SIGMA AF MACRO 90mm f2.8の魅力
SIGMA AF MACRO 90mm f2.8は、1990年前後に発売された中望遠ハーフマクロレンズです。
90mmの単焦点マクロと言えば、タムロンのロングセラー90mmレンズ「タムキュー」が有名ですが、”シグキュー“もかなりおすすめです(笑)。
軽くてコンパクトな造りながらも、シャープな描写と美しいボケが特徴です。デジタル一眼レフだけでなく、ミラーレス一眼カメラでもマウントアダプターを装着すれば、ポートレートやマクロ撮影で想像以上に良い写真を生み出してくれます♪
本記事では、実写レビューとともにスペック、特徴、他レンズとの比較、メリット・デメリットを徹底解説。筆者が実際に撮影した作例を交えてお届けします。
SIGMA AF MACRO 90mm f2.8のスペック詳細
こちらのレンズは30年以上前の古いレンズなので、中古で買うのが前提です。
相場は1万円を切るくらいでしょうか。私が購入したものは”訳あり”ということで、1,000円台でした!
以下の表にSIGMA AF MACRO 90mm f2.8(1989年モデル)の主要スペックをまとめました。
項目 | 詳細 |
---|---|
焦点距離 | 90mm |
最大絞り | f/2.8 |
最小絞り | f/22 |
レンズ構成 | 9群9枚 |
最短撮影距離 | 0.32m |
最大撮影倍率 | 1:2(ハーフマクロ) |
フィルター径 | 52mm |
重量 | 約340g |
マウント | ニコンF、キヤノンEF、ソニーA |
発売年 | 1989年 |
オートフォーカス | 対応(AF速度は遅め) |
補足:本レンズはハーフマクロですが、別途「LIFE-SIZE ATTACHMENT」を装着することで「等倍マクロレンズ」として使用可能です。また、一眼レフ用のレンズなので、ミラーレスカメラに装着する際はマウントアダプターが必要となります。
実写レビュー:SIGMA AF MACRO 90mm f2.8の作例と使用感
では、ここから作例を紹介させていただきます。
撮影の条件は、カメラ本体がSONY α900(フルサイズ)で、JPEG撮って出し・無加工です。
また、作例の設定はマクロも含めて最大開放のF2.8、ISO感度はほぼ200となっています。
※皆様にはマクロ撮影時は絞ることをおすすめします!
作例1:草花の撮影、マクロ
シロツメクサをマクロで。開放で撮影したため、ピントが非常にシビアです。
ミツバチの羽に焦点を。羽の模様(翅脈というらしい)がクッキリと分かりますね。
同じ場所で通常撮影。光と影のコントラストがいいですね。
こちらは葉脈がしっかり。30年以上前のレンズの実力は素晴らしいです。
このレンズ、草花の描写が素晴らしいので得意分野かもしれません。
風景撮影もいけるので(広角はムリですが)、マクロまで一本で幅広く楽しめます。
作例2:生き物
毛を狩られたばかりの…羊、ですよね?背景のボケが少しグルグルしてるでしょうか。
うちのプリンです。耳にピント。肉球みたいな模様があるのが分かりますか(笑)?

チャームポイントと言ってほしいねぇ😽
鯉の集団です。普段は優雅な鯉も、餌を投げると我先にと狂喜乱舞😱
鮮やかさと柔らかさ、その表現力の振り幅がこのレンズの強みといえるのではないでしょうか。
作例3:スナップ撮影、その他
ご近所の傘。子供の自己主張を感じます(笑)。少し距離があるけど、背景は自然にボケてますね。
これは何だか分かりますか?店舗のシャッターを近距離で斜めから撮影しています。
夕景を逆光で。ある意味問題作?ですが、個人的な好みでUPさせていただきました!
思いっきり逆光なので、太陽はフレアどころか白飛びし、盛大にクラゲのようなゴーストが出現しています。右端が黒いのは壁が写り込んでしまったからで、周辺減光ではありません🙇
最後はナゾの作例で恐縮です。上の写真と同じ時間帯なのですが、どこでどう撮ったのか記憶にございません…
レンズレビューの作例としては微妙かもしれませんが、こういう面白い表現もできるということが伝われば幸いです。
総評:使ってみてどうなの?
このレンズは、もちろん現代のデジタルカメラ用の設計でもなく、性能面ではあらゆる点で負けているでしょう。でも、撮影するときの意図をしっかりと反映してくれるように感じます。
また、マクロ撮影はマニュアルでピント合わせをする機会が増えます。それを楽しみながら(私は苦しみながら…)撮影技術も鍛えられて、写真表現の幅が広がるのも実感できるかもしれません。
このレンズの作例については、以下「ソニーのデジタル一眼レフカメラ」を紹介する記事でも取り上げております。ぜひご一読ください。


他レンズとの比較:SIGMA 90mm f2.8 vs 競合モデル
SIGMA AF MACRO 90mm f2.8を、近いスペックの新旧マクロレンズと比較してみました。購入を検討する際の参考にしてみてください。
レンズ | 価格 | 重量 | 焦点距離 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
SIGMA AF MACRO 90mm f2.8 | 約1万円(中古) | 340g | 約34mm | 超軽量、高コスパ |
TAMRON SP AF 90mm F2.5 [52E] | 約1万円(中古) | 405g | 約39mm | 初AF化 |
SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS | 約15万円(新品) | 602g | 約28mm | 手ブレ補正、等倍 |
比較のポイント
- SIGMA AF MACRO 90mm f2.8:とにかくコスパ重視ならおすすめです。ピントが甘いということもなく、逆光以外は優等生です。ハーフマクロで十分な方に適しています。
- TAMRON SP AF 90mm F2.5:マクロレンズの概念を覆したタムキュー。その中でも、開放F2.8に改定されrる前のレンズです。本記事のレンズと同時代のもので、格安で入手できます。なお、タムキューは2024年にミラーレス版を発売しました。新品で10万円超…。
- SONY FE 90mm f2.8 Macro G OSS:等倍マクロと手ブレ補正を搭載し、現代のミラーレスに最適化。AF速度も速いが、価格は15万円超。重さもSIGMA 90mmの2倍近くあります。プロや本格マクロ撮影者向けの凄いレンズです。
当たり前の話ですが、新しいほどに高性能となり、高額になります。細かい点で古いレンズに勝ち目はありませんが、「焦点距離90mm・絞り最大開放値F2.8」という条件は同じです。


まずはお手頃価格の古いレンズから始めるのも良い選択肢ではないでしょうか。
「それでは遠回り。最初から最高のレンズで最高の一枚を撮るべき!」というご意見もあると思いますので、ご予算と「何をどう撮りたいか?」で、じっくり考えてみてくださいね。
SIGMA AF MACRO 90mm f2.8の特徴とメリット・デメリット
購入前に知っておきたい、実際の使用感に基づくメリットとデメリットをまとめます。
メリット
- コンパクトで軽量:340gと(当時としては)軽い造り。ミラーレスカメラとの組み合わせでもバランスが良く、持ち運びも楽です。
- ハーフマクロの使いやすさ:最大撮影倍率1:2で、花や小物のクローズアップに最適です。作例のミツバチのような昆虫の撮影がお好きな方にも重宝します。
- シャープな描写:開放F2.8でもピント面がシャープなのが特徴です。1990年頃のレンズながら、今でも十分な解像感が期待できます。
- 美しいボケ味:9枚の絞り羽根により、背景ボケは滑らかで自然。中望遠レンズとして、ポートレートや物撮りでも魅力的な表現をしてくれます。
- 圧倒的なコスパ:中古市場で5,000~10,000円あたりで、程度のよいものを非常に安価で入手できます。
- オールドレンズの味わい:デジタルカメラ向けではないため、最新のレンズのような補正も掛からず、クセがそのまま反映されます。また、柔らかくて情緒を感じさせる発色も特徴です。フィルムライクな写真がお好きな方にも向いているはず。
デメリット
- AF速度が遅い:1990年代の設計のため仕方ないのですが、動体撮影には向かないと思います。マクロ撮影時、オートフォーカスは迷いやすいので、マニュアルフォーカスをおすすめします。
- 逆光耐性が弱い:フレアやゴーストが発生しやすい点は否めませんが、撮影の目的によっては魅力でもあります。フードを使用することである程度軽減できるでしょう(私は所持しておりません…)。
- 手ブレ補正なし:このレンズ固有の問題ではなく、古いレンズの宿命でもあります。カメラ本体に手ブレ補正があれば大丈夫です。カメラにも無い場合はISO感度を上げたり、三脚を活用したりしましょう。
- ハーフマクロの限界:メリットとは両極ですが、等倍マクロじゃないから物足りない!となるかも。でも、そんなときは冒頭でお伝えした専用のフィルター「LIFESIZE-ATTACHMENT」で解決できます。
- 外装に難あり:こちらは以下「加水分解」をお読みください。
レンズ本体がベトベトになる「加水分解」について
デメリットのひとつと言えるのが、この時代のシグマのレンズでよくある現象です。表面のラバーコーティング?が経年劣化で加水分解してベトベトになっているものによく遭遇します。
私のレンズもご多聞に漏れず💧どうしたかというと、結局全部剥がしてツルツルにしました(笑)。
注意点は、文字もプリントなので一緒に消えてしまうことです。見ての通り、もはや型番の情報はどこにもありません💧
これが1000円台で購入できた理由です
よくある質問(FAQ)
他にもご不明な点は多々あると思いますので、Q&A方式でお答えします!
Q1:SIGMA 90mm f2.8はミラーレス一眼カメラで使えますか?
A:はい。ただし、そのままでは使えません。マウントアダプターを用いることで可能となります。
各社、純正品のマウントアダプターが発売されておりますので検討してみてください。
メリットはオートフォーカスが使えること・レンズ情報が記録されること、など多々あります。
- ソニー:「LA-EA4」や「LA-EA5」など→αEマウント(カメラ側)⇔αAマウント(レンズ側)
- キヤノン:「EF-EOS R」⇒EOS Rマウント(カメラ側)⇔EF(レンズ側)
- ニコン:「FTZ」「FTZ ii」⇒Zマウント(カメラ側)⇔Fマウント(レンズ側)
Q2:等倍マクロが必要な場合、このレンズはおすすめですか?
A:いいえ。ハーフマクロなので物足りないかもしれません。ただし、専用のフィルター「LIFESIZE-ATTACHMENT」を装着することで、等倍マクロのレンズとしても使用可能です。なお、花や小物の撮影がメインなら、ハーフマクロで十分撮影可能です。
中古で購入した場合、付属していないことが大半と思いますので、ネットで探してみてください。
Q3:逆光撮影での注意点は?
A:フレアやゴーストが発生しやすいので、レンズフードを装着し、角度を調整してみてください。それよりも「オールドレンズの効果」と割り切って、それらの現象を楽しむことをおすすめします👍
まとめ:SIGMA AF MACRO 90mm f2.8は誰におすすめ?
SIGMA AF MACRO 90mm f2.8は、軽くて安いハーフマクロレンズで、ポートレートにも使える魅力的なオールドレンズでもあります。現代のミラーレス一眼カメラでも、マウントアダプターを活用すればその味わいを楽しめます。
以下に、おすすめできる・できないを分けてみました。
- おすすめな人:
- 低予算でマクロ撮影を始めたい初心者の方
- オールドレンズの情緒的な描写を愛好する中級者の方
- ポートレートやスナップにも使える中望遠レンズを求める方
- おすすめでない人:
- 等倍マクロや高速AFを必要とするプロカメラマンの方
- 逆光耐性や手ブレ補正を重視する方
- 高精細・高品質を求める方
実写レビューを通じて、このレンズの魅力を感じていただけたなら幸いです。
ぜひ、中古市場で掘り出し物を探し、撮影を楽しんでください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。