらの作例はミノルタの単焦点レンズ「ROKKOR-PG 50mm f1.4」を、ソニーα900にセットして撮影したものです。
当ブログでは、別で「ミノルタのAマウントをソニーのデジタル一眼で」という記事をUPしておりますが、その「A」マウントよりも昔、ミノルタがフィルムカメラ時代に採用していたマウントが「ミノルタマウント」です。
え?マウントが違うということは…そのままではセットできないよね
その通り!Aマウントとミノルタマウントを繋ぐアダプターが必要です👍
今回は、ソニーのデジタル一眼レフとミノルタのロッコールレンズをマウントアダプターで組み合わせて撮った写真を紹介しつつ、その魅力に迫ります。
オールドレンズの古き良き味わいをデジタルカメラで再現できたら、新たな撮影の楽しみが増えるはずです。
オールドレンズの魅力を再発見!
昭和のデザインがかっこいい。
こちらのカメラに付いているのがミノルタ・ロッコールレンズ、「MC ROKKOR-PG 50mm f1.4」です。そこまでオールド感はないかもしれませんが、昭和のデザインだなぁと思います。
ちなみに、カメラ本体は「MINOLTA SRT SUPER」という、ミノルタのフィルム一眼レフカメラです。
これが本来の「ミノルタマウント同士」の組み合わせとなります。
「ミノルタマウントのデジタル一眼カメラ」は、この世に存在しないため、必然的にレンズは”過去の遺産”となっております。
このカメラとレンズについての余談です。
実はこちら、私の父親がかつて愛用していた機材そのものです。
ふと思い出して、実家の押し入れの奥にしまい込んであったのを、引っ張り出してきました。
父親はそこまでカメラにこだわりがなかったようで、数年使用した後は、オートフォーカスの「コンパクトフィルムカメラ」に移行。終いには「写ルンです」をメインにしていました。現在もデジタル一眼ではなく「コンパクトデジタルカメラ」を愛用しています。
どうやら、私のカメラ趣味は遺伝ではなかったようです(笑)。
フィルムカメラとレンズ、皆さんの実家とか帰省先にも眠っているかもしれません💤
おすすめは「単焦点レンズ」
今回使用する「MC ROKKOR-PG 50mm f1.4」もそうなのですが、オールドレンズのおすすめは「単焦点レンズ」です。便利なオートフォーカス&ズームレンズが主流の今、あえてオートフォーカス無し・ズーム無しのレンズを使うのがひとつの醍醐味とも言えるのです。
単焦点レンズは、写真を撮ることの楽しみを教えてくれます!
もちろん、それだけではありません。「f1.4」の部分に注目してください。
これは「f値」、言い換えると「絞り値」といって、値が小さいほど光をたくさん取り込める「明るいレンズ」なのです。
光をたくさん取り込める=室内など多少暗いシチュエーションでもシャッター速度が稼げるので手ブレを起こしづらいのです。
明るいレンズを使用することで、作品に大きな特徴が出てきます。
その最大の特徴が、「ピント」の合う範囲が小さくなる=「ボケ」の範囲が広くなることです。
言うなれば芸術性の高い写真を生み出す可能性が大きくなります。
試しに、ネットで「f1.2」「f1.4」「f1.8」あたりの明るい単焦点レンズを新製品で検索してみてください。
驚くほど高価な製品がたくさん表示されてくると思います。
オールドレンズでも、メーカーや種類によっては今でもプレミアム価値がついて高額のものもありますが、ロッコールレンズは「そのままではデジタル一眼カメラで使えない」「ミノルタマウントが今ではマイナー」、そもそも当時のキットレンズで玉数が多い、そんな理由からなのか、中古市場では格安で多数売られているものが多々あります。ぜひ、探してみてください。
マウントアダプターを準備しましょう
どのカメラにセットするか?
さて、いよいよミノルタマウントのレンズを使う準備に入ります。
「マウントアダプター」を介してデジタル一眼カメラで使うわけですが、どのメーカー・どの時期のカメラにするかを決める必要があります。レンズ側はミノルタマウントで決まりなので、後はカメラ側のマウントをここで決断することになります。
ミノルタのレンズはソニーのカメラで。
私の選択肢は、ミノルタの技術を受け継いだ「ソニーのデジタル一眼レフカメラ」です。
しかし、レンズマウントが一致するわけではありません。
ソニーが引き継いだ時点では「Aマウント」という別の規格になっており、既に今回取り上げている「ミノルタマウント」とは別の新しい規格になっていました。
少しややこしいですが、マウントこそ違えど、せっかくなら引き継いだメーカーで試してみたいという、ちょっとしたこだわりです。
皆さんは気にせず、キヤノンでもニコンでも手持ちのカメラでどうぞ…!
さて、こちらが今回使用するマウントアダプターです。
カメラとレンズの間に挟まって、全く異なるマウント同士の「橋渡し役」を担ってもらうリング状の部品ですね。
製品にはMDの表記がありますが、SRでもMCでも使用できます。
ちなみに「MA」は「ミノルタAマウント」を意味します。
使うにあたっての注意点
これで、後は付けてしまえば撮影することができるわけですが、以下のような注意点があります。
ミノルタマウントのカメラより撮影範囲が狭くなる
マウントアダプターの写真を見ていただくと分かるのですが、そこそこ「高さ」がありますよね。
その分、同じミノルタマウント同士で使用する場合より「カメラとレンズ間の距離」ができてしまいます。
カメラとレンズが離れるほど、写真の面積は小さくなります。
その結果、たとえ「フルサイズ」=35mmフィルムカメラと同等のデジタルカメラを使用しても、フィルムカメラと同じ範囲の写真は撮影できません。
そこまで大きく損なわれるわけではないので気にしなくてもよいのですが、ミノルタマウント⇔Aマウントの場合、周囲が10%近く削られる感覚です。
また、離れた距離の分「補正レンズ」が中央に取り付けられていて、無限遠までピントを合わせられるように設計されています。
上のアダプターの写真でも、真ん中にガラスがはめられているのが確認いただけるかと思います。
絞り値など、レンズの情報は本体に伝わらない
「絞り値」は通常、デジタル一眼カメラではカメラ側で設定するのですが、オールドレンズは概ね「レンズ側の絞りリング」で設定することになります。
このレンズで決めた「f値」がカメラ側で認識されません。なので、カメラの表示窓の絞り値が「F00」とか「F–」のようになりますが、故障ではないのでご安心ください。
アダプターにより精度が異なる
マウントアダプターはメーカーも国産・外国産問わず多種多様で、お値段もピンキリです。安いものもたくさん販売されていて、問題なく使えるものもありますが、中にはカチッとハマらないとか、酷いと「補正レンズ」がなくて近距離しかピントが合わないとか、後悔するレベルの製品もあるので要注意です。
一番の粗悪品は「無限遠が出ない」「近距離しかピントが合わない」といった類の製品です。
こちらの記事で使用しているアダプターは大丈夫でしたが、買って付けてみるまで分からない、ということもあるので注意が必要です。
マウントアダプターが外れない!
今回使用しているアダプターも、外すときに所定の位置を超えて回ってしまう、という問題があり、外れなくなって困ったことが何度かありました。
レンズを装着するとき、「ここからここまで回る」という可動域があるので、ついその手ごたえを頼りに脱着するわけですが、マウントアダプターによってはそれが弱かったり、普通に可動範囲を超えて回ってしまう場合があります。
装着するときにはカチッと締まっても、外すときは慎重に回さないとカメラ本体を傷つける可能性も出てきます。
アダプター側に外す位置が分かるような印をつけるのも一つの手ですね。
これがソニーのカメラに組み合わせた姿!
お待たせしました!ソニーのデジタル一眼レフカメラにミノルタのロッコールレンズを取り付けました。
どうでしょう。違和感なさすぎではありませんか?
これが、ソニーに生き続けるミノルタの精神というものでしょうか。
というと大げさですが、ここまで似合うと気持ちいいですね。
…単純にレンズのデザインがシンプルというだけのような気も…
いいんです!時代を超えてこのフィット感は申し分ないでしょう👍
カメラの機能はどこまで使えるの?
これ、気になるところですよね。カメラ側も全部マニュアルで設定しないといけないのでしょうか。
注意点として、「f値」を認識できない点はお伝えしましたが、以下は大丈夫です。
- 露出補正
- ISO感度調整
- ホワイトバランス
レンズ側で設定するf値、そもそもレンズに機能が無いオートフォーカスを除き、カメラ側で制御している機能は基本的に有効です。
ただし、正規の組み合わせではないため、あまりカメラの決めたことを過信せず「モニター」で常に撮影結果を確認するようにしましょう。
アダプターさえあれば、レンズを追加できます
この記事ではロッコールレンズ1種類を紹介しておりますが、このアダプターが1つあれば、ミノルタ(SR/MC/MD)マウントのレンズを使用できるようになります。ズームレンズも、またミノルタだけではなく、ミノルタマウントのサードパーティー製レンズも中古市場でお手頃価格で出回っています。
ぜひ、いろんなタイプのレンズに挑戦してみてください。
M42マウントについては、こちらの記事で詳しくお伝えしておりますので、ぜひご参照ください。
写真の仕上がりを見てみましょう
さて、毎度のことながら(レベルはともかく)私の作例となりますが、どんな感じに仕上がるのか、確認してまいりましょう。
これらを見て「面白い」とか「味がある」とか、感じ方は人それぞれだと思います。
私は、最新機種のビシッと決まった写真より、オールドレンズの個性的な仕上がりを「楽しい」と感じるタイプなので、主観が入りますがご容赦ください💦
特徴は何といっても「クセが強い」
私の作例で「ミノルタのレンズの良さが引き出せているのか?」と言われたら怪しいですが、クセは何となく感じていただけるはずです。
紅葉を画面いっぱいに撮る
ベタな紅葉の写真ではありますが、興味深い仕上がりとなりました。
ロッコールレンズ独特のボケ味が、写真によい雰囲気を与えているのが分かります。
こちらの写真は、主役の紅葉よりバブルボケが目立ってしまいました(笑)。
バブルボケは想定外で、カメラのモニターではここまでとは思わず。
こんな感じで、予想もしない結果が次々と起きるのを実感することになりました。
道端にポツンと落ちたモミジ
こちらは周辺減光が「しっかりと」出ていますね。
私はこのトイカメラ的な仕上がりが結構好きなのですが、このレンズが現役時代にはどうだったのでしょうか。
レンズの「味」として肯定的に感じられるのは、最新機器やスマホの”完璧”ともいえるデジタル補正による仕上がりに慣れた私たちだからこそ持てるのであって、当時は「いかにこのような”欠点”をなくしていけるか」がテーマだったのではないでしょうか。
カイコのマユの写真
元々のマユがもつふわふわしたイメージをよく捉えていると思いますが、「ソフトフォーカス」のような仕上がりにも見えてきます。
実は今回、記事にはUPしていないのですが、もっとソフトな仕上がりになった写真もあります。
原因は「球面収差」によるもので、例えば丸いレンズの中央と端っこでピントが合わずに起きる現象です。
これはこれで雰囲気があって良いのですが、光の加減で発生したりしなかったり、計算しづらいですね。
気になる場合は、最大開放から少し絞るとこの現象は起きなくなります。
淡いピンクの公衆電話
最後は、このレンズが現役だった頃に、活躍していたであろう「公衆電話」の写真です。
芸がないかもしれませんが、タイムスリップしたような感じがしないでしょうか。
古いレンズで古い町並みを撮る、というのも楽しみのひとつかなぁと思います。
温かみのある写真が撮れる。
以上、作例を通して改めて見てみると、どの写真も温かみとか、優しさを感じられる仕上がりになっていることが伝わったかと思います。
これを良しとするかは、本当に個人差があるので、価値観を押し付ける気持ちは全くありません。
どうしても「高画素・高画質」とはかけ離れた写真が生み出されるので、「いいかも」と感じられた方はぜひ、ロッコールレンズに限らず「古き良き時代のレンズ」をお手元にひとつ、持ってみるのも「あり」ではないでしょうか。
まとめ
ロッコールレンズは楽しいレンズ。
ミノルタ・ロッコールレンズは今でこそ「オールドレンズ」のひとつに数えられますが、かつては世界最高峰とも言われた技術に裏打ちされた、素晴らしいレンズが豊富に存在します。
なかなか「ミノルタマウントのフィルムカメラで」となると、ハードルが上がってしまいますが、デジタル一眼カメラでもその実力を味わうことができます。
レンズは中古市場でお買い求めやすくなっているので、挑戦の価値はあるはずです。
ロッコールシリーズは他にも所有しており、「AUTO ROKKOR-PF 58mm f1.4」についてもレビュー記事をUPしております。ぜひ参考にしてみてください。
マウントアダプターは妥協せず。
実はミノルタマウントのレンズより、マウントアダプターのほうが入手しづらいかもしれません。今となってはマイナーとなってしまったミノルタマウント。アダプターも、ただのリングではなく補正レンズを要するため、若干高額となるものが多いです。
しかし、ひとつ買ってしまえば、後はレンズを揃えるだけ。
ぜひ、アダプターは良いものを見つけてくださいね。
ミノルタ・ロッコールレンズとソニーのデジタル一眼カメラ、時代を超えて結び付く瞬間、ちょっとしたロマンを感じます。オールドレンズの温かみを現代のデジタル技術が再現する写真を、ぜひ皆さんも体感してみてくださいね。
今回使用したカメラについて
今回使用したカメラは、ソニーがAマウント用に開発した「α900」です。
ソニーの現在の主流は、「αEマウント」のミラーレス一眼カメラですので、Aマウントは過去の規格といえます。
その中でも、α900は「ソニーデジタル一眼レフ唯一のフルサイズ」と言っても過言ではありません。中古市場でもキヤノンやニコンに比べるとあまり出回っていないため、美品を見つけたら入手しておいてもよいかもしれません。
少ないせいか、相場も高めです。
また、以下の記事では、ソニーα900を詳しく紹介しております。
こちらでは、α900の「αAマウント」そのもののレンズもいくつか登場します。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。