ずっと気になっていた、「写ルンです」の使用済みレンズを”再利用”して生み出された、GIZMONの「Utulens/Wtulens」(うつレンズ)シリーズを入手したので、紹介します。
ミラーレス一眼カメラ向けの、かなり楽しいマニュアルレンズです。
作例と、ちょっとしたサンプル的な動画も用意しました。
ミラーレスカメラが”写ルンです”に変身?
昭和~平成初期において爆発的に普及し、令和の今再び静かなブーム(?)となっている使い捨てフィルムカメラ、「写ルンです」。その使用済みとなった本体からレンズだけを取り出し、新たな命を吹き込んだ、画期的な単焦点レンズが「」Utulens / Wtulensシリーズです。
入手したのは、そのUtulensシリーズ中でも、驚愕の薄さを誇る「Wtulens L」という商品です。
まるでボディキャップ!
真ん中で小さく光っているのが、生まれ変わった「“写ルンです”のレンズ」です。
このレンズ、写りが想像以上に楽しすぎます✨
ミラーレス一眼カメラ専用のレンズで、インスタントフィルムカメラ、あるいはトイカメラの楽しさをこのレンズ1本で味わうことができます。オートフォーカスではないけど、ピント合わせを意識する必要はありません。捉えた範囲全てにピントが合う「パンフォーカス」なので、撮る対象を決めたら、あとはシャッターを押すだけです。
実際は「写ルンです」よりオールドな仕上がりになりますが、通常のレンズでは味わえない雰囲気を存分に楽しめる、何とも言えない魅力を持ったレンズなのです。
こちらの記事ではいくつかの作例を紹介しながら、シャッターが切れないときの対処法など、困ったときの設定の仕方についても簡単に説明します。
この小さなレンズの魅力が皆様にお伝えできれば幸いです。
何を撮っても絵になる!
GIZMONでは、「写ルンです」のレンズを再利用した製品を、大きく分けて「Utulens」と「Wtulens」の2種類、リリースしています。
今回入手した「Wtulens」は、2枚のレンズを対照的に貼り合わせることで、Utulensの2倍、広角になっているとのこと。読み方はどちらも「ウツレンズ」?そして、広角タイプはレンズが2枚なので「ダブル」なのでしょうかね。
詳しくはGIZMON公式サイトを参照ください。
こちらの作例は、部屋の照明を撮影しただけの写真です。周囲が暗くなっているのは「周辺光量落ち」という現象です。オールドレンズで出ることがよくありますが、Wtulensは強めですね。
私はこの周辺光量落ちがもたらす、ちょっと幻想的な雰囲気が大好きです。何気ない日常の風景すらおしゃれな感じにしてくれるので、ちょっと嬉しい気持ちになります。
スポットライトを当てたような雰囲気ですね🔦
「何を撮っても絵になる!」というのが最初に抱いた感想です。
ただのミカンも、オールドムービーのワンシーンのような雰囲気。ヴィンテージ感たっぷりです。
「えっ!写ルンですってこんなに四隅が暗くなるカメラだったの?」と思われたら、それは誤解です。Wtulensが「写ルンです」のレンズを2枚使用し、2倍広角にしている造りなので、元の”写ルンです”より写る範囲が広くなっているため、この仕上がりになるのです。
レンズを2枚張り合わせるとは!凄い工夫です。
また、「なんかピントが甘いんじゃないの?」と感じる写真があると思いますが、それはレンズのせいではなく、私が「最短撮影距離(0.5m)」より近い距離にある被写体を撮影しているため、です🙇
ただ、ピントの甘さも「良き味」になっていると感じるのは、私だけでしょうか。
撮影の準備をしましょう
この章では、入手してから撮影をするまで、どんな作業が必要なのかをお伝えしていきます。
「カメラにレンズをセットしてシャッター押せばいいんでしょ?」と言ってしまえばそれまでなのですが、マニュアルレンズを今までに使ったことがない場合など、最初にカメラ本体側で、ちょっとした設定の変更が必要となります。
レンズをカメラに装着!
何はともあれ、まずはレンズをカメラにセットしましょう。
ボディキャップ…?ではなくレンズです!
さて、こちらがWtulensを「EOS M10」」に装着した状態です。
・・・蓋じゃん!!
いえいえ!紛れもない立派なレンズです♪
本記事で登場する「Wtulens L」は、GIZMON公式サイトによると、数ある写ルンですレンズ再利用品の中でも、最も薄いタイプとのこと。厚みのないレンズをパンケーキレンズと言いますが、ここまでくると…本当にボディキャップみたいですよね。
ボディキャップ替わりに常時セットしておけば、撮りたいときにサッと撮れます。
シャッターが切れない?そんなときは…
いよいよ撮影!というときに、いきなり撮ろうとすると「あれ?シャッターが切れない」ということがあるかもしれませんが、故障ではありませんのでご安心ください。
撮影を始めるにはカメラ側で、設定の変更が必要です。
レンズ無しレリーズ⇒「する」
・・・耳慣れない単語が出てきました。
Utulens/Wtulensは電子接点のない、いわゆるマニュアルレンズです。カメラ本体は電気信号が送られないため、レンズがセットされても認識できない状態です。そのため、カメラが初期の設定のままだと、シャッターが切れない場合があるのです。
そこで、少なくとも以下の2点を設定変更する必要があります。
- 「全自動モード→変更」
- 「レンズ無しレリーズ→する」
では、詳しく見ていきましょう。
サンプルの画面は「EOS M10」のものです。機種により異なりますが、概ね差異はありません。詳細については、それぞれの取扱説明書を参照願います。
❶全自動モードを解除する
まずは、撮影モードを「全自動モード」から別のモードに変更します。
全自動=オートモードは、デジタル設計のレンズを使用していることが前提なので、マニュアルレンズは使用できません。
基本的には、どの機種でも「マニュアル露出」「絞り優先」「シャッター優先」「プログラム」のいずれかでシャッターが有効になり、撮影できるようになるはずです。
おすすめは「絞り優先モード」です。明るさに合わせて、適切なシャッタースピードにして白飛びや黒潰れを防いでくれるので、扱いやすいと思います。
全自動モード以外でも、シーン別モード(ポートレートモードなど)、エフェクト系のモード(ジオラマモードなど)といったデジタルレンズ(オートフォーカスレンズ)が前提となる各モードも使用できないため、ご注意ください。
まだシャッターが切れません…という場合は、設定変更❷へ進みます。
❷レンズ無しでもシャッターを押せるようにする
通常、デジタル一眼カメラは「電子接点を持つレンズがセットされていないとシャッターが押せない状態」になっています。
そのため、例えばキヤノンの場合は「レンズ無しレリーズ」という項目を見つけて、「する」にセットしてください。
レンズ無しレリーズの設定は、「カスタム設定 – その他」など、分かりづらい場合がありますので、必ずお手持ちのカメラの取扱説明書や、公式サイトなどを検索してみてください。
オールドレンズを使う場合も同じですが、初期設定は「レリーズしない」になっているようです。
こういうレンズを使う人が少ないってことかな?
ここまで設定すれば、いよいよUtulens/Wtulensで撮影ができるようになります。
さあ、カメラを向ければ、あれもこれも被写体です。バシバシ撮っていきましょう!
改めて魅力に迫る
ここからは再び、作例を紹介しながら、GIZMONのレンズの魅力に迫ります。
ちなみに、こちらの記事にUPしている作例は、いずれも加工無しです。
フィルム写真のような温かさ
一連の作例ですが、どのような印象を持たれますでしょうか?
「構図がちょっと…」といった作品へのご指摘ではなく、Wtulensが生み出す雰囲気のことです🙇
もうちょっといい表情のときに撮ってほしいなぁ😹
派手な色味ではなく、全体に淡い印象に仕上がるため、フィルムのような質感が表現されているかと思います。見慣れた写真とは一味も二味も違う雰囲気を楽しめるのではないでしょうか。
ホントにフィルムカメラやトイカメラで撮影したみたい♪
SNSでも映える仕上がり
Utulensで撮影した写真は、インスタグラムなどのSNSにも絶対に向いています。今風の言葉でいえば「エモい」という表現になるでしょうか。昔風・フィルム風に、トイカメラのような仕上がりが「ただのデジタル写真」より確実にインパクトがあり、印象に残ります。
最新のミラーレス一眼カメラの場合、スマホに写真を転送することも、Wi-Fiで簡単にできます。
本ブログでは、転送方法を解説した記事もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
ハッシュタグで見つけやすくするには?
公式サイトでもおすすめの「#Utulens」「#Wtulens」、他には「#GIZMON」などを付けて投稿してみましょう。逆に、それらのハッシュタグで写真を検索したら、素晴らしい写真に出会えるはずです!
写真にストーリーを。
撮り慣れてきたら、トイカメラらしい雰囲気を生かして、写真にストーリー性を持たせてみてはいかがでしょうか。一歩進んだ撮影方法です。家の中から外に飛び出して、被写体に関連性を持たせるように複数の写真を撮影してみると、何となく意味深なイメージを鑑賞者に与えることができます。
「普通のレンズ」より、ドラマチックな雰囲気を醸し出すレンズです。いつもと違う気持ちで撮影に挑むのも、もっと写真を好きになるための近道です。
動画も挑戦してみよう
動画の撮影においても、周辺減光などのオールドな雰囲気はそのまま表現されます。また「パンフォーカス」ということで、ピンボケになることもありません。
ちなみに、記念すべき「じぶんカメラ(本ブログ)初!!」のYouTube動画です。
他にも撮影してみたのですが「手持ち」だったため、遠景は「手振れ」がひどいことになり…UPを見送りました。
動画撮影時にも手振れ補正が効くタイプのカメラであれば問題ないかもしれませんが、基本的には「三脚」を使ったほうがよいです。
デメリットは…「メリット」です
ここまで良いことばかり書いてきましたので、デメリットにも触れておかないと、と思ったのですが、このレンズの場合「デメリットはメリット」と言えるでしょう。なので、デメリットは「無い」と言い切ってしまってもいいかな、と思っております。レンズの特徴など、全て分かってから手にする方が多いはずです。「もっと普通に撮れると思っていたのに💢」と腹が立った…なんていうことは、まず無いでしょう。
周辺光量落ちと色かぶり
一般的には弱点≒デメリットとなるはずの「周辺光量落ち(周辺減光)」と「色かぶり」は、このレンズ最大の特徴です。
周辺光量落ち
このレンズはとにかく四隅が暗くなる、いわゆる光量落ちが激しいです。ただし、このレンズの場合は欠点ではなく「持ち味」です。普通に購入したデジタル一眼用レンズがこの仕上がりだったら、クレームの嵐となるかもしれませんが、それも楽しむためのレンズなのです。これを補正したくなるようであれば、使わないほうがよいでしょう。
余談ですが…
私は一眼カメラの「ボケ」が好きなので、ついついボケ多めの写真を撮ってしまうのですが、このレンズは「パンフォーカス」。ボケの表現ができないレンズなのです。ところが、「周辺減光」のお陰で、被写体が浮かび上がるような仕上がりになるため、ボケなくてもしっかり雰囲気を出してくれるところが、とても気に入りました。
このレンズのお陰で「周辺減光」も好きだ!ということが改めて実感できたので、急いで記事にしました👍
ですよねーこのブログの本筋とは違うと思ってたんですよねー
色かぶり
もうひとつの特徴として、「色かぶり」です。色の補正がなされないことで発生するものですね。ほとんどの写真で、周辺において色の変化が発生しており、画面左側は暖色寄り、右側は寒色寄りに変わっているのがお分かりいただけるかと思います。
しいて挙げるデメリット
本当にデメリットは何もないんですね?と言われたら困るので、思いついたデメリットを2点だけ挙げておきます。
写ルンですの完全再現ではない
「デジタル一眼カメラで”写ルンです”を完全再現するレンズ」と思って購入してしまうと、それは違いますのでご注意ください。あくまでレンズの再利用ですので、雰囲気を楽しむレンズだと思います。私の記憶の中の”写ルンです”は、もっと”普通の仕上がり”でした。その仕上がりも、セットされているフィルムの種類によっても左右されるのでワンパターンではないですが、通常のフィルムカメラらしい写真だったと記憶しております。
レンズにより個体差がある
Google画像検索で、「Utulens Wtulens 作例」等で検索すると、それぞれに特徴があるようです。特に色かぶりはレンズごとの個体差がよく出ています。なので、購入してから「撮ってみるまでわからない」と思っていたほうがよさそうです。それもまたひとつの楽しみですよね。レンズごとのクセの違いを確認したくて、何本も追加購入しないように気を付けたいです(笑)。
気を付けたい?振りになるのでは…💧
まとめ
GIZMONの「Utulens/Wtulens」は、デジタル一眼カメラで昔懐かしい「写ルンです」の雰囲気を蘇らせる、究極のトイカメラ風レンズといえるでしょう。なんといってもピント合わせ不要という手軽さで、何を撮っても絵になる、ミラーレスでトイカメラの楽しさを味わうにはベストバイのアイテムかもしれません。
総じて、GIZMONのUtulensは、ミラーレス一眼カメラで新しい写真体験ができる、最適なアイテムのひとつと言えるでしょう。
今回の記事に登場した、「CANON EOS M10」については別の記事でも紹介しておりますので、参考にしていただけましたら幸いです。
ちなみに、キヤノンの「EOS Mシリーズ」は公式サイトから消えた、つまり開発が終了したシリーズとなっております。購入されたい場合は、ほぼ中古となりますのでご注意ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。