「風景を広く撮りたいけれど、超広角レンズって本当に必要なの?」
「標準レンズやスマホの広角カメラでも十分なんじゃないか…」
新しいレンズの購入を検討する際、このように迷ってしまう方は非常に多いです。決して安くはない機材ですから、慎重になるのは当然ですよね。
しかし結論から言うと、もしあなたが「目の前に広がる景色を、感動したそのままのスケールで残したい」と少しでも感じているなら、超広角レンズは絶対に体験すべき素晴らしい相棒になります。
この記事では、超広角レンズだからこそ撮れるダイナミックな世界や、メリット・デメリット、そして標準レンズとの違いを分かりやすく比較します。私が実際に愛用している「EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM」の作例を交えながら、その魅力に迫りましょう。
絵になる場所へ行こう!

超広角レンズとは?標準レンズにはない圧倒的な世界
超広角レンズとは、一般的にフルサイズ換算で「焦点距離が24mm以下」の非常に広い範囲を写せるレンズのことを指します。
人間の目でしっかりピントを合わせて見ている範囲(視野)は、標準レンズ(約50mm)に近いと言われています。超広角レンズは、私たちが「視界の端っこ」でぼんやりと感じている景色まで、すべてを1枚のフレームの中にギュッと収めることができる、まさに魔法のようなレンズです。
超広角レンズを使うメリット・デメリット
圧倒的な世界を見せてくれる超広角レンズですが、万能ではありません。ここでは、良いところと注意すべきところを包み隠さずお伝えします。
メリット1:風景や建築物をダイナミックに切り取れる
最大のメリットは、広大な風景や巨大な建築物を、まるで「世界を切り取る」ように、一枚の写真に丸ごと収められることです。手前にあるものを極端に大きく、遠くにあるものを小さく写す「パースペクティブ(遠近感)」が強く出るため、写真に強烈な奥行きと立体感が生まれます。
メリット2:後ろに下がれない狭い場所でも広く撮れる
室内や路地裏など、「これ以上後ろに下がれない!」という物理的な制限がある場所でも、超広角レンズがあれば空間全体を広く写し出すことができます。
デメリット1:余計なものが写り込みやすく、構図が散漫になる
とにかく広い範囲が写ってしまうため、電柱や看板、足元のゴミなど、見せたくないものまで画面に入ってしまいます。主題(何を撮りたかったのか)がボヤけやすいため、構図をしっかり整理する引き算のスキルが求められます。
デメリット2:画面の端が歪みやすい
超広角レンズの特性上、写真の四隅に向かって引っ張られるような歪み(パース)が発生します。風景では迫力に繋がりますが、画面の端に人物を配置してしまうと、顔や体が不自然に引き伸ばされてしまうため注意が必要です。
【比較表】超広角レンズと標準レンズの違い
それぞれのレンズの特性を分かりやすく表にまとめました。
| 項目 | 超広角レンズ(例:16mm〜24mm) | 標準レンズ(例:50mm前後) |
|---|---|---|
| 得意な被写体 | 雄大な風景、星空、巨大な建築物、狭い室内 | スナップ写真、ポートレート(人物)、静物 |
| 写る範囲(画角) | 人間の視界よりもはるかに広い | 人間が自然に見ている視野に近い |
| 遠近感(パース) | 非常に強く出る(手前が大きく、奥が極端に小さい) | 自然で目で見た感覚に近い |
| ボケの作りやすさ | ピントが全体に合いやすく、大きくボカすのは苦手 | F値(絞り)を開放すれば、綺麗なボケを作りやすい |
| 撮影の難易度 | 構図の整理が必要なため少しコツがいる | 素直な写りで初心者でも扱いやすい |
【作例】名機「EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM」の実力と魅力
ここで、私が実際に風景撮影で愛用している超広角レンズ「Canon EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM」の作例をいくつかご紹介します。
作例は全て「EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM」で、焦点距離は「10mm」、つまり広角端のものばかりを集めました。
※フルサイズ機で「15mm(キヤノンは16mm)のレンズ」で撮影した画角と同等となります。
カメラ本体は、古いですが「CANON EOS KISS DIGITAL 初代(!!)」です。
風景写真用レンズとして
超広角レンズは間違いなく風景写真を得意とします。目の前に広がる広大な風景を一度に捉えたい!というときに、余裕で仕事をこなしてくれます。
例えば、小高い丘の上から見下ろすようなシチュエーションや、海岸線の撮影では、その広がりを余すことなく表現することができます。
このレンズはAPS-Cセンサー専用のモデルですが、フルサイズ換算で約16-35mm相当という、まさに超広角の王道とも言える画角を持っています。
海の撮影にも向いてます。写っているのは、たまたまそこにいた人です。

人物が小さすぎるので、もう少し手前にいるとバランスが良いかもしれません。
超広角レンズは近くの人もすぐに「遠く離れて小さくなる」ので、なかなか難しいです。
一点透視図法を表現したいときにも強いですね。しかし、こちらも隅っこの木が傾いてしまいました。
少しでも上下に傾けると歪みが発生します。避けたい場合は「水平に持って撮ること」を心がけましょう。
常滑の焼き物散歩道です。とにかくカメラを水平に保つことで、歪みを抑えられます。
こちらは林の中で、あえて煽って撮影しています。鬱蒼として、不気味さが増していると思いませんか?
こちらの池の写真は緑が鮮やかで、個人的には好きな写真です。が、ダメなポイントもいくつかあります。
まずは何といっても左下の「誰かの手」です。撮影時には気づいていないんですよね。
そして、いい雰囲気のおばあちゃん(?)は微妙に遠くて、主役としては弱くなってしまいました。
写真の左側3分の1を切り取ると、多少は良くなりそうですが。
中望遠レンズで狙ったほうが良い写真になったことでしょう…
こちらの作例のように、壮大なスケール感を出したいときもおすすめです。
このときは木の大きさを表現したくて撮影したのを記憶しております。
しかし、左下の街灯は倒れそうなほど傾き、右下のお城はピサの斜塔のようですね(笑)。
こちらも左右を切り取って「スクエア」にすると良くなりそうです。
煽って=カメラを斜め上に向けて撮影したときは、より「四隅の傾き」が強く出るので気を付けましょう。
建築物用レンズとして
建築写真においても、超広角レンズは大活躍します。高層ビルや大きな建築物を、近距離からでも全体像を捉えることができます。また、建物の内部を撮影する際にも、狭い空間を広く見せることもできるため、インテリア写真にも適しています。
こちらは「名古屋市美術館」です。曲がってみえる、のではなくそういうデザインです(笑)。
建物の迫力が増しているのが分かります。こういったデフォルメ感を楽しめるレンズともいえますね。
空に見える黒い点はゴミではなく鳥です。シャッターを押すタイミングには十分気を付けましょう(笑)。
こちらは建築写真と言えるか微妙ですが、近くても建物全体を撮れるのは大きなメリットです。
こちらもずいぶん横長のお城なのですが、全てを収めてなお余りあるという画角です。
教会を見上げて撮れば、その雰囲気と迫力を増大させてくれます。
天井を見上げているのに、地上の椅子まで丸ごと収められるのは超広角レンズならでは、ですね。
さて、いずれも素直な「建築写真」ではなかったですが、建物全体を撮りたい・迫力を増したいというときには物凄いパワーを発揮することが伝わりましたでしょうか。
アートにも強い!
超広角レンズは、クリエイティブな表現にも大いに力を発揮しますので、撮影可能なアートや展示物のイベントがあれば、持ち出してみましょう。以下の作例は「(いろいろあった)あいちトリエンナーレ」の作品群です。
最短撮影距離が短い「寄れるレンズ」であれば、被写体に極端に近づいて撮影することができるので、独特の遠近感を表現することができます。
上の作例は、自転車の後輪がインパクトを放っています。前輪が同じサイズとは思えないですね。
このような視覚効果を加えることができ、通常のレンズでは実現し得ない表現が可能となります。
それにしても、右上の車輪はここまで歪むのかと驚くほど楕円形。実際はもちろん円形です。
こちらの部屋(?)も作品のひとつ。カメラを水平にすれば、そこまで歪みは無く「普通の写真」に感じますね。
ただし標準的なレンズでは、室内で・この立ち位置において、この範囲の画角で撮ることは難しいです。
紙箱を並べた作品。四隅は「平行四辺形」になってますが、作品の面白さはよく表現できている気がします。
こちらは蛍光灯で数字を表現している作品。不思議な世界観ですね。
こんな感じで、インスタレーション系の作品は被写体としておすすめです。
なのですが、基本的に被写体は自分の作品ではなく、あくまで「人の作品を写真に収める」ことになるので、ブログにアップしてよいものかどうか、その場で著作権などを確認し、取り扱いには十分注意してください。
カメラのキタムラさんの公式サイト「ShaSha」の特集ページですが、こちらの作品が超広角レンズの長所を存分に生かしておられますので、参考にしてみてください。

私の作例は「失敗例」も含めてアップしておりますので、いろいろな観点でご覧ください。
失敗しない!超広角レンズを使いこなす3つのテクニック
超広角レンズを手に入れたら、以下の3つを意識するだけで写真が劇的に上達します。
- 一歩、いや三歩前に踏み込む: 広く写る分、被写体が小さくなりがちです。主役に「ぶつかる!」と思うくらいギリギリまで近づくことで、手前が強調されて大迫力の写真になります。
- カメラの水平・垂直をしっかり保つ: 少しでもカメラが傾くと、建物などが不自然に倒れて見えてしまいます。カメラ内の水準器を使って、水平をきっちり出すのが基本です。
- 視線を誘導する「線」を見つける: 道や川、柵など、画面の奥へと続く「リーディングライン(視線誘導線)」を構図に入れると、超広角の遠近感がさらに際立ちます。
超広角レンズに関するよくある質問
イメージセンサーごとの違い
お手元にカメラをお持ちの場合、イメージセンサーがどれにあたるかご確認ください。
それぞれの「超広角レンズの焦点距離」は、ズームの範囲で以下の通りです。
- フルサイズ機:「およそ16mm~24mmあたり」
- APS-C機は「およそ10mm~16mmあたり」
- マイクロフォーサーズ機は「およそ8mm~12mmあたり」
例えばAPS-C機にて「焦点距離16mm」で撮影した写真は、フルサイズ機で「焦点距離24mm(CANONは26mm)」で撮影した写真に近い画角となります。
「フルサイズ・16mm」の画角をAPS-C機で求めるなら「10mm」にする必要があります。
フルサイズ機そのままを基準にしていると、APS-C機では”超広角感”が薄れて「おや?」となってしまいます。
逆に、フルサイズ機でAPS-C機専用のレンズを使えばさらなる超広角になるのか?というと、そうはなりません。
想定されている画角が狭いため、フルサイズ機では四隅が蹴られてしまい、暗くなるだけです。
超広角レンズの選び方とおすすめモデル
焦点距離と視野角
超広角レンズを選ぶ際には、焦点距離と視野角が重要なポイントとなります。焦点距離が短いほど広い画角を得ることができますが、その分「歪み」も大きくなります。自分の撮影スタイルに合った焦点距離を選ぶことが大切です。
絞り値と明るさ
超広角レンズは性質上、ここまで作例をご覧いただいた通り「ほぼパンフォーカス」となります。
「ボケ」を期待するのであれば、被写体に最大限近づいて、背景としっかり距離を置くしかありません。
もちろん超広角&明るいレンズを使えばボケ量も増します。キヤノンでいえば「Lレンズ」のクラスなら「F2.8通し」のタイプもありますが、中古であっても価格が跳ね上がります。超広角レンズにどこまで明るさやでボケを求めるか?がポイントとなってきます。
被写体に寄ればボケるが…

おすすめの超広角レンズ
市場には多くの超広角レンズが存在しますが、その中でも特におすすめのモデルをいくつか紹介します。
今回の私の作例は「EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM」です。
当時は「隠れLレンズ」とか「神レンズ」と言われており、キヤノン・APS-C専用レンズ(EF-Sマウント)の中でも評価の高いレンズでした。
現在、中古市場では1万円~2万円あたりが相場です。
他に私は所有していないですが、フルサイズ用「CanonのEF 16-35mm f/2.8L III USM」や、Nikonの「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」など、評価が高い高級レンズもあります。
“ときどき使う”というレベルなら、とりあえずお求めやすいレンズで大丈夫です。
以下はキヤノンのEFマウント・フルサイズ対応のもので、中古相場は2万~3万円あたりです。
ただし、広角側が20mmなので、一連の作例(フルサイズ換算16mm)や、前述のLレンズ(16mm)ほどの「超広角感」は得られない点、ご注意ください。
超広角レンズを使いこなすためのテクニック
再び作例を挙げつつ、テクニックをお伝えします。
歪みを活かした撮影
超広角レンズの特徴である歪みを活かした撮影テクニックを紹介します。被写体に角度をつけて撮影することで、実物以上の迫力や、誇張されたような距離感を表現することができます。
定番?の観覧車は大迫力!
フレーミングと構図
超広角レンズを使う際には、フレーミングと構図が本当に重要になります。広い画角を持つため、とにかく余計な要素が写り込みやすくなります。撮影前にしっかりと構図を考え、余計な要素を排除することで、より洗練された写真を撮影することができます。
楕円形の枠をフレームとして活用した例。
大広間をガッツリ全体で捉え、部屋の広さと荘厳さを強調してみました。
こちらの「真上を見上げる写真」も、超広角レンズを入手されたら実践してみてください!
超広角レンズの醍醐味です。
フィルターの活用
超広角レンズは、フィルターを活用することをおすすめします。特に風景写真では、NDフィルターやCPLフィルターを使用することで、空の色や水面の反射をコントロールすることができ、写真の見栄えが良くなるのです。
私のおすすめ、というより超広角レンズに合うのは「PLフィルター」です。
反射を抑える効果があるため、青空の青が強調されて、画角だけはなく色味もダイナミックになって、良い感じです。
群青色、といったほうがよいでしょうか。風景に加えて色も誇張されるので、好みが分かれるところかもしれません。
以下は、PLフィルターを付けっぱなしにしており、失敗した例です。
実際の青空がこんな色になったのではなく、PLフィルターの影響です。
PLフィルターは自分で回して、色の出方をしっかり確認しながら撮影すると素晴らしい発色を得られますが、忘れて何も考えずに撮ると不自然な色ムラが出てしまうので注意してください。
ちなみに…作例群が記事全体を通して暗い感じがするのは、実は「PLフィルター」をほぼ付けっぱなしにしていたからです🙇
皆様はご面倒でも、情況に応じてPLフィルターの角度を変えたり、外したりしてください。
まとめ:迷っているなら、超広角の世界へ一歩踏み出そう
超広角レンズは、少しだけ扱うのにコツがいりますが、使いこなせた時の「撮れた!」という快感は、他のどのレンズよりも大きいかもしれません。
ユニークな写真を撮りたい方には超おすすめ
超広角レンズは、その広すぎる画角と、それがもたらす独特の遠近感=パースペクティブを活かした撮影が可能です。
そのため、特徴的な写真を撮るうえでは非常に魅力的なアイテムとなりえます。
風景写真や建築写真、さらにはクリエイティブな表現をしたいときに、その真価を発揮します。
ただし、広すぎるが故に「写真の四隅」への配慮が必須となり、歪みや余計な写り込みに気を付けなければなりません。
他のサイトの作例、プロの作品なども参考にしていただき、超広角レンズの魅力を感じ取り、ぜひその価値を体験してみてください。
素直におすすめできない理由
作例を見ていただいて分かるように、広角端では「自然な写真」とは言えないものになりがちです。
気軽に「さぁ皆さんも手に入れてみてください!」とおすすめできない…と私は思ってしまいます。
望遠端(EF-S 10-22mmの場合は「22mm」側)で撮影すれば、一般的な広角レンズの画角に近い=自然な仕上がりとなりますが、それではわざわざ超広角レンズを手にしている意味が薄れてしまいます。
また、その特殊性のためか、超広角レンズは基本的に高額でした。それもおすすめしづらい大きな理由だったのですが、ミラーレス一眼カメラに市場が移行しきった(と言っても過言ではない)昨今、デジタル一眼レフの超広角レンズは中古市場でかなりお求めやすくなりました。
そういう意味では今後、ちょっとお試しで買ってみる、というのはありかもしれません。
自身にとって再発見となりました。
私自身が超広角レンズから長年離れているのですが、今回、記事作成のために過去の写真を選ぶうちに「多少の経験を積んだ今、もう一度じっくり使ってみたい!」と思えるようになりました。
そういう意味では、「やっぱり超広角レンズは面白い!」ということかもしれませんね。
新たな作例や、他のレンズを入手したときは記事として更新したいと思います。
見慣れた近所の景色や、いつものスナップ写真が、ファインダーを覗いた瞬間にドラマチックな世界へと変貌します。もし購入を迷っているなら、ぜひその一歩を踏み出して、あなただけのダイナミックな風景を切り取ってみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






















