デジタル一眼カメラでフィルム風の仕上がりに!マニュアルモードとオールドレンズで実現しよう。

Digital photos like film
  1. あんまりデジタルカメラの完璧な仕上がりが好みではない…
  2. フィルムカメラは難しそうだし、コストが掛かるので手を出しづらい…
  3. フィルム風加工アプリもいいけど、できれば撮った瞬間にフィルム感を味わいたい!

最新のカメラで撮影された、きらびやかな写真に見慣れていると、何とも言えない味わい深い写真が新鮮に感じることってありませんか?

早速ですがこちらの写真、何となく「フィルム風」の仕上がりになっていると思いませんか?
この雰囲気で、全く「加工無し」です。

EOS 5D 初代+SMC TAKUMAR 55mm f1.8
EOS 5D 初代+SMC TAKUMAR 55mm f1.8
プリン

いや…建物の雰囲気のお陰なのでは💧

フォトあ

そ…それもあるけど、それだけではないのです!!

ここでいう「加工無し」には、実は2つの意味があります。

  • 撮影者が、できあがった写真を加工していない
  • カメラ本体が、加工=デジタル補正をしていない

シンプルに、撮影者もカメラも何もせず、フィルム風の写真が撮れるのです。
❶は、設定の「基本パターン」さえ覚えてしまえば、どのレンズでも簡単に撮れます。
❷は、純正レンズだとカメラ側の持つ情報で補正されてしまうのでオールドレンズが必要です。もちろん安価で出回っているオールドレンズでOKです。

  • マニュアル撮影は全部自分で設定するなんて、難しそう
  • オールドレンズを買ってみたけど、オートフォーカスが無いなんて困ります

と思われるかもしれませんが、慣れてしまえば、スマホやコンデジで撮れないような写真が撮れるようになって、友達や家族からも「この写真どうやって撮ったの?」「フィルムカメラ持ってるの?」などと一目置かれたりする…かもしれません。

・・・いや、加工したいんですけど、という場合は、こちらの記事をご参照ください!

目次

フィルム風に仕上げるために「撮影者」が行う3つのポイント

この記事では、とにかく撮影前の手順を最小限に&撮影した写真の満足度を最大限に、を目標にします。
まずはカメラ本体の撮影モードを「マニュアル」にして、以下の手順で設定を進めてみてください。

マニュアルモードは撮影までに手間が掛かり、シャッターチャンスを逃すことにも繋がるため、一般的には推奨されません。しかし、全ての設定を手動で行うことにより、撮影の仕組みを理解できる&自分の好みが見えてくる、などのメリットがあります。

まずは挑戦してみましょう!

F値を小さくして絞りを開放にする

このブログで頻繁に登場する「F値」、光を取り込む量を調節するものです。
まずは、一番小さな数字にして「絞り開放」とする、つまり「最も光を多く取り込む状態」にします。
なぜかというと、主役以外の「背景がボケる」ようにもっていきたいからです。

オートフォーカスレンズの場合、絞り値はカメラ本体のダイヤル(一般的にシャッターボタンの近く)で設定しますが、オールドレンズであれば、レンズ側で設定することになります。
「1.8 2.2 2.8・・・11 16」といった数字が並んでいるリング=絞りリングが該当します。

Super-Takumar 55mm f1.8

レンズの中を見ながら絞りリングを回すと、レンズの中で「絞り羽根」が動くのが分かります。
一番開いた状態=開放になっていたらOKです。

絞り羽根の動きを見てみると…?

実際に絞りリングを回したとき、レンズの中はどうなっているのでしょうか。
まずは、F1.8。このレンズで最も「開放」された状態です。レンズを通してテーブルの木目が見えますね。

そのレンズで一番ボケる状態。

続いて、F5.6。早くもこんなに絞られてしまいました。光を取り込む量が減る、というのがよくわかります。

ボケも感じつつ、より被写体はシャープに。

最後に、F16。このレンズの「一番絞り」です(笑)。F1.8のときと比べたら米粒のようですね。

かなり背景くっきり。日向以外、手持ち撮影は困難に。

撮影は「開放だとフィルム風になるの?」と思われた方、以下の写真をご覧ください。
四隅が暗くなっているのが確認いただけるかと思います。開放だとこの現象が起きやすく、「フィルム風の仕上がり」に一役買ってくれるということになるのです。

SONY α900 + ROKKOR-PG 50mm f1.4
SONY α900 + ROKKOR-PG 50mm f1.4

これは「周辺光量落ち」という現象で、カメラメーカーの「大きな悩みの一つ」です。
ところが、逆に今ではおしゃれな仕上がりとして人気があり、わざと周囲を暗くする「トイカメラモード」などが存在するほどです。
実際に私たちの視界の隅っこが暗いわけではないので、最新のカメラやレンズの組み合わせではほぼ発生しません。
例え発生したとしても、デジタル的に「補正」され、写真になるときには「なきもの」にされるのです。

ピントを合わせる

これも、オールドレンズであれば、レンズの「ピントリング」を回して設定します。
※オートフォーカスレンズの場合、シャッターボタンを半押しするなどして、カメラ側で合わせます。

カメラのファインダーを覗きながら、レンズの先~中央あたりにある部分をくるくる回せば、ピントが合っていきます。このとき、撮りたい対象=被写体を中央に持ってくる必要はありません。

これがマニュアルのメリットで、メインの被写体を「この配置で撮りたい」と構図さえ決めてしまえば、ゆっくりとピントリングを回して、合わせることができます。

EOS 5D Classic+FL135mm f/2.5
EOS 5D 初代 + FL135mm f/2.5

こちらの写真で、私はツバキの花にピントを合わせているのですが、恐らく若干ズレてしまっております。
要するに「失敗」なのですが、実はこの「若干のズレ」が、フィルムカメラ時代のマニュアルフォーカス感を醸し出す可能性がある、と私は思っています。
現代のカメラのように、カメラがオートでバッチリ合わせてくれて、移動したらフォーカスを追随してくれるわけではないので、「人が自分の目で合わせました。が、少しズレました・ブレました」という雰囲気になると考えます。

プリン

失敗をうまいこと誤魔化してるような…💧

フォトあ

単なる失敗だったら記事にUPしませんので💨

電子ダイヤルで露出を決める

最後は、カメラ側で「露出」を決めましょう。
ここでの設定、つまり明暗を工夫することで「フィルム風」な仕上がりを目指すことができます。

設定の方法ですが、ファインダーを覗いたときに、画面の下にこんな部分があると思います。

キヤノンの例になりますが…
シャッターを半押しすると、メーターのようなものが画面下部に出てきます。
この真ん中が、ちょうどよい明るさに仕上がるポイントです。

-2 | | -1 | | ▼ | | 1 | | 2
【暗い←】▲【→明るい】

電子ダイヤルを回すと、メモリの下にあるポインターが左右に動くので、中央になるように回します。

ここは本当に重要なポイントです。
このときに決める明暗が、写真の出来を大きく左右します。

マイナス方向に振ると写真は暗くなり、何となく重い雰囲気のある、意味ありげな写真に仕上がります。
プラス方向に振ると逆に写真は明るくなり、陰影がなくなって、ポップな印象になります。
当然、中央付近にしておけば、できるだけ見たままの世界を再現するのに適しています。

実際に、「マイナス」「中央」「プラス」で何通りか撮影してみて、撮りたいイメージ・好みのイメージに近づけていくのが良いと思います。

フォトあ

少し暗くすると、ノスタルジックな雰囲気も出ていい感じですよ。

プリン

明るくしてポップな仕上がりになるのが好きかなぁ♪

まとめると、以下のとおりです。

  • F値を小さくして絞り開放にすることでボケ量を最大にする
  • メインの被写体にピントを合わせる
  • 露出を調節して写真の仕上がりの明暗を決める

古い病院の看板を、露出をマイナスにして撮影。

EOS 5D Classic+FL135mm f/2.5
EOS 5D 初代 + FL135mm f/2.5
プリン

・・・やっぱり被写体の影響でしょ!!

昭和にタイムスリップしたような風景のお陰で、フィルムカメラで撮影したかのような錯覚を覚えるのかもしれません。
こちら↓の記事も、フィルムっぽい仕上がりの作例となっているので、よろしければご一読ください!

フィルム風に仕上げるために。~カメラ側のお話~

ここまでは「❶撮影者」ができることを書きました。
ここからは、「❷カメラ側」のお話になります。

こちらの話は、撮る人が何かするわけではありません。
写真編集アプリや加工アプリをてを借りることなく「撮った瞬間にフィルムっぽい!」を感じたい方は引き続きお付き合いを。

カメラは「補正」してしまう

実は、カメラの世界に深入りしていないとほとんど認識することはありませんが、デジタル一眼カメラとデジタル対応レンズは、「カメラ側がデジタル的に写真の問題点を補正してくれる」という事実があります。
レンズだけでは補正しきれなかった、例えば太陽光によるフレアやゴースト、周辺の歪みや光量落ちなど問題を、画像処理の段階で修正してくれるのです。その結果、優等生のような写真を量産してくれるわけですね。

ところが、そうなるとそれぞれのレンズが持つクセを、良くも悪くも消し去ってしまうので、仕上がりが「完璧」ではあるけれど「単調」になるという側面も出てきます。
オールドレンズは、基本的にカメラ本体が「今何のレンズを使っているか」を把握できないため、そのレンズに応じた修正を一切しないことになります。

フィルムカメラ時代には、そういったレンズのクセを後から補正できるはずもなく、いわゆる大きな課題だったわけですが、今の「デジタルで補正する時代」には逆に新鮮に映るというわけです。

例えば「絵を描く」という作業では、先生が最後に手を加えるわけではなく、最後まで自分の手・自分の感性で仕上げますよね。撮影も同様に、ぜひマニュアルモード=手動で、自ら好みの写真に仕上げてみましょう。

あえてフレアやゴーストを入れてみる

補正しない点を生かして、レンズの”欠点”「フレア」や「ゴースト」をあえて入れてみるのも、昔のフィルム写真のように感じられるかもしれません。

こちらの写真は、右上に太陽があるため、山の頂上にフレアが、汽車に向かってゴーストが発生しています。

EOS 5D Mark III+PENTACON Auto 29mm f2.8
EOS 5D Mark III+PENTACON Auto 29mm f2.8

こちらはシャワーが降り注ぐようなゴースト。記念撮影だったら「失敗」でしょうけど、フィルム風に表現を楽しむならアリです。ファインダーで覗いたときにはわかるので、そのままシャッターを切りましょう。

EOS 5D+PENTACON Auto 29mm f2.8

見比べていただくと分かるかと思いますが、フレアやゴーストは、使用するレンズや太陽の光の状態によって形が変わってきます。「写真 フレア ゴースト」等のキーワードで検索いただくと、それはそれは美しい作例が表示されます。当ブログの作例は微妙なので(ゴースト出ました!のレベル)、他の方の作例や撮影のコツをチェックしてみてください。私も計算して撮れるようになったら、特集記事をアップします(笑)。
主な注意点は以下の通りです。

  • 開放から絞っていき、好みの形を探る
  • 逆光となる方向にレンズを向ける
  • 太陽そのものはフレームの外側でOK

このとき、ファインダーで直接太陽光を見ないように、十分気を付けてください!

オールドレンズはオート設定に頼れない

ここでもう少し深く、オールドレンズのことを話していきたいと思います。

撮影モードはどうしてる?

皆さんはお手元の「デジタル一眼カメラ」を、どんな感じで使われてますでしょうか?
フルオートでシャッターを押すだけでしょうか。ほかの撮影モードも活用されてますか?
オート以外ではいろいろ設定しないといけなくて、悩ましいものです。

オート撮影モードは、「フィルム風な仕上がり」には全く不向きです。
カメラが自動でシャッタースピード、絞り、ホワイトバランスなど、瞬時に判断して決めてくれて、私達はシャッターボタンを押すだけです。それは確かにラクではあるのですが、どうしても「無難な写り」となってしまうため、朝焼けとか夕焼けとか、「ちょっといい雰囲気」と思ってシャッターを切っても、「すっきりした晴天の真昼」のように「補正」されてしまうのです。

オールドレンズの撮影モードは?

ところが、オールドレンズをいざ入手すると、まずこのオートモードが使えない!という事態に直面します。
どれをどう設定したら良いか戸惑うかもしれません。
ですが、実はパターンさえ掴んでしまえば、それほど難しくはないです。

通常のレンズであれば、

  • レンズをセットする
  • オートモードに合わせる
  • シャッターを切る

の、最速3ステップで済むのですが、オールドレンズでは・・・

  • マウントアダプターを本体にセットする
  • レンズをセットする
  • AFモード / シャッター優先モード / マニュアルモードのいずれかに合わせる
  • レンズで絞りリングを回し、絞り値を設定する
  • レンズでピントリングを回し、フォーカスする
  • マニュアルモードなら本体でシャッタースピードを決める
  • シャッターを切る

と、思いつくだけで少なくとも7ステップが必要となります。
やはり注目は「絞りと開放」を、通常は触ることのないレンズ側で設定する点ですね。

さらに、オートモードでは意識しなくてもよい「ホワイトバランス」も「ISO」も、自分で設定しなければなりません。撮る前に考えること・やることがいっぱいになってしまいます。

これだけ作業が増えると、面倒くさいからやっぱり「いつものレンズで、オートでいいかな」となりそうですね。
しかし、私はここまで20年近くカメラに触れてきて、本当にハッとする写真ができたり、ワクワクした気持ちで撮影に臨んだりするのは「マニュアル撮影」をしているときなのです。

フォトあ

書籍によっては「マニュアル撮影はムダ」と書かれていますが、そんなことはないです。

撮影する場所とタイミングは、もちろん撮影する側が決めるわけですが、オートモードにしていると、「カメラが仕上げをしてくれる」わけですよね。
それって、どうなのでしょう。
例えば、絵を描いていたとして、テーマや構図を考えて、下絵までは描いたけど、色を付けるときに先生がやってきて、「こんな色で書くと上手くみえますよ」って、先生が勝手に仕上げてしまったら?
もしくは、できあがった絵に手を加えられてしまったら…
確かに「いい仕上がり」にはなるでしょうけど、悲しい気持ちになりますよね。

EOS 5D 初代+SMC TAKUMAR 55mm f1.8
EOS 5D 初代+SMC TAKUMAR 55mm f1.8

まとめ。挑戦したその先に…

「どんな写真を撮りたいか」は、私たちが抱いている”思い”です。その集大成となる「仕上げ」を、いつでもカメラにお願い・お任せしてしまうのは、もったいないと思うのは私だけでしょうか。

あなたも何か思うところがあって、デジタル一眼カメラを手にしているはず。

当然、マニュアル撮影はオートに比べたら難しいです。
よくある失敗は、ピントを外してしまうことかもしれません。
他には、最後の露出の調整を忘れて真っ暗になってしまったり、白飛びしてしまったり。

それを、シャッターチャンス=決定的瞬間にやってしまったら、悲しいことこの上なしです。

でも、そんな失敗も慣れていけば減っていくものです。
失敗と思ったら、その白飛びが「いい雰囲気」に貢献していることなど、いくらでもあります。

それこそが大きなポイントで、「無理矢理フィルム風に仕上げる」わけではなく、工夫して撮るうちに気づいたら「フィルム風に仕上がっていた」というのが理想なのではないでしょうか。

結果的に、「あぁ、こんな写真が撮りたかった!」と思える瞬間がやってくる。
そう、信じております。
自分の作品は、自分で仕上げるようにしましょう。本当に慣れてしまえばどうってことはありません。

ちなみに、いつでもどんなときでも「オールドレンズでマニュアルモード」をおすすめしているのではありません。
被写体が「運動会のリレー」や「走っている列車」など、対象が動的である場合、撮影場所や時間帯が夕方~夜間の暗い場合など、ゆっくり設定したり構えたりできないシチュエーションのときは、失敗する確率が高まってしまうため、オートフォーカスのレンズ、さらには場合によりオートモードのほうがおすすめです。

このテーマの記事は、少しずつ書き足していきたいと思います。
他にも、オールドレンズの買い方についての記事もぜひご参照ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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