写真が上手くならないと悩んだら読むべき「写真論」おすすめ3選:テクニックより思考を変える本

写真論とは

写真を趣味として楽しみ始め、カメラやレンズの機材を揃え、構図や設定の基本も学んだ。
それなのに、「なぜか自分の写真は平凡で物足りない」「良い写真って結局何なんだろう?」と思い悩み、シャッターを切る手が止まってしまうことってありませんか?

私も、頻繁にその状態に陥ります。

そんな「写真の壁」にぶつかった時、私はカメラを置いて『写真論』や『フォトエッセイ』という本を開くようにしています。著名な写真家たちが「写真とは何か」を語り尽くしたこれらの本を読むと、不思議と写真の見方や撮り方が劇的に変わるのです。

EOS 5Dとオールドレンズで切り取った、自分の撮りたい写真を見つけるためのイメージカット

この記事では、テクニックに行き詰まったあなたに新たな視点を与えてくれる、初心者にも読みやすいおすすめの「写真論」3冊と、そこから学べる「エモい写真の撮り方(思考法)」をご紹介します。

この記事で分かること
  • 「写真論」とは何か?なぜ読むべきなのか
  • 悩んだ時に読むべきおすすめの写真論3選(比較表)
  • 本を読むことで変わる「日常風景の捉え方」
  • 筆者なりの「写真というものに答えはない」という結論
目次

そもそも写真論とは?なぜ読むべきなのか

写真論とは、写真を単なる「カメラの技術的なスキル」としてではなく、芸術や自己表現の手段として捉え、著名な写真家や評論家が自らの哲学や思いを語ったエッセイのようなものです。

「もっと良い写真を撮りたい」と悩む時、私たちはつい「新しい機材(レンズ)」や「新しいテクニック(構図)」に答えを求めがちです。しかし、実は足りていないのは機材ではなく、「被写体とどう向き合うか」という思考の引き出し(視点)なのです。

オールド一眼レフで撮影した、その場の空気感や目に見えない感情を写し出すスナップ作例

写真論を読むと、プロたちがどのような視点で世界を切り取っているのかを知ることができ、今まで見過ごしていた「見えないものを写す力」や「日常風景に込める哲学」が自分の中に少しずつ育っていきます。

【比較表】悩んだ時に読みたいおすすめの写真論3選

私がこれまで読んできた数多くの写真論・フォトエッセイの中から、特に感銘を受け、初心者の方でもスッと心に入ってくるおすすめの3冊をご紹介します。

書籍名 / 著者こんな人におすすめ(特徴)難易度/読みやすさ
彼らが写真を手にした切実さを
(大竹昭子)
巨匠たちの生々しい撮影の裏側や「日本独自の写真」の空気感を知りたい人。★★★/エッセイとして面白い
写真はわからない
(小林紀晴)
「良い写真って何?」と悩みすぎて、正解を探すことに疲れてしまった人。★★☆/優しく共感できる
なぜ上手い写真が撮れないのか
(丹野清志)
教科書通りの「上手い写真」の呪縛から逃れ、自分らしい写真を撮りたい人。★☆☆/実践的で分かりやすい

1. 『彼らが写真を手にした切実さを』大竹昭子 著

作家であり写真評論家でもある大竹昭子氏が、森山大道、荒木経惟、蜷川実花といった現代のトップ写真家10人と実際に接し、感じたことをまとめた著書です。

世界的に見れば、国が違えば人種や気候も違うため「写真」に対する考え方も異なります。この本は、海外にはない日本人の感性から生まれる「日本独自の写真」に焦点を絞っている点が非常にユニークです。

特に、数奇な運命を辿り「カメラになった男」と呼ばれた中平卓馬氏との沖縄撮影行のエピソードは、一人の人間が写真に向き合う凄みが伝わり、圧倒的な読み応えがあります。

2. 『写真はわからない』小林紀晴 著

写真家である小林紀晴氏が、プロとしての経験から写真について考察している興味深い一冊です。
タイトルの通り、写真を「わからないもの」として語り、結論もそのまま「わからない、だけど面白いのが写真である」と述べています。

プロの写真家が「10年かけて執筆しても、写真はわからない」と結論づけているのですから、私たちアマチュアがすぐに正解を出せるわけがありません。「わからない」ということを前提に、自分が面白く感じる被写体を自由に撮り続ける勇気をもらえる、とても優しい本です。

3. 『なぜ上手い写真が撮れないのか』丹野清志 著

こちらも写真家である丹野清志氏の著書です。写真論というよりは「撮影の極意」に近いかもしれませんが、丹野さんの本は「プロとして上から教える」のではなく、常に素人の目線に立って語りかけてくれます。

写真にのめり込むほど、「あの人のような上手い写真を撮らなきゃ」と不安になったり自信を無くしたりするものです。しかし丹野さんは、教室で習うような写真の撮り方を守ることをおすすめしません。固定観念に囚われすぎて可能性を狭めることのないよう、優しく語りかけてくれます。悩んだ時に読めば頭の中がリセットされ、もう一度カメラを持って外に出かけたくなる、そんな一冊です。

写真論を読むと、あなたの写真はこう変わる

これらの本を読み、プロの思考に触れることで、実際の撮影現場でどのような変化が起きるのでしょうか。

1. 「構図」の呪縛からの解放

基本の構図(三分割法など)を覚えることは大切ですが、それに縛られると面白みを見失います Closely。写真論を読むと、「あえて主題をギリギリ画面の端のほうに配置し、空間の余白を大きくすることで、見る人に物語を想像させる」といった、教科書を超えた自由な表現方法に気づくことができます。

あえて主題を中央からずらし、空間の余白と物語性を意識して撮影したスナップ写真

2. 「光と影」が持つ感情の理解

写真は光と影の芸術です。様々な写真論で、自然光やそれに対する影をしっかり生かすことが大切だと語られています。朝の斜めの光が作る柔らかな立体感や、あえて深い影(シャドウ)を大胆に取り入れることで生まれる、意味ありげな雰囲気や緊張感。光の射し込む角度を意識できるようになると、写真そのものに「語りかける力」が宿るようになります。

窓辺から差し込む朝の淡い光と、ドラマチックな陰影を活かした立体感のある室内写真

3. 日常風景に「価値」を見出す力

美しい山や海、有名な絶景スポットや映えスポットに行かなくても良い写真は撮れます。毎日過ごす部屋の窓越しに差し込む光や、雨上がりの舗道に映る街灯の反射。色彩が持つ心理的効果(赤のエネルギーや青の静けさ)を頭の片隅に意識するだけで、何でもない日常を、自分だけの特別な「オリジナリティ」を持って切り取る力が育まれます。

何気ない日常の風景の中に潜む美しさと、特別な瞬間を切り取った屋外スナップ

写真に関するよくある質問(FAQ)

写真論の本は、初心者には難しすぎませんか?

難しい専門用語ばかりの本もありますが、今回ご紹介した3冊は、著者の体験談やエッセイ形式で書かれているため、専門知識がなくても小説のようにスラスラと楽しく読めるので安心してください。

本を読むだけで本当に写真が上手くなりますか?

即効性のあるカメラの設定値が分かるわけではありません。しかし、「なぜこの風景に心惹かれたのか」を言語化する力(思考力)が身につくため、結果として長期的には構図作りや被写体選びのセンスが向上します。

SNSで「いいね」がたくさんつく写真が良い写真なのでは?

SNSでウケる写真は「分かりやすい綺麗さ」に偏りがちです。しかし、写真論の巨匠たちはそれに流されず、「自分がどう感じたか」を大切にしています。他人の評価よりも、自分が愛せる写真を撮ることがひとつの正解です。

まとめ:私の結論「写真というものに答えはない」

プロでもない私が、あらゆる写真論を読み進めたことで得た結論。それは、小林紀晴氏の著書と同じく「写真に答えはない」ということです。

写真は、この世の全てが「被写体」であり、過ぎてゆく時間の全てが「シャッターチャンス」です。「生きていることとは?」という問いにひとつの答えが無いのと同じで、写真の良し悪しも、人それぞれの人生経験や主観によって完全に異なります。

だからこそ、正解を他人に求めるのではなく、根本にある「自分が撮りたいものを楽しく撮る」ということだけを守り、自分だけの視点で切り取ればそれで良いのです。

「上手く撮れない」と悩んでカメラから遠ざかってしまいそうな時は、ぜひ一度、先人たちが遺してくれた『写真論』を開いてみてください。凝り固まっていた視点がふっとほぐれ、きっと明日、またお気に入りのカメラを首から下げて散歩に出かけたくなるはずです。

フォトあ

一人で悶々と撮っていては気づけない視点ですね✨

プリン

そこまで意味を考えて撮る人がどのくらいいるのか疑問ですね💧

「綺麗な写真を撮らなきゃ」という重圧から解放してくれる写真論の世界。機材にお金をかける前に、数千円で買える「思考のレンズ」を手に入れてみませんか?活字から広がるイマジネーションが、あなたのカメラライフをもっと豊かなものにしてくれます。

■ 併せて読んでほしい記事

思考が変わったら、あとは機材の持つ「エモい欠点」をフル活用して自由にシャッターを切るだけです。安い機材で味のある写真を撮るための具体的なテクニックはこちらの記事をどうぞ。

写真の楽しさ(撮る喜び)を取り戻すために、あえて不便なオールドレンズを選ぶ理由を書いたコラムはこちらです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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