この記事は現行・リコーGRシリーズのひとつ前、「RICOH GR DIGITAL IV(4代目)」の記事です。
いまだに根強い人気を誇るGR DIGITALシリーズですが、私には合わず…今は手元にありません。
それでもただのコンデジとは一味も二味も違う、魅力あるカメラだったことは間違いないと思います。
2011年の発売から間もなく購入し、しばし熱狂したRICOH GR DIGITAL IV。
夢中になった理由は…邪道かもしれませんが、”銀残し”を再現した「ブリーチバイパス」に魅了されたから、です。

余談ですが、私のブログ「じぶんカメラ」の作例には、ちょっとしたルールがあります。それは「JPEG撮って出し」と「加工無し」。PCでのRAW現像や後加工は行わない、というものです。
プリンそれがどうした!
フォトあとは言わないでください💦
JPEGだけで撮るなど、「RAWで撮らなきゃ意味がない」とも言われる世界において、賛否両論あることは重々承知のうえですので、ご容赦ください。
しかし、GRD IVに関しては「銀残し風」に魅了されたため、このルールのうち「加工無し」から外れた作例ばかりが残っています。
…そんな使い方を続けていたのですが、結局しばらくして私はこの名機を手放しました。
その理由もまた個人的なものですが、「感情(エモさ)」と「スペック(物理)」の間に生じた、埋めがたい溝でした
まずは、私が決断に至った「悲しい現実」を、数字で見ていただきましょう。
悲しい比較:GRD IV vs 現代の基準(GR III)
「名機」と呼ばれるGRD IVですが、冷静に数字で見ると、私個人が感じた「限界」が浮き彫りになります。
| 項目 | GR DIGITAL IV (2011) | GR III (現行機) | 私の感想(=手放した理由) |
|---|---|---|---|
| センサー | 1/1.7型 CCD | APS-C CMOS | ここが決定打。 スマホより少し大きい程度。ボケない要因。 |
| レンズ | 28mm F1.9 | 28mm F2.8 | F1.9は明るいが、センサーが小さいため背景はボケない。 |
| 画素数 | 1000万画素 | 2424万画素 | ブログ用なら十分で、手放した理由にはならず。 |
| 画像処理 | GR ENGINE IV | GR ENGINE 6 | ここは長所。 「銀残し」「ポジフィルム調」などの味付けは唯一無二。 |
スペックだけ見れば、今のスマホ以下かもしれません。しかし、このカメラにはスペック表には載らない「魅力」を感じたのは確かです。
作例: GRD IVの表現力
ここからは、私が撮り溜めた「撮って出しの作例」と共に、その魅力と限界について語ります。
画像設定BKT(ブラケット)」機能
このカメラを使っていて最も楽しかったのは、「画像設定BKT(ブラケット)」機能です。
1回シャッターを切るだけで、「スタンダード」「ポジフィルム調」「ブリーチバイパス」など、3種類の仕上がりで写真を同時に書き出してくれる。私にとって、これは楽しい機能でした。
ここから3枚の写真は、シャッターを一度押しただけです。

例えば、上記1枚目をスタンダードにしておいて、残り2枚をお好みの仕上がりにします。
次に、フィルムカメラ風の仕上がりを選択。

もうひとつは、遊び心で♪私が選んでいたブリーチバイパス=銀残しは、この青みが特徴でした。

作例) ブリーチバイパス:世界を一変させる「銀残し」の表現力
特に「ブリーチバイパス=銀残し」の描写は、麻薬的でした。
「彩度を捨て、光と影で語る。」

それがGRD IV「銀残し」のイメージです。日常の何気ない風景が、シャッターを切った瞬間に重厚なドラマへと変わる感じ。

このエフェクトは単なるフィルターではなく、被写体の「質感」を強引に引きずり出す暴力的な魅力がありました。

作例) リコーブルー:記憶色を凌駕する「青さ」
そして、もう一つの理由が、リコーユーザーにはお馴染みの「あの青」です。

空気が写る、青。

この頃のCMOSセンサーのような、スッキリとした青ではない。

湿度を含み、どこか記憶の奥底にあるノスタルジーを刺激するような深い蒼。これがいわゆる「リコーブルー」ではないでしょうか。
CCDセンサーが最後に残した遺産、というと大袈裟かもしれませんが…
「スナップシューター」という美しい魔法
少しカメラの性能から離れた話をさせてください。 私がこのカメラを長く手元に置いていた理由は、写りだけではありません。RICOHというメーカーが作り上げた「究極のスナップシューター」という世界観(マーケティング)が見事すぎたからです。
黒くて無骨なボディ。洗練されたUI。そして、ザラついたモノクロームのストリート写真への憧れ。私たちは単に1/1.7型のコンパクトカメラを買っていたのではなく、「GRをポケットに忍ばせて街を歩く」というライフスタイルそのものを買っていたのです。
当時の私は、見事にその美しい魔法にかかっていました。魔法にかかっている間は、どんな欠点も「それがGRの味だ」と自分を納得させることができたのです。しかし、やがてその魔法が解ける日が来てしまいました。
作例③:魔法が解けた日(パンフォーカスの壁)
色も最高。世界観も最高。スナップシューターとしては100点満点。
それなのに、なぜ私はこのカメラを「ドナドナ(売却)」したのか。
理由はシンプルで、「センサーサイズ(1/1.7型)」の小ささに限界を感じてしまったからです。
当時、フルサイズ機も併用していた私の目には、GRD IVの画像がどうしても「平面的」に見えてしまいました。

スナップ写真であれば「パンフォーカス」、全体にピントが合っているのが基本なので問題ないのですが、ここはボケてほしい!と思っても基本的にはボケないカメラなので、ぶっちゃけ自分の好みではなかったというわけです。
こちらも背景がちょっとでもボケてほしかった例。GRD IVに求めてはいけません(笑)。

コンデジとしては「F1.9」という明るめのレンズですが、1/1.7型センサーでは背景はボケないのです。主題を浮き立たせたい時、背景がうるさく主張してきてしまいます。
被写体にここまで寄れば、さすがにボケるという作例です。

GRD IVは「マクロ撮影」は強力です。しかし、通常撮影でボケてほしいのです。わがままですよね…

ボケがお好きな方にはご理解いただけるかと思います。
「スナップはパンフォーカスだ」と自分に言い聞かせたものの、私の本能は結局、被写体が空気の中に浮かぶような「立体感」を求めてしまうのでした。
もちろんカメラがよくないということでは全くなく、自分の力量ではカメラの真の魅力にたどり着けなかった、というのが正しいです。
森山大道など、大御所のプロの写真家が認めていることからも、カメラが良いことに間違いありません。
まとめ:GRD IVは「エフェクト」を楽しむカメラだった
誤解を恐れずに言えば、私にとってGR DIGITAL IVは「写真」を撮る道具というより、「銀残しとリコーブルー」を楽しむためのデバイスでした。
もしあなたが、「ボケいらない派」、「スナップショットがメイン」、「この色と質感が魅力」という場合、これ以上の相棒はいません。中古市場で良品を見かけたら、即確保すべきです。
しかし、私のように「画質の基礎体力(階調・立体感)」を求めてしまう人間には、この小さなセンサーは少し窮屈かもしれません。
私は猛烈に後ろ髪を引かれつつも、眠らせておくよりは誰かに大切に使ってもらったほうがカメラのためにもよいと思い、手放しました。
より表現の自由度が高いセンサーサイズのほうが、私にとっては扱いやすいという結論に至りました。
けれど、あの時「銀残し」で切り取った名古屋の街の空気感は、今の高画素機でも再現できない、特別な記憶として残っています。
趣旨は変わってしまいますが、コンデジ繋がりということで「オールドコンデジ」の記事も書いています。
ご一読いただけましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

