コスパに優れた明るいズームレンズをお探しの方へ。
「MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4」はいかがでしょうか。
結論としては”そこそこ”おすすめのレンズです。
とはいえ、あらゆる意味でほとんどの方にハマることのないレンズでもあります。

えっ…レビューの意味あるの❓
おすすめする一番の理由は「小三元=F4通しのズームレンズ」であること。
※詳しい意味は記事の中でお伝えします
そして、中古市場で1000円前後で入手できること。
それでいて、なかなか優秀な写りという性能を持つ反面「不人気のAマウント」という避けられないハンディを背負った、実力の割に忘れ去られた「悲劇のレンズ」なのです(大げさですね)。
本記事では、このレンズの「魅力」に加えて「魅力がない理由」まで、実写レビューを交えて解説してまいります。


クセのないボケは好感が持てます。
MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4の基本情報
「MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4」は1985年、「MINOLTA α-7000」のキットレンズとして発売されました。
このカメラのほうが、「世界初のオートフォーカスを搭載」し、歴史に名を刻んだ偉大なカメラなのです。国の「未来技術遺産」に登録されているとのこと。日本の技術が世界を驚かせていた時代の話ですね。


そんなα-7000のキットズームレンズなので、気合いが入ったレンズであることは間違いありません。
MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4 | |
---|---|
センサーサイズ | フルサイズ対応 |
焦点距離 | 35-70mm(フルサイズ) / 52.5-105mm(APS-C) |
最大開放値 | f4通し |
マウント | SONY/MINOLTA Aマウント |
最短撮影距離 | 通常時1m/マクロ時0.32m) |
発売時価格 | 35,000円 |
中古市場相場 | 500~2,500円 |
1985年に定価35,000円なら、そこまで安いわけではないですよね。
しかし、そんな偉大なカメラの相棒でもあるこのレンズが、今では「ジャンク棚」の常連となっております。
私が入手したレンズも某リサイクルショップのジャンク棚から500円で救出しました。
“2倍”ズームレンズ…
MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4はズームレンズです。が、名称からも分かる通りズームの範囲は「2倍」です。
技術が進み、ズームの範囲が広がり続ける中、2倍とは何とも中途半端ですよね。標準ズームとしては絶滅危惧種(?)で、これが不人気の理由のひとつであることは明白です。現代の標準ズームレンズで近いものは「28-70mm」あたりになっていて、より広角側が強くなったものが主流です。
造りとしては、非常にコンパクトなのが特徴で、ズームレンズの中でも最小の部類に入るのではないでしょうか。
また、いまどきのレンズには存在しない「マクロレバー」なるものが存在します。お風呂のシャワーなどで「40℃以上」にするときのロック解除ボタンに似ています(笑)。
これを回すと最短撮影距離がグッと縮み、30センチ近くまで寄れるマクロレンズにに変身するのです。
※ただし、オートフォーカス機能は解除され、マニュアルフォーカスになります。
中古市場でコスパ最強レンズ
このレンズは中古市場で非常に手頃な価格で入手可能です。しかも安いからといって不動品ではないことがほとんどで、リサイクルショップのジャンク棚に入っていても、フリマアプリでゲットしても、大概は正常に動作します。
稀に絞り羽根に油が染みてしまい、絞りの動作がスムーズでない個体がある点は注意が必要です。
※古いレンズでは定番の「レンズのクモリ」には注意して購入しましょう。
小三元レンズとは
さて、タイトルにもある「小三元レンズ」とは、広角ズーム・標準ズーム・望遠ズームの3種類のズームレンズで、「絞り最大開放値」が全域において「F4」で通されているものを言います。
麻雀の上がり役に例えた呼び方ですね。
MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4は、その中で「標準ズーム」として位置づけられます。
ちなみに本レンズのセットとなるレンズの各焦点距離ですが、広角ズームは「24-50mm」、望遠ズームは「70-210mm」となっております。
現代であれば「24-70mm」として一本に収まるはず。
ですので、今となっては全てのレンズが微妙なズーム範囲に感じられますよね。
広角ズームが「16-35mm」などであれば、現在でも「3兄弟」として需要があった…かもしれません(笑)。
実写レビュー
では、実写レビューへ進みましょう…
今回の相棒は、ソニーのフルサイズデジタル一眼レフ「α900」です。
ミノルタのAマウントはソニーが引き継いだので、そのまま使えます!
ただし、ソニーのミラーレス一眼は「Eマウント」で装着できませんので、気を付けてください。
専用のマウントアダプターが必要です。
Aマウントはデジタル一眼レフの規格なので、今後新たな展開は望めませんが、往年の名レンズが中古市場で格安で手に入るため、今でも魅力いっぱいです。
こちらの記事で紹介しているので、合わせてお読みいただけましたら幸いです。


画質と解像度
実際に撮影した写真を見てみると、MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4は非常にシャープな画質に仕上がることが分かります。特に中央部の解像度は高く、細部までくっきりと描写されていますね。
フィルムカメラ時代の古いレンズですが、デジタルでも通用する表現力を誇ります。
ミノルタの技術は素晴らしいですね!
色再現とコントラスト
このレンズは、色の再現も自然で、コントラストも申し分ないです。風景写真やポートレート撮影において、被写体の魅力を引き出せると思います。
さすがは「α-7000」のキットレンズです。
※かと言って最新のレンズと、じっくり比べないでください(笑)
こちらは郵便ポストをアップで。色味もコントラストもいい感じです。
逆光への耐性は?
古いレンズの楽しみ?でもある、逆光での撮影を試みました。
まずは、フレアです。うっすらと虹のような色味を放ってますね。うまく生かせば芸術的な写真が撮れそうです。
こちらはゴースト、ですね。青い虹のような、ちょっと珍しい色味になりました。
私はフレア・ゴーストの達人ではないので、ネットで作例を検索してみてください🙇
ボケ味の魅力
開放絞り値がF4なので過度にはならない、ほど良く美しいボケ味を楽しむことができます。
こちらは猫のしっぽ。毛先ではなく中央付近にピントが合ってしまいました。
こちらは「マクロモード」で撮影しています。マクロレンズには敵いませんが、そこそこの接写が楽しめます。
マクロモードでもボケ味は自然ですね。
マクロモードは望遠端の70mmになったところで、「MACRO→」と書かれている下にある銀色のレバーを押し上げて、フォーカスリングを矢印方向に回します。
マクロモードはオートフォーカスが効かないので、本体側で「マニュアル撮影モード」にする必要があります。
使い心地について
かなりコンパクト!
MINOLTA AF ZOOM 35-70mm f4は、非常にコンパクトな造りになっています。同じ時代の2倍ズームレンズの中でもコンパクトさでは群を抜いているのではないでしょうか。
ただし、軽いかというとそんなことはなく、デジタル一眼レフカメラ全盛期に乱立していた安っぽ…失礼、プラスチッキーなキットレンズと違い、フィルムカメラ時代のキットレンズだけあってチープな造りではないため、少し重く感じられるかもしれません。
マウントはプラスチックではなく金属製。距離目盛もちゃんと表示窓で確認できるタイプで、しっかりとした造りになっています。
フォーカスとズームの操作
フォーカスリングとズームリングはよほどのことがない限り、ジャンク棚のレンズであっても滑らかに動作し、操作で困ることはまずないでしょう。初心者の方でも簡単に扱うことができると思います。
ただし、私がこれまで入手したレンズがいずれも問題がなかった、というわけではありません。
一番多い問題点は「ズームリングの固着」です。
これは、リングをスムーズに動かすためのグリスが内部で劣化することで発生します。
修理の技術があれば、レンズを分解してグリスを再塗布すれば解決するようですが、私はやったことがありません…
耐久性と信頼性
MINOLTAのレンズは、今回のレンズに限らず、その耐久性と信頼性でもよく知られています。これは、最初に申し上げたように「ジャンク品でも正常動作品であることが多い」ことで、私自身が実感しております。
とにかく長い年月が経過しても性能が劣化しにくいので、安心して使い続けることができます。
ただし、ひとつ前の章で挙げたズームリング・フォーカスリングで見られる「油」関連のトラブルは他にもあります。それは、逆に量が多すぎて「絞り羽根」まで浸潤し、羽根の開閉がスムーズに動かない、というパターンです。
こういった内部のメンテナンスは分解作業を伴いますが、古いレンズなので当然メーカーの修理は望めません。
MINOLTA AF Zoom 35-70mm f4をおすすめする理由
コストパフォーマンスの高さ
このレンズは、中古相場の価格に対して実力はかなり高めです。もちろん最新のレンズと比較してしまうと見劣りする面は多々ありますが、とにかく安いので、お試しで入手してほしいと思えるレンズです。
汎用性の高さ
35-70mmの焦点距離は”中途半端”ではありますが、50mmの単焦点レンズ+αと思えば(無理があるかな…)、ちょっと便利なレンズと言えるかもしれません。
これ一本で、風景からポートレートまで幅広い撮影シーンをカバーできるはず…です。
とはいっても、望遠側はカバーしきれないので、同じシリーズの「70-210mm f4」を持っておけば安心できると思います。
美しい描写力
私の作例で伝わったか分かりませんが、シャープな画質・自然な色再現・美しいボケ味など、今でも十分通用する写真がきちんと撮れます。1000円前後でここまで楽しめるなら十分ではないでしょうか。
結論
MINOLTA AF Zoom 35-70mm f4は、その価格と性能のバランスから「最安の小三元レンズ」として非常に魅力的です。コストパフォーマンスに優れ、標準域をある程度カバーできて、高い描写力を持つこのレンズは、今でも初心者の方から熟練の方にもおすすめです。ぜひ、このレンズを”お試し”で手に入れて、あなたの写真ライフをさらに充実させてください。
検索される場合、F値が固定ではない「MINOLTA AF ZOOM 35-70mm F3.5-4.5」も存在するため、ご注意ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。