【実写レビュー】1980年代のズームレンズ・SIGMA AF-λ 75-300mm f4.5-5.6

Sigma Old Zoom Lens

こちらの記事は、ひと昔前のシグマ製・望遠ズームレンズ「AF-λ(ラムダ) 75-300mm f4.5-5.6」の実写レビューとなります。
1980年代のレンズなので発売から40年以上経過しておりますが、かなりおすすめです。
中古市場においてお手頃価格で入手できるので、コスパ最強なのです!

目次

SIGMA AF-λ 75-300mm f4.5-5.6の基本情報

SIGMAの1980年代のズームレンズ AF-λ 75-300mm f4.5-5.6は、その時代ならではの技術と重厚なデザインを味わうことができる製品です。
何というか、安っぽくないんですよね。SIGMAのジャンクレンズをご存知の方は、「レンズ本体がベタベタ」というイメージがないでしょうか。このレンズは”そうなる前”の仕様で、本体にベタベタの原因となるラバー素材が塗布されていないのです。

デジタル一眼レフカメラ(α900)に取り付けると、こんな感じです。

カメラはSONY α900、フルサイズ機です。

重みのある「α900」には違和感なくハマりますね。実際、見た目だけではなく本当に重いですけどね…

現代のレンズと比較すると、ご多分に漏れず性能面で勝ち目はありませんが、描写力はなかなかの実力を感じます。
何より、一番の魅力はコストパフォーマンスの高さです。今回入手したレンズは、某リサイクルショップで専用ケース付きでなんと800円!そんなの見かけたら買ってしまいますよね。

プリン

いや…誰もがそうだとは限りません…

レンズの概要と歴史

SIGMA AF-λ 75-300mm f4.5-5.6は、1980年代に発売されたズームレンズで、当時としては軽量設計だったようです。今となっては普通に重く感じられますがのでご注意ください(笑)。
また、ズームの範囲も4倍で「当時としては」広い焦点距離が売りだったみたいですね。

λは「ラムダ」と読みます

ラムダって、なんかかっこいいですよね。
って…あれっ!?余談ですが、当時、三菱自動車が「ギャランΣ(シグマ)とλ(ラムダ)」というクルマを販売してました。恐らく、三菱ギャランのほうが先だったはず。シグマ社のレンズの製品名にラムダ。当時の粋な洒落だったのでしょうか(笑)。

スペックと技術的特徴

このレンズの主なスペックは、焦点距離75-300mm(フルサイズ)、最大絞りf4.5-5.6、オートフォーカス機能など今となってはオーソドックスな仕様で、もちろん「手振れ補正機能」はありません。

MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 58mm f1.4
センサーサイズフルサイズ対応
焦点距離75-300mm(フルサイズ) / 112.5-450mm(APS-C)
最大開放値f/1.4
マウント(本記事のレンズ)ミノルタマウント ※SR、MDなど
最短撮影距離0.60m
中古市場相場2000円~5000円前後

こちらが望遠側にズームした状態です。ズームは回転式ではなく「直進式」なので、撮影方向にまっすぐ前後させる仕組みです。

このレンズのような直進式ではなく、回転式が主流になったのは、微調整がしやすいからでしょうね。直進式も慣れればどうってことはないのですが、耐久性の問題もあります。古いものだと鏡筒の内部が摩耗してスカスカというものをよく見かけます。レンズを下に向けるとストン!と一気に伸びきってしまうのです。

こちら、左のほうは現代のレンズでは見られない「被写界深度目盛り」。通称「ヒゲ」ですね。

一番左側の数字が「絞り値」で、目盛りが望遠にいくほど狭くなっています。それと右側の「距離目盛り」で、ピントが合う範囲を判断します。枠の中に見える1.5が「1.5m」の意味で、これがこのレンズの「最短撮影距離」ですね。

このあたりを突き詰めていくと本題から逸れて長くなってしまうので、いつか別の記事としてアップします🙇

さらに右側の窓の中に「MACRO」の文字がありますが、皆さんが想像するようなマクロ撮影ができるわけではありません。何しろ最短で1.5mですからね…
それでも、当時は「マクロのモードに入るためのスイッチやレバー」付きのレンズが多数を占める中、通常からマクロへ意識することなく切り替わる点もこのレンズの強みだったようです。

嬉しいおまけ「専用ケース」

今回、こちらのレンズを購入した最大の理由は800円という破格値だったのが一番ですが、SIGMA 社特製・専用ケース付きだったことも大きかったです。

これ、可愛くないですか?今では絶対にお目に掛かれない「本革(調?)」の贅沢な造りで、橙色の糸のステッチがまたいい感じです。

収納時はこんな感じ。40年近く経過しているはずなのに、中の衝撃吸収材(スポンジ)も劣化無しでした。

とは言っても、このケースのまま持ち出して肩からぶら下げて歩いたことはありません(笑)。
でも、インテリアとして部屋に飾っても、いい雰囲気になるのではないでしょうか。
中古で、こういったケース入りで売られていることは稀なので、もし見かけたらゲットしておきましょう。
今のところは分かりませんが、価値がつくかもしれませんよ!?

実写レビュー

ここからは実際の作例をもとにレビューしてまいります。
舞台は名古屋市にある「東山動物園」です!

動物のアップや、爬虫類が苦手な方はご注意ください🙇

動物をアップで捉える

SIGMA AF-λ 75-300mm f4.5-5.6は望遠レンズなので、当たり前ですが遠くから動物をアップで撮れます。
使用したカメラ「SONY α900」の力もありますが、シャープな描写も期待できます。

のんびりお昼寝中?のサイ。

カンガルーも昼寝してました。こちらはシャープさが伝わらないかもしれませんが。

コビトカバ、2頭とも昼寝💧メリットは、全く動かないので撮影しやすいことですね(笑)。

ワニは起きていましたが、こちらも全く動かず。鼻にピントが合ってしまいました。
顔のアップは「目」に合わせましょう。

ナイルワニ

苦手な方、ゴメンナサイ。このヘビの写真のように、立体感がしっかり出るのもいいですね。

グリーンイグアナ。ボケに粒状感があるのは、ISO感度を6400まで上げているからです。
これはα900のほうに原因があって、今のカメラと比べて光を増幅させると早い段階でノイズが出始めます。

フラミンゴの並びが面白くて撮影。少しピントが合っていない感じがするのは手ブレしてしまった可能性があります。

以上、動物たちの写真でした。
撮影者(私)の腕のせいもあり、レンズの性能を伝えきれていない写真もあるかとは思いますが、古い割にはしっかり撮れるレンズという印象を受けました。

風景撮影での性能

このレンズは自然なボケ味を出すので、風景撮影にもおすすめです。背景をぼかして被写体を際立たせたいときに、理想的な仕上がりになるかと思います。ボケはスマホのカメラでは難しいのですが、望遠レンズでは簡単です。

オールドレンズではありがちなグルグルボケもなく、非常に自然ですね。

こちらはエスカレーターです。手前は完全に黒飛してますが、光の中に向かっていく感じが好きです。

こちらはキリンですが、メインはこのゴーストです。逆光ではこのように、豪快に現れます。
いわゆるレンズの弱点ですが、これを意図的に入れて被写体と組み合わせることで芸術性を高めるのもありです。

こちらは東山スカイタワーの一部を切り取り。かなり鮮明に細かいところを捉えてるのはよいのですが…この写真にも弱点が見えています。それは、両サイドの縦のラインが内側に少し曲がっていることです。

もちろん建物のラインが曲がっているわけではなくレンズの性能によるもので、この現象を「歪曲収差」と言い、その中でも内側に歪むものを「糸巻き型」と言います。逆に膨らむように歪む現象を「樽型」と言います。
詳しくはWikipediaを参照ください。

最新のカメラとレンズでは、技術の進化とデジタル補正の力によりほとんど起こりません。

歪曲収差を生かすのはなかなか難しいですが、ゴーストやフレアは上手く生かしている作例をネットでたくさん見つけることができます。ぜひ古いレンズをゲットして「光の魔術師」を目指してください!

動体撮影での性能

動体撮影においては、オートフォーカスの速度が現代のレンズに比べると遅いため、楽々というわけにはいきません。
それでも焦点距離の広さと描写力により、動きのある被写体も捉えることができます。特に、スポーツや野生動物の撮影に適しています。

こちらは通りすがりのカラス。動体というほどではありませんが、よく捉えられていると思います。

シロクマもよく動いてました。動体へのフォーカスは最新のカメラとレンズには全く敵いませんが、それでも合格点ではないでしょうか。

SIGMA AF-λ 75-300mm f4.5-5.6の魅力

コストパフォーマンス

実はこのレンズに限らず、300mmを望遠端とする、今となっては一般的な望遠ズームレンズの初期のものは、オートフォーカスのタイプでも中古市場において手頃な価格で入手しやすい状況が続いております。
特に今回の記事のレンズは、Aマウントといって、ミノルタからソニーに引き継がれたものの「ミラーレス」には引き継がれず、品質が良くても使う人が減り続け、どんどん需要が失われていることで中古市場では飽和状態です。

また、元々お手頃な価格設定の「ズームレンズ」は、レンズの明るさの決め手となる「絞り開放値(F値)」が、高級レンズに比べて暗いことも、安くなってしまう一因です。

簡単に解説すると、今回のレンズは広角端(75mm)で絞り最大開放値がF4.5、望遠端(300mm)でF5.6です。
高価なレンズは、このF値が小さい=明るいレンズとなり、ズームしても変動せず「F4通し」というタイプもあります。
明るいほうがボケ量も描写力も高くなるため、より魅力的なのです。高級レンズは中古市場でも大きく値下がりすることはありません。

ヴィンテージ感とデザイン

その他の魅力としては、1980年代のレンズということで、若干レトロなデザインが挙げられるかもしれません。被写界深度目盛りのヒゲなどは最新のレンズで見ることはないので、見ようによってはお洒落とも言えるでしょうか。

また、ヴィンテージ感は外観だけではなく、写真の仕上がりにも感じられるかもしれません。
最新のカメラとレンズのように、補正されすぎないため、良くも悪くもレンズのクセが感じられる写真を撮影することができると思います。

たくさんの用途で使える

もう一点、75-300mmという広い焦点距離範囲により、風景、ポートレート、アップなど、さまざまなシーンで活躍してくれるレンズです。広角側は厳しいですが、一本で多くの撮影ニーズを満たすことができる点も魅力と言えるでしょう。

SIGMA AF-λ 75-300mm f4.5-5.6の購入ガイド

購入時の注意点

このレンズを買いたい!と思ったら、当然中古市場を探ることになります。
ただ、実は「AF-λ」に絞り込んで探そうと思うと中古市場でもあまり見かけないため、「SIGMA 75-300mm」と言った感じで、少し範囲を拡げて探すのが良いかと思います。

※検索先の商品が記事のものと異なる場合があります。またマウントをよくご確認ください。

また、検索した後は商品の説明欄をよく読んで、状態や動作するものかどうかの確認が重要です。最低限、カビやクモリがないこと、オートフォーカスが正常に動作していることを確認できている個体を選択されることをおすすめします。

最も気を付けたいのは「マウント」です。古いレンズは「ミラーレスカメラのマウント」とは異なり、デジタル一眼レフカメラ用であることをご認識願います。
今回のレンズは「SONY(MINOLTA) Aマウント」、キヤノンであれば「EFマウント」、ニコンは「Fマウント」など。

もしミラーレスカメラで使いたい!という場合は「マウントアダプター」が必要です。
こちらも、メーカー純正のアダプターでないものは「オートフォーカス不可」のタイプが主流のため、お気をつけください。

おすすめの購入先

一番よい購入先は、専門の中古カメラショップです。保証がしっかりしていることが多いので、何かあったときに頼ることができるからです。
保証よりもお値段を重視するなら、フリマアプリでの購入がおすすめです。ただし、ハズレを引く可能性がショップよりも高くなることは否めません。
レビューや評価を参考にして、信頼性の高い出品者・ショップを選んで購入しましょう。

メンテナンスと保管方法

購入後は、メンテナンスを行うことで、長く使い続けることができます。
使用後はレンズ面にブロアーの風を当て、ほこりを落としましょう。
また、湿気の少ない場所で保管すれば、いつまでも良い状態を保つことができます。
うっかりその辺にポイッと置いて、劣化を早めないようにすることが大切です。

プリン

自分はちゃんとやってます、と言えるのかな?

フォトあ

…自信を持って「やってます!」とは言えません…💧

今回使用したカメラ、「α900」は、別の記事で詳しく触れておりますので、ぜひご一読ください。

あなたもぜひ、中古望遠ズームレンズの世界へ足を踏み入れてください。
レンズ沼、いやネオ・オールドレンズの新たな魅力に触れられるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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