「マイクロフォーサーズ」で検索すると、「後悔」「オワコン」といったネガティブなキーワードが表示され、購入をためらっている方も多いのではないでしょうか。
「画質が悪いって本当?」
「スマホのカメラと大して変わらないのでは…?」
決して安くない買い物ですから、失敗したくないと不安になるのは当然です。実は私もかつて、その魅力が十分に分からず、まさに後悔しかけた経験があります。
しかし結論から言うと、マイクロフォーサーズは「自分の撮影スタイルに合っているか」さえ理解して買えば、絶対に後悔しない、むしろ最高の相棒になるカメラです。
この記事では、マイクロフォーサーズで後悔すると言われる本当の理由や、メリット・デメリットをAPS-C機、あるいはフルサイズ機と徹底比較します。私が愛用しているオリンパス「PEN Lite E-PL6」の作例を交えながら、その真実を包み隠さずお伝えします。
条件が合えばこんな写真も撮れます✨

マイクロフォーサーズとは?「後悔する」と言われる2つの理由
「マイクロフォーサーズ(略してM4/3)」とは、パナソニックとオリンパス(現OMデジタルソリューションズ)が共同で策定した、ミラーレス一眼カメラの共通規格のことです。
「後悔する」と言われてしまう最大の理由は、カメラの心臓部である「イメージセンサー(光を受け取る部品)」の大きさにあります。
理由1:センサーが小さいため「ボケ」にくい
マイクロフォーサーズのセンサーは、プロやハイアマチュアがよく使う「フルサイズ」のセンサーに比べると、面積が約4分の1しかありません。
カメラの仕組み上、センサーが小さいほど背景がボケにくくなります。「一眼カメラを買えば、背景がとろけるようにボケたプロみたいな写真が撮れる!」と期待して買うと、スマホの写真とあまり差が感じられず、ガッカリ(後悔)してしまうのです。

こちらは、OLYMPUS 「E-PL2」(※過去所有)と標準ズームレンズで撮影したものです。

…この感じなら、スマホのカメラでも撮れそうですよね。
この写真はまさに、E-PL2を買ったばかりの私が旅先でわくわくしながら撮った写真です。
カメラとレンズ買って、わざわざバッグに入れて、撮って「これか・・・」となった気持ち、分かっていただけるのではないでしょうか。
理由2:暗い場所での撮影(高感度)に弱い
センサーが小さいということは、一度に取り込める光の量が少ないということです。そのため、夜景や暗い室内などで撮影しようとすると、写真全体にザラザラとした「ノイズ」が乗りやすくなります。
ただし、最新のマイクロフォーサーズ機では、かなりノイズリダクションの技術が進化しています。
マイクロフォーサーズのメリット・デメリット
では、マイクロフォーサーズはダメなカメラなのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。センサーが小さいことは、実はそのまま「最強の武器」にもなり得るのです。
デメリット:フルサイズのような圧倒的なボケや暗所性能はない
前述の通りで、極端に背景をボカしたポートレート(人物写真)や、真っ暗な場所でのノイズレスな撮影は少し苦手です。
メリット:圧倒的な「小型・軽量」と驚異的な携帯性
センサーが小さい最大の恩恵は、カメラ本体もレンズも「信じられないほど小さく、軽くできること」です。
フルサイズ機に望遠レンズを付けると数キロの重さになり、持ち出すのが億劫になります。しかし、マイクロフォーサーズなら小さなバッグにすっぽり収まり、旅行や日常のスナップでも首や肩が全く疲れません。「カメラは持ち出さなければ意味がない」という最大の真理において、これ以上強いメリットはありません。
レンズも凄く軽い!どんなバッグにも収まる大きさ
マイクロフォーサーズ用のレンズも、カメラ本体と同様に小型・軽量化されています。サイズも小さければ素材もプラスチックがメインなので本当に軽く、本体とレンズを合わせた重さが「フルサイズ用のレンズ1本」より軽い!なんていうこともあります。
こちらの2つのレンズは、左がM4/3用、右がフルサイズ用(APS-Cでも使用可)の望遠ズームレンズです。
“フルサイズ換算”すると、ズームの範囲はほぼ同じ!
なのにサイズは、右が500mlのビール缶なら、左のM4/3望遠レンズは200mlのコーヒー缶といった感じでしょうか。

このサイズなら、大きなカメラバッグを用意する必要もありません。また複数のレンズを携帯しても、大きなデジタル一眼レフのように劇的に重くなり、かさばる心配もありません。
【比較表】マイクロフォーサーズとフルサイズ・APS-Cの違い
他のカメラ規格と具体的にどう違うのか、比較表で確認してみましょう。
| 項目 | マイクロフォーサーズ | APS-C | フルサイズ |
|---|---|---|---|
| 本体・レンズの重さ | 非常に軽く、コンパクト | 標準的 | 重く、かさばりやすい |
| ボケの作りやすさ | 工夫が必要(ボケにくい) | ボケやすい | 非常にボケやすい |
| 暗い場所での強さ | ややノイズが出やすい | 標準的 | 非常に強い(ノイズが少ない) |
| 望遠撮影 | 大得意(レンズが小さく済む) | 得意 | 苦手(レンズが巨大になる) |
| 機材の価格帯 | 比較的安価で揃えやすい | 標準的 | 非常に高価 |
| おすすめな人 | 軽さ重視・旅行・日常スナップ | バランス重視 | 画質とボケに一切妥協したくない人 |
実際のボケの範囲を比較
以下の写真で「3種類のイメージセンサー」の大きさを比較してみました。
どういう条件かというと、「同じ場所」から「同じレンズ」で、ズームも一切無しという条件のもと、カメラ本体のみ「マイクロフォーサーズ機」「APS-C機」「フルサイズ機」の3種類で撮影した場合、を想定しています。

実際はフルサイズ機(黄色枠)で撮影した写真ですが、M4/3とAPS-Cのイメージセンサーで撮影した場合にどのような範囲になるのか、枠線を引いて示しています。
結果、写真内の枠で示したような「撮影範囲の差」が出ることがお分かりいただけると思います。
今回の主役、M4/3機がこの中では最も範囲が狭いです。
状況に関係なく、同じレンズを使って同じ場所で撮影しても、カメラのイメージセンサーが異なることで、常に作例に引いてある枠線のような「画角の差」が出るのです。
そのため、「フルサイズ換算」という用語が存在します。レンズの焦点距離はフルサイズ、つまりフィルムカメラ時代から長い年月に渡り浸透してきた35mmフィルムの画角が受け継がれ、ひとつの基準となっています。
M4/3やAPS-Cで撮影した場合、「フルサイズのカメラで○mmのレンズを使っているのと同じ画角」、という考え方です。
イメージセンサーについては、他の記事でも触れています。ぜひ参考にしてみてください。

【作例】E-PL6+オールドレンズで引き出す本当の魅力
「ボケにくいって言うけど、実際どうなの?」という疑問にお答えするため、私が愛用しているオリンパスの「E-PL6」で撮影した作例をご覧ください。

レンズは普及オールドレンズの代表格(?)、「SMC TAKUMAR 55mm f1.8」を、マウントアダプターを介して撮影しています。

少しピントが甘いですが、ネコの顔に焦点が合っていて、背景と前足はボケている、柔らかい印象の写真ですね。
ひとつ前の作例より、スマホとはちょっと違う雰囲気が出ているように感じないでしょうか。
“レンズ”を工夫して後悔を無くす。
ここからはレンズのお話が中心になります。
マイクロフォーサーズのレンズは、本格的なプロ向けのレンズとなるとなかなかの高額で気軽に手を出せませんが、安価でお気軽に試せるレンズも多数用意されています。
ただし最初に述べたとおり、より特徴ある写真を撮りたい場合は、キットレンズ以外がおすすめ。開放F値の明るい単焦点レンズは、純正もあればもっと安価な海外製のレンズも存在します。
ボケ量に関して言うと、イメージセンサーだけではなく「レンズの性能」も大きく影響します。
結論としては「F値」と呼ばれる開放絞り値の数字がより小さい、明るいレンズを使うことがおすすめです。
よくある「キットレンズ」は便利ですが、開放絞り値が暗い=ボケ量が乏しくなるので、キットレンズだけでカメラの性能を評価することは、あまりおすすめできません。
特に「ダブルズームレンズ」などは、一眼カメラを使う醍醐味を味わうには遠回りです。
プリンいやいや、ズームレンズが2本も付いてるとか、めっちゃお得ですよね♪
フォトあそれが単純にそうとも言えないのですよ。
こちらは、オリンパスPEN Liteシリーズにセットでついてくる「標準ズームレンズ」で撮影したものです。

恐らく手前の車輪に焦点を当てているのですが、奥の売店の小さな文字まで読めるほど、写真全体がハッキリしていて「パンフォーカス」といっても過言ではないです。
どうしても平凡な写真に見えてしまいませんか?
これでは「スマホ」で撮影しても、出来栄えに大差はありません。
ボケ量は好みの問題でもあるので、それが全てではありませんが、わざわざカメラ本体とレンズを数本持ってお出かけするなら、スマホでは撮れない写真を撮りたいですよね。
なので、おすすめなのはキットレンズではなく、「F値の数字ができるだけ小さいレンズ」を使用することです。
【キットレンズ】を駆使する。
ということで、ぜひF値の小さな明るいレンズを買ってくださいね!
…という結論ではさすがに乱暴ですので、キットレンズでも「撮り方」を工夫することで、違った雰囲気の写真が撮れることを確認していきましょう。
とりあえずダブルズームキット(カメラ本体+広角ズームレンズ+望遠ズームレンズ)を購入すれば、広角~望遠まで広い範囲をカバーできます。
個人的な感想になりますが、「ボケ」が綺麗だとスマホとの差を感じられるかと思います。
とりあえずボケを際立たせるコツは「被写体に近づいて撮影すること」です。
次の作例はダブルズームキットの望遠レンズ、「M.ZUIKO DIGITAL 40-150m F4-5.6」を使用しています。
最大ズーム(150mm)の状態にして(望遠端といいます)、花を狙い、奥の草花がボケるように撮影しています。

最も望遠にしたとき(望遠端と言います)、絞り値は最大開放でも「F5.6」なので、決して「明るいレンズ」には程遠いのですが、撮り方次第で背景がボケることが伝わるかと思います。
続いて、キットレンズの標準ズーム、「M.ZUIKO DIGITAL 14-42m F3.5-5.6」にて撮影。
望遠レンズの作例より、花に「寄って」撮影しています。こちらも背景がしっかりボケてくれました。

通りすがりのワンちゃん。こちらも背景は緩やかにボケています。

花の作例に比べると、ワンちゃんとの距離が大きいため、ボケ具合は小さくなりました。
こちらは少しだけ玉ボケ。イルミネーションなど、背景にしっかりした「点光源」があれば、もっとちゃんとした玉ボケも可能です。

御手水(ちょうず)の波紋を捉えてみました。もう少しピントが合うと良かったのですが…
奥のほうがボケていて、いい感じです。

とにかく「ボケが全て」ではないのですが、全てにピントが合っている写真とは一味違いますよね。
本体とセットで付いてくるキットレンズでも、ここまで表現できます。
「パンフォーカス」の写真より雰囲気が出るので、ぜひ試してみてください。
【単焦点レンズ】に挑戦する。
それでもやっぱりキットレンズでは物足りない⇒後悔となる前に、「単焦点レンズ」に挑戦してみましょう。
明るい単焦点の入門レンズ
F値の数字が小さいほど「明るいレンズ」と呼ばれ、ボケ量が大きくなります。
そして、明るいレンズはズームレンズではなく「単焦点レンズ」のほうが多く、おすすめです。
最初はズームしない不便さを感じますが、一本でも手元にあると、写真の表現力が深まることに気づくはずです。撮影意欲も高まり、後悔したはずのカメラに再度魅力を感じるきっかけになるかもしれません。
こちらの作例は、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm f2.8」で撮影したものです。

単焦点レンズの中ではリーズナブルで、サイズも「パンケーキレンズ」と表現される薄型のレンズです。かさばらないので、カメラに付けっぱなしにできるのがいいところです。
なんといっても開放絞り値が「f2.8」と、キットレンズに比べて明るいレンズなので、背景をよりボカすことができます。
※同じ焦点距離で開放絞り値が「f1.8」のタイプもあります。当然、こちらのほうがよりボケるのですが、一気に割高となります。
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8に特化した記事もありますので、ぜひご一読ください♪

【オールドレンズ】に挑戦する。
上記の2本は純正の「明るいレンズ」ですが、開放値が大きいほど(F値の数字は小さくなる)、レンズは比例して高額となります。
そのため、ここではリーズナブルに入手できる「明るいオールドレンズ」をおすすめします。
本記事の最初に示した作例を、もう一度ご覧ください。
詳しくいうと、「SMC TAKUMAR 55mm f1.8」というオールドレンズで撮影しています。

こちらのレンズは比較的安価で中古市場で大量に出回っており、入手しやすいレンズです。
オリンパスの純正品で「f1.8」のタイプは4万円前後ですが、このオールドレンズであれば数千円で購入できます。
オールドレンズを扱う際の注意点として、
- M4/3マウントとレンズ側のマウントをセットするマウントアダプターが必要
- マニュアル(手動)フォーカスで、オートフォーカスが効かない
- 「絞り」「フォーカス」はレンズ側で手動操作が必要
マウントアダプターがあれば、マイクロフォーサーズマウント以外のレンズが装着できるようになります。
今回使用しているレンズは「M42」という規格になり、オールドレンズではメジャーなタイプです。
そのため、レンズ側のマウントを差し当たり「M42マウント」で揃えておくと、アダプターひとつでM42マウントのレンズを複数扱うことができるので、おすすめです。
オールドレンズに特化した記事も書いておりますので、よろしければご参照ください。

【中華レンズ】を試してみる。
こちらの作例は中国製のレンズですが、最大開放絞り値は「1.8」で、キットレンズでは出せないボケ感を味わうことができます。

被写体との距離もまたボケ量に影響しますが、まずまず「雰囲気のある写真」になっているかと思います。
以下の作例も、手前の被写体に対して、背景がしっかりボケていることを確認いただけるかと思います。

このレンズはオールドレンズではなく、「中華レンズ」という愛称で親しまれているマニュアルタイプのレンズです。
変わり種のレンズも「M4/3マウント」のものが、いろいろ販売されています。中古市場で格安なレンズを見つけたら買ってみるのもよいでしょう。
“中華レンズ”について詳しく書いた記事もあります!ぜひご一読ください。

【変わり種レンズ】で楽しむ。
ボディキャップなのに魚眼レンズ!?
おすすめの1本は、間違いなく魚眼レンズ界最安・最軽量を誇る、オリンパスのボディキャップ・フィッシュアイレンズです。
中古の相場で5,000円台から探すことができます。
視界が丸く映る、楽しいレンズです。

こちらは設定を白黒にして撮影した写真。異空間にいざなわれそうな雰囲気になりました。

このサイズでここまで表現できるのか、というくらい本格的な魚眼レンズとして撮影することができます。
■ マイクロフォーサーズに関するよくある質問(FAQ)
こちらに、よく聞かれる疑問や不明点をまとめました。参考にしてみてください!
結論:マイクロフォーサーズで後悔する人・しない人
■ 後悔する可能性が高い人
- とにかく背景をとろとろにボカしたい人
- 星空や夜景など、暗闇での撮影がメインの人
- 機材の手軽さよりも、究極の画質を求める人
■ 絶対に後悔しない(おすすめな)人
- 重いカメラを持ち歩くのが苦痛に感じる人
- 散歩や旅行で気軽にスナップ写真を楽しみたい人
- 手頃な価格で色々なレンズ(オールドレンズなど)を試してみたい人
- カメラの「見た目のおしゃれさ」も重視したい人
カメラの世界に「絶対的な正解」はありません。フルサイズにはフルサイズの、マイクロフォーサーズにはマイクロフォーサーズの戦い方と楽しさがあります。
もしあなたが「手軽に楽しく、でもスマホより味のある写真を撮りたい」と考えているなら、マイクロフォーサーズは最高の選択肢になるはずです。
ミラーレス一眼カメラそのものに後悔されている方向けにも記事を書いております👍

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

