はじめに
長い間しまい込んでいた昔のカメラを久々に出してみたら、グリップがベタベタになっていた!そんな悲しい経験はありませんか?
諦めてカメラを買い替えるその前に…ベタベタをふき取り、100均のリメイクシートを使って簡単に修復する方法をご紹介しますので、ぜひ挑戦してみてください。
この記事では、キヤノンのデジタル一眼レフカメラ「EOS KISS DIGITAL 初代」を例に、しょぼくなった見た目を「メイクアップ」させて「もう一度使いたくなる」ようなDIY修復法を、ざっくり解説してまいります。
原因は加水分解?カメラグリップの劣化の仕組みを理解しよう
そもそも、ベタベタする原因は「加水分解」と呼ばれる、ゴム製品が経年劣化してしまう現象です。
全てのラバー・ゴム部品で発生するわけではありませんが、カメラだけではなくレンズや三脚など、年月の経過とともにベタベタになったり、柔らかくなってポロリと折れたり、とにかく「愛用品を長年使い続けたいユーザー」には辛い現象の代表とも言えるでしょう。
見るも無残な姿に…
こちらが元の姿です
元はマットな質感のラバーグリップのようですが、少しぶつけてもゴムが剥がれて、下のプラスチックが剥き出しになるるほど薄いので、「塗装」されているようです。
初代キスデジは何度か購入しましたが、グリップが無事だった個体はひとつもありません💧
同じ機種を”何度か”購入!?
加水分解のメカニズム
加水分解は、湿気や温度変化によってゴムが変質してしまい、ベタベタになったりボロボロになったりする現象です。日本のような湿度の高い環境では特に起こりやすいみたいですね。埃も大敵です。
そして、一度ベタベタになってしまったものは、元に戻ることはありません。
カメラグリップの劣化のサイン
加水分解の初期段階では、グリップがそれまでの滑り止めの感じとは異なり、少し手にくっつくような感じになります。進行すると、最終的には糊のようになり、手にべったりと黒くなり、石鹸で洗わないと取れないレベルになってしまいます。
こうなると、機能的には問題なくても、使いたい気持ちが萎えてしまいますよね。
劣化を防ぐための保管方法
もし、お手元の古いカメラのゴム部品が全く問題ない場合、保管方法や環境が良かったのかもしれません。
出来る限り湿気を避け、直射日光の当たらない場所に保管することで、加水分解を発生させない、または遅らせることができます。防湿庫で保存したり、通常のボックスでもシリカゲルなどの乾燥剤を導入するなどして、工夫してみましょう。
劣化したグリップの除去方法
さて、いよいよ本題に入ります。
まずはベタベタを取り除かないと始まりません。
記事を読みながら、ご利用のカメラにより「リメイクする方法・材料」をいろいろ検討してみてください。
ここからの内容は、あくまで一例としてご参考にしていただけましたら幸いです。
必要な道具と材料
今回の例は「グリップの表面がベタベタ」というパターンです。
その場合の除去については、以下の道具が必要です。
- ヘラのようなもの=劣化したゴムを剥がす
- アルコールなど=残ったゴムを浮かせる
- キッチンペーパーやぼろ布=ふき取る
カメラによっては、グリップの素材自体が厚めのラバーということもあります。
初代キスデジなど、エントリー機はコストカットのためか「プラスチックにラバー塗装」というパターンがほとんど。
この記事は後者「プラスチック素材に塗られた薄いラバーの対処法」ですので、ご留意願います。
アルコールは「無水エタノール」なども良いですが、皮膚に触れると荒れたりするので、安全性を考慮すると100均の「シール剥がし」や、除菌用のアルコール(パストリーゼなど)がおすすめです。
ベタベタの除去手順
- ヘラ状のものを使って劣化したグリップ表面のゴムを丁寧に剥がします。
- アルコールをキッチンペーパー等に含ませ、残ったベタベタを拭き取ります。
完全に除去した状態。
テッカテカですねぇ✨
この段階でベタベタすることはなくなるので、作業終了!でも問題はありません。
でも、上記の写真のようにシボ加工もしていないテカテカしたプラスチックのグリップは、まるでおもちゃのようで恐ろしいほどにカッコ悪いです泣。
注意点
カメラ本体を傷つけないように、ヘラなどの固いものを当てる際は十分注意してください。
また、アルコールなどがカメラ内部に侵入させないためにも、本体には直接かけないようにしましょう。
リフォームする箇所以外に影響を及ぼさないことが大事です。
ここからは「安っぽくなった見た目を何とかしてあげる作業」となります。
カッターやアルコールを使いますので、安全第一で作業を進めてください。
また、作業を始める前にカメラの体制を整えておいてください。
- 電池を外す
- 電池の蓋も可能であれば外す
- レンズを外し、ボディキャップを装着する
ストラップやアイカップは任意ですが、外せるものは外しておきましょう。
ただし、ボディキャップは必ず装着しておいてください。
100均リメイクシートで新しいグリップを作成
ベタベタが取れたら、いよいよシートを貼っていきます。
シートと道具を揃えてからスタートしましょう!
- リメイクシート=今回の主役です
- ドライヤー=シートがシワにならないよう伸ばす
- カッター、はさみ=シートを切る・整える
リメイクシートの選び方
100均には様々なリメイクシートがあります。
必ずしも100均に絞る必要はありませんが、素材はできるだけ薄いものを選びましょう。曲面なので、分厚いタイプのものは不向きです。
そして、どんな見た目のグリップにするか?も楽しみのひとつですね。
「レザー調」のものは、見た目がカメラに馴染む・純正のグリップらしい自然な仕上がりになる…など。
「木目調」のものは、クラシックな雰囲気になる・オプションの別売りグリップを装着した感じになる…など。
「カーボン調」や「赤や青などの原色」にして、冒険するのもありかもしれません。
今回使用したのはレザー調・ブラックのリメイクシートです。
黒革のような雰囲気に生まれ変わるはず・・・です!
リメイクシートのカット
まずはシートのカットから。ここはハサミでもカッターでも大丈夫です。
カメラのグリップ部分のサイズを測り、測ったサイズよりリメイクシートを大き目にカットします。
リメイクシートの裏面は方眼紙のようになっているので、寸法が測れて切るときにも便利です。
グリップの面積に対し、すべての辺が「+0.5cm」程度、大きくカットするのがよさそうです。
リメイクシートの貼り付け
カットしたシートを台紙からそっと剥がして、慎重に貼り付けを開始します。このとき、凹凸の「凹」部分から気泡が入らないように、ゆっくりと貼り付けていきます。
グリップは基本的に「曲面」になっているため、最初に凹んでいるところにシートをしっかり押し当てて、左右に引っ張るように貼っていきます。そうしないと、後から浮きやすくなってしまいます。
当然、ここから「ヨレ」が発生するため、ここで焦るとシワシワになり、悲しい仕上がりになってしまいます。
「やらなきゃよかった」とか「剥がして中止に…」みたいなことになるので、ゆっくりゆっくり、慎重に進めます。
薄いリメイクシートはドライヤーで温めて伸ばしながら貼ると、シワになりにくいです。
ヤケドしないように、またシールが熱で溶けないように注意しながら進めましょう。
スプーンの柄などで、シワになりそうな箇所を押さえながら進めると綺麗に仕上がりやすいです。
仕上げのコツ
シートの端をしっかりと押さえ、剥がれないようにします。
グリップと本体の境界線は自分の爪でもよいので、なぞるように全体をフィットさせてください。
底面は見えない部分なので見た目は手抜きしても大丈夫ですが、こちらもドライヤーで温めて、しっかり折り込んで密着させます。
上の写真が折り込んだ状態。このままでは電池蓋が閉まらないので、カットします。
下の写真がヘリに合わせてカットした状態。シワシワになるので、少し縦に切り込みを入れています。
グリップと本体の境界は、カッターを沿わせて丁寧にカットします。
ここは一番神経を使う部分です。カッターの刃がズレると、せっかく貼ったリメイクシートが台無しに…
それどころか、本体に傷をつけてしまいます。
時間は何分かけても良いので、今回の作業で「最も慎重に・丁寧に・ゆっくりと」進めましょう。
見た目が激変!リメイク後のカメラの使い心地
ついに完成のときが来ました!生まれ変わった相棒の姿をしげしげと眺めて「自己満足の世界」に浸ろうではありませんか(笑)!
純正の初代キスデジはマットな質感でしたが、レザー調シートの効果で革のグリップのようです✨
もしかしたら、オリジナルより高級感が出ちゃった感じでしょうか♪
見た目の変化にうっとり?
レザー調のリメイクシートを使用したことで、みすぼらしい姿をさらしていたカメラが、まるで新品のように(大げさ!?)生まれ変わりました。少しですが高級感も増して、また使ってみようという気持ちになるというものです。
グリップの窪みにある丸いシルエットは「リモコン受光部」です。
普段使わないのでそのままでもよいのですが、思い切ってココもカッターで切り抜きました。
こういう部分はカッターを滑らせるのではなく、先端で境目をチクチク刺すように、丁寧にゆっくり時間をかけて作業しましょう。
カッターを使う場面は、とにかく手抜きをしないこと・気を抜かないことが大切です。
カメラやシートを傷つけず、満足できる仕上がりのためにも、完成を急がないようにしましょう!
自己採点…
さて、バッチリ決まったかのようにお伝えしてしまいましたが、実は…よく見ると、ところどころにシワ・ヨレ、若干の気泡があるのがお分かりいただけるかと思います。
せっかちなので、完成を急いでしまいました。正味1時間ちょっとでしたので、もう少し丁寧に作業していれば、もっと美しい仕上がりになっていたと思います。
まぁ、100円で購入したシートの「ほんの一角」を使っただけなので、一からやり直してもよいのですが、初挑戦でここまでできれば「合格点」といいましょうか…許容範囲ということでOKとしました。
後は、多少の根気が必要ですので、がんばってみてください!
グリップの機能性は?
さて、機能面となると悲しいかな、「100均のリメイクシート」では何も変わりません。
元のラバー感が戻るわけではなく、プラスチックの上に薄いシールを貼ってあるだけなので、あくまで「見た目がカッコ良くなる」程度でお考えください。
多少、ツルツルのプラスチックよりレザー調の模様による凹凸があるので、幾分か滑り止め効果がアップしているかもしれませんが…。
もし滑り止め効果などを期待するのであれば、こういったシールではなく「ラバースプレー」を吹き付ける、という方法もあります。
こちらは私にとってはハードルが高く「未経験」ですので、ご興味ある方はぜひネット検索してみてください。
耐久性は如何に?
せっかく貼ったのだから、しばらくは持ちこたえてほしいですよね。
実は今回使用したリメイクシートは、数年前に購入したもので、その頃「グリップの反対側」に貼り付けた実績があります。
初代キスデジはここもベタベタになる…
今回改めて確認してみましたが、色褪せや粘着力の低下はありませんでした。
これは、選択したシートの素材により異なるでしょうから、耐久性は運次第ということになります。
最近の補修シートは他でも試しておりますが、すぐに劣化するようなことはなさそうですけどね。
悲しい余談…
ラバー・ゴム製品の劣化はグリップ部分だけではありません。
上の写真をもう一度見ていただきたいのですが、端子部分が丸出しになっております。
今回、リメイクシートの状態を確認するとき、この部分にあったゴム製のカバーをめくろうとしたら「ボロリ」と取れてしまいました…
カバーはリメイクできないので、別の悩みが生まれてしまいました。
また何か対策できたら、記事にアップしようと思います泣。
おわりに
以上、カメラのグリップを100均のリメイクシートで修復する方法を紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
簡単なDIYで、見た目も機能も向上させることができます。ぜひ試してみてください!
なお、今回のモデルとなったカメラ「EOS KISS DIGITAL 初代」ですが、デジタル一眼レフを世間に浸透させた功労者でもあります。記事もありますので、目を通していただけましたら幸いです。
この製品は発売から20年以上が経過しておりますが、日中などカメラに優しい撮影条件であれば今でも十分使えます。
中古市場では数千円で入手できるので、お遊び程度に持っておくとちょっとだけオールドな写真を楽しめます♪
もし入手されたら、グリップが「ベタベタ」か「ツルツル」になっていると思うので、ぜひ今回の例を参考にして、リメイクに挑戦してみてください!
この記事が皆様のカメラライフをより豊かにする手助けとなれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!