マイクロフォーサーズは後悔するのでしょうか?
結論としては、後悔する可能性はゼロではありませんが、撮り方次第で、その魅力を引き出すことができます。
こちらの記事は、「マイクロフォーサーズ規格」のメリット・デメリットについて、ミラーレス一眼カメラ・オリンパスのPEN LITEシリーズを中心に、解説し、後悔する理由を考えてみたいと思います。
OLYMPUS PENシリーズっておしゃれなデジタル一眼の代表ってイメージかな✨
Lumixとともに、ミラーレス一眼カメラの元祖ですね📷
ミラーレス一眼の草分け的存在、それがパナソニックとオリンパスがこの世に送り出した「マイクロフォーサーズ」です。
「マイクロフォーサーズ 後悔」「マイクロフォーサーズ オワコン」というキーワードが検索されているようですが、その理由はよく分かります。
私もオリンパスのPEN LITEシリーズを購入し、同じ思いをしてきた人間です。
しかし、マイクロフォーサーズは初心者でも扱いやすい、おしゃれでかわいいなどのイメージ通り、最初に気軽に手にする「レンズ交換式カメラ」としてのメリットは十分ありますし、一眼カメラで写真を撮る楽しみも味わうことができます。
使い方を工夫すれば、たくさんの魅力を引き出すことも可能です!
ここからは、マイクロフォーサーズを買って「後悔」している方へ、「オワコン」と決めつけてしまった方へ、作例を交えつつ、メリット・デメリット両面から考察していきたいと思います。
条件が合えばこんな写真も撮れます✨
この記事を読んでいただいて、「お気に入りの写真が撮れた!」という結果になれば、心から嬉しく思います。
後悔の理由は”イメージセンサー”!?
後悔する理由のひとつに、写真の出来栄えに対する「物足りなさ」があるのではないかと思います。
それが、「マイクロフォーサーズ」というネーミングの元でもある「イメージセンサー」の大きさに起因している、というお話です。
こちらの作例は、かつて所有していたOLYMPUS 「E-PL2」と標準ズームレンズで撮影したものです。
…この感じなら、スマホのカメラでも撮れそうですよね。
この写真はまさに、E-PL2を買ったばかりの私が旅先でわくわくしながら撮った写真です。
カメラとレンズ買って、わざわざバッグに入れて、撮って「これか・・・」となった気持ち、分かっていただけるのではないでしょうか(笑)。
特にスマホは、デジタル一眼カメラに「追いつけ・追い越せ」の姿勢で日進月歩、超絶進化中です。
撮り方によっては、スマホに軍配が上がる時代に突入しているのです…
進化するスマホに勝ち目はあるのでしょうか?
続いての作例は、オリンパスのPEN LITEシリーズ「E-PL6」に、オールドレンズで撮影した写真です。
レンズは普及オールドレンズの代表格(?)、「SMC TAKUMAR 55mm f1.8」を、マウントアダプターを介して撮影しています。
少しピントが甘いですが、ネコの顔に焦点が合っていて、背景と前足はボケている、柔らかい印象の写真ですね。
ひとつ前の作例より、スマホとはちょっと違う雰囲気が出ているように感じないでしょうか。
「ボケ」が写真の印象を変える
郵便ポストの作例とネコの作例で大きく違うのは、「ボケ」の有無です。
この「ボケの範囲」が、レンズの種類とカメラの種類、またそれぞれの組み合わせ方で大きく異なってきます。
もしスマホで、郵便ポストの作例と同じ位置で同じように撮影すると、ほとんど差がない結果になるでしょう。
この作例のように、被写体だけではなく、背景も前景もクッキリ映し出された仕上がりのことを「パンフォーカス」といいます。映し出されたもの全てに、ほとんどピントが合っている状態のため、どこに何があるかハッキリ分かるという利点はありますが、主題が明確にならないというのが大きな欠点となりうるのです。
赤いポストの作例がスマホと違いがないように感じる理由は、「全体にピントが合っているから」だとすれば、差をつけるためにはどうすればよいのか、というと、焦点の合っている被写体はくっきり・背景はボケている作品になれば、スマホと差が付けることができるはずです。
この「ボケ量」を左右する原因のひとつとして、「イメージセンサーの大きさ」が挙げられるのです。
ボケの具合はレンズの性能(最大開放F値)大きく影響してきますが、カメラ側では「イメージセンサーが大きいほどボケる」という理屈があります。
そこで、マイクロフォーサーズの規格はどうなの?という話になるのですが…
「レンズ交換式カメラの中では、イメージセンサーが小さい部類に入る」
のです。
後述しますが、キヤノンやニコン、ソニーで売れているミラーレス一眼のフルサイズは、一回り~二回り大きいので、ボケ量で負けてしまいます。
例えば、プロの作例のようなボケ量を期待していたのにそうならない⇒期待値に到達しない⇒デメリットとなる~後悔する~可能性があるのです。
そもそも、初めてカメラを買うときに「イメージセンサー」など意識して買うか?というと、恐らくほとんどの場合そんなことはないと思います。私自身、初のデジタル一眼レフカメラ「キヤノン EOS KISS DIGITAL 初代」を購入したとき、「これがAPS-Cか…」など考えてもいなかったし、知識すらありませんでした。
「普通のコンデジより凄い写真が撮れるに違いない!」程度の認識でした(笑)。
あらかじめ知識があれば別ですが、「とりあえず買ってみたい」というレベルであれば、見た目が良いか?とか、価格や評判、売れ筋なのか評判はどうか、などがポイントですよね。メーカー公式サイトなども「オートフォーカスの性能」や「画素数」などがセールスポイントになっていて、本当に「何もかも初めて」という初心者に向けてイメージセンサーの話は、ほとんど出てこないのです。
カメラって、後から知ることが多すぎですよね…💧
実際にイメージセンサーを見てみましょう
ということで、具体的にイメージセンサーとは何かという話をすると、「レンズを外したとき、カメラ本体側の奥のほうに見えるキラキラした部分」で、デジタル写真の素になる重要な箇所です。フィルムカメラでいう、まさに「フィルム」の役割をしているところなのです。
ミラーレス一眼カメラではイメージセンサーは”むき出し“なので、レンズを外せば自然と目にすることになりますね。
次の写真をご覧ください。中央のオーロラみたいにキラキラしたところがイメージセンサーです。上のカメラがオリンパスの「E-PL6」で、マイクロフォーサーズ。下のカメラはキヤノンの「EOS M10」で、APS-Cという異なる規格のイメージセンサーです。
少し暗くて分かりづらいですが、同じミラーレス一眼カメラでも、大きさが異なることがお分かりいただけるでしょうか。
…余談ですが、「デジタル一眼レフカメラ」から入った私にとってイメージセンサーは、通常「シャッター幕の後ろ」に隠れるように鎮座していて拝むこともできませんでした。なので、埃や外気に絶対に触れてはいけないような雰囲気で、「清掃モード」のときだけお姿を現す、いわば「ご神体」のような存在と思っていたのです(笑)。なので、ミラーレス一眼カメラを初めて見たとき、レンズやボディキャップを外せばいとも簡単に、そのままの姿をさらけ出してしまうスタイルに違和感を覚えたものです…
デジタルカメラの場合、捉えた風景、被写体は「レンズ→イメージセンサー→画像処理→写真データ(メモリーカード等に記録)」という流れで写真が生成されるのですが、このイメージセンサーの大きさがそのまま写真の範囲(画角)となるのです。
そして、マイクロフォーサーズ(以降、省略して”M4/3“と表記します)は「レンズ交換式カメラ」の中でもイメージセンサーが小さい部類に属します。
M4/3だけ使い続けていればよいかもしれませんが、いずれ「ボケ味が足りないような…?」と感じるときがやってくるかもしれません。ネットなどでほかの人の様々な作例を見るうちに、「こんなボケが欲しい!」となったとき、どうしても同じようなボケが得られず、調べていくうちに「M4/3の大きさが原因だった」となる場合も出てくるでしょう。
“将来的に”後悔するかもしれない、とはそういう意味なのです。
…このままでは「やっぱりオワコンじゃないか」という声が聞こえてきそうですね。
ここからはもう少し深く、M4/3の魅力と使い方、後悔する可能性のあるポイントについて詳しくお伝えします。初心者の方でもわかりやすく、レンズの選び方からカメラの設定などにも触れていきます。
もちろんよいところもたくさんありますので、ご安心ください。PENシリーズのカメラには楽しい機能がありますし、楽しいレンズが「安価」でいろいろ揃えることもできます。ぜひ参考にしてみてください。
※作例は、引き続き私が現在所有している「OLYMPUS PEN Lite E-PL6」を中心に解説してまいります。
イメージセンサーの大きさの違い
イメージセンサーがM4/3のカメラといえば、「オリンパス PENシリーズ」や「パナソニックのLUMIXシリーズ」が該当しますが、写真撮影の世界に足を踏み入れたばかりという方は、意識したこともないかと思います。
ちなみに、私のオリンパス・ペンのイメージは宮崎あおいのCMです♪
おぉ…かなり昔の話を…しかも今関係ないし💧
改めて「マイクロフォーサーズ」とは、様々な種類があるイメージセンサーのひとつ、と覚えておきましょう。
そして、今や主流となった「ミラーレス一眼カメラ」が、2008年にパナソニックから世界で初めて発売されたときに採用された規格です。
パナソニックのLUMIX Gシリーズ、オリンパスのPENシリーズがよく知られているかと思います。
では、イメージセンサーが小さいとどうなってしまうのか?実際の写真で確認していきましょう。
ボケの範囲が大きく変わる
以下の写真で「3種類のイメージセンサー」の大きさを比較してみました。
どういう条件かというと、「同じ場所」から「同じレンズ」で、ズームも一切無しという条件のもと、カメラ本体のみ「マイクロフォーサーズ機」「APS-C機」「フルサイズ機」の3種類で撮影した場合、を想定しています。
こちらの作例は、実際はフルサイズ機(黄色枠)で撮影した写真ですが、M4/3とAPS-Cのイメージセンサーで撮影した場合にどのような範囲になるのか、枠線を引いて示しています。
結果、写真内の枠で示したような「撮影範囲の差」が出ることがお分かりいただけると思います。
実例を見ていただくと一目瞭然。「フルサイズ」が、いきなり圧勝ですね。
フルサイズは、かつての「35mmフィルム」とほぼ同等のサイズということもあって、プロであれば必ずと言っていいほどフルサイズのカメラを仕事で使用しています。
今回の主役、M4/3機がこの中では最も範囲が狭いですね。
ここで、本記事の最初のほうでUPしているネコの写真を思い出してみてください。こちらの写真の青い枠が、まさに該当するのがお分かりいただけるでしょうか。
状況に関係なく、同じレンズを使って同じ場所で撮影しても、カメラのイメージセンサーが異なることで、常に作例に引いてある枠線のような「画角の差」が出るのです。
そのため、「フルサイズ換算」という用語が存在します。レンズの焦点距離はフルサイズ、つまりフィルムカメラ時代から長い年月に渡り浸透してきた35mmフィルムの画角が受け継がれ、ひとつの基準となっています。
M4/3やAPS-Cで撮影した場合、「フルサイズのカメラで○mmのレンズを使っているのと同じ」、と考えるのです。
M4/3の場合はフルサイズの約2倍、画角が拡大(≒ズーム)される計算となります。
例えば「M4/3で焦点距離25mmのレンズを使うこと」は「フルサイズで50mmのレンズを使うこと」と同等である、という意味です。
上記の写真であれば、M4/3機「E-PL6」に「25mmのレンズ」で撮影したら、できあがる写真は同じような範囲(画角)になるはずです。
イメージセンサーを意識しておくと、買った後に後悔しなくて済むので、覚えておきましょう。
キヤノンのミラーレス一眼カメラの例になりますが、「CANON EOS Mシリーズ(開発終了)、Rシリーズ(R7,R10,R50,R100など)」がAPS-C機。
フルサイズ機は「CANON EOS Rシリーズ(R3,R5,R6,R8,RPなど)」などがあります。
「ミラーレス一眼カメラ」の中でも、センサーサイズは大きく上記で挙げた3種類に分けられます。
※デジタル一眼レフカメラも同じ様に分けられますが「M4/3」は存在しません。
なお、フルサイズを超える「中判」というサイズもありますが、プロ向け且つ高額、そして私自身が所有していないため、ここでは割愛させていただきます…
さて、距離だけの問題であれば、「撮影位置を変えてしまえば済む話じゃないか(自分自身が後ろに下がるだけ)」と思われるかもしれませんが、どうしても差が出てしまうポイントがあります。
それが最初に挙げた、「ボケの量」です。
ボケとは、ピントが合っている被写体の前後に写っているものの輪郭がボヤけて、ハッキリしない状態をいいます。
レンズの性能にもよりますが、そもそもイメージセンサーがM4/3よりも、もっと小さなスマホやコンパクトデジカメではボケの表現が難しいため、ボケを生かした写真を撮るのが、レンズ交換式カメラを使う醍醐味のひとつなのです。
上の作例で、「フルサイズ」はボケが広範囲にわたり、背景にあるものが何か認識できないほどになっています。
それが「マイクロフォーサーズ」では、写真の範囲がネコとその周りだけとなっており、レンズの特徴を生かしきれていないことが分かるかと思います。
自分が後ろに下がって撮影すれば、当然上の写真の最大幅での撮影も可能ですが、フルサイズと同じボケ量は得られないのです。
であれば、ボケを求めるなら最初から「APS-C」や「フルサイズ」のカメラを入手したほうが得策、ということになりそうですね。
ボケ量は絞り開放値、いわゆる「F値」が目安となります。次の章で詳しく解説します!
“レンズ”が後悔の理由になる可能性も…
ボケ量に関して言うと、イメージセンサーだけではなく「レンズの性能」も大きく影響します。
結論としては「F値」と呼ばれる開放絞り値の数字がより小さい、明るいレンズを使うことがおすすめです。
よくある「キットレンズ」は便利ですが、開放絞り値が暗い=ボケ量が乏しくなるので、キットレンズだけでカメラの性能を評価することは、あまりおすすめできません。
特に「ダブルズームレンズ」などは、一眼カメラを使う醍醐味を味わうには遠回りです。
いやいや、ズームレンズが2本も付いてるとか、めっちゃお得ですよね♪
それが単純にそうとも言えないのですよ。
こちらの作例ですが、オリンパスPEN-LITEシリーズにセットでついてくる「標準ズームレンズ」で撮影したものです。
写真の情報を見ると、F値は「4」でした。かなり昔に撮影していて記憶があいまいですが、恐らく手前の車輪に焦点を当てていると思います。それなのに奥の売店の小さな文字まで読めるほど、写真全体がハッキリしていて「パンフォーカス」といっても過言ではないです。
どうしても平凡な写真に見えてしまいませんか?
これでは「スマホ」で撮影しても、出来栄えに大差はありません。
ボケ量は好みの問題でもあるので、それが全てではありませんが、わざわざカメラ本体とレンズを数本持ってお出かけするなら、スマホでは撮れない写真を撮りたいですよね。
なので、おすすめなのはキットレンズではなく、「F値の数字ができるだけ小さいレンズ」を使用することです。
こちらの作例はサードパーティー製(社外品)のレンズですが、最大開放絞り値は「1.8」で、キットレンズでは出せないボケを表現できます。
被写体との距離もまたボケ量に影響しますが、まずまず「雰囲気のある写真」になっているかと思います。
F値とイメージセンサーの関係について
少しオマケ的なコーナーです。
イメージセンサーによりボケ量が乏しくなる、とお伝えしてきましたが、F値をどう見たらよいのでしょうか。
焦点距離は画角の変化を「フルサイズ換算」により、数値化できるのですが、絞りはちょっと複雑な話になるので単純に「F値換算」はできません。
しかし、ボケの量だけを対象とするなら、おおよその目星は付けられます。
その基準は「フルサイズ換算に近い」と覚えておいてください。
例えば、以下のような感じです。
・マイクロフォーサーズで「F1.8」なら、フルサイズでは2倍付近の「F3.5」相当のボケ量
・APS-Cで「F1.8」なら、フルサイズでは1.5倍付近の「F2.5」相当のボケ量
F値に慣れている方なら、マイクロフォーサーズにおける明るいレンズは、フルサイズだと「キットレンズ」の最大開放値あたりのボケ量になってしまうことを実感いただけるのではないでしょうか。
キットレンズで工夫してみよう
ということで、ぜひF値の小さな明るいレンズを買ってくださいね!
…という結論ではさすがに乱暴ですので、キットレンズでも「撮り方」を工夫することで、違った雰囲気の写真が撮れることを確認していきましょう。
個人的な感想になりますが、「ボケ」が綺麗だとスマホとの差を感じられるかと思います。
とりあえずボケを際立たせるコツは「被写体に近づいて撮影すること」です。
次の作例はダブルズームキットの望遠レンズ、「M.ZUIKO DIGITAL 40-150m F4-5.6」を使用しています。
最大ズーム(150mm)の状態にして(望遠端といいます)、花を狙い、奥の草花がボケるように撮影しています。
最も望遠にしたとき(望遠端と言います)、絞り値は最大開放でも「F5.6」なので、決して「明るいレンズ」には程遠いのですが、撮り方で背景がボケることが伝わるかと思います。
続いて、キットレンズの標準ズーム、「M.ZUIKO DIGITAL 14-42m F3.5-5.6」にて撮影。
望遠レンズの作例より、花に「寄って」撮影しています。こちらも背景がしっかりボケてくれました。
通りすがりのワンちゃん。こちらも背景は緩やかにボケています。
花の作例に比べると、ワンちゃんとの距離が大きいため、ボケ具合は小さくなりました。
こちらは少しだけ玉ボケ。イルミネーションなど、背景にしっかりした「点光源」があれば、もっとちゃんとした玉ボケも可能です。
御手水(ちょうず)の波紋を捉えてみました。もう少しピントが合うと良かったのですが…
奥のほうがボケていて、いい感じです。
ボケが全てではありませんが、本体とセットで付いてくるキットレンズでも、ここまで表現できます。
「パンフォーカス」の写真より雰囲気が出るので、ぜひ試してみてください。
単焦点レンズに挑戦しよう!
明るい単焦点の入門レンズなら、こちら
キットレンズのコーナーの前に、F値の数字が小さいほど「明るいレンズ」と呼ばれ、ボケ量が大きくなることをお伝えしました。
また、明るいレンズはズームレンズではなく「単焦点レンズ」のほうが多く、おすすめです。
最初はズームしない不便さを感じますが、一本でも手元にあると、写真の表現力が深まることに気づくはずです。撮影意欲も高まり、後悔したはずのカメラに再度魅力を感じるきっかけになるかもしれません。
こちらの作例は、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm f2.8」で撮影したものです。
単焦点レンズの中ではリーズナブルで、サイズも「パンケーキレンズ」と表現される薄型のレンズです。かさばらないので、カメラに付けっぱなしにできるのがいいところです。
なんといっても開放絞り値が「f2,8」とキットレンズに比べて明るいレンズなので、背景をよりボカすことができます。
※同じ焦点距離で開放絞り値が「f1.8」のタイプもあります。当然、こちらのほうがよりボケるのですが、一気に割高となります。
明るい”オールド”レンズはいかが?
上記の2本は純正の「明るいレンズ」ですが、開放値が大きいほど(F値の数字は小さくなる)、レンズは比例して高額となります。
そのため、ここではリーズナブルに入手できる「明るいオールドレンズ」をおすすめします。
本記事の最初に示した作例を、もう一度ご覧ください。
詳しくいうと、「SMC TAKUMAR 55mm f1.8」というオールドレンズで撮影しています。
こちらのレンズは比較的安価で中古市場で大量に出回っており、入手しやすいレンズです。
オリンパスの純正品で「f1.8」のタイプは4万円前後ですが、このオールドレンズであれば数千円で購入できます。
オールドレンズを扱う際の注意点として、
- M4/3マウントとレンズ側のマウントをセットするマウントアダプターが必要
- マニュアル(手動)フォーカスで、オートフォーカスが効かない
- 「絞り」「フォーカス」はレンズ側で手動操作が必要
マウントアダプターがあれば、マイクロフォーサーズマウント以外のレンズが装着できるようになります。
今回使用しているレンズは「M42」という規格になり、オールドレンズではメジャーなタイプです。
そのため、レンズ側のマウントを差し当たり「M42マウント」で揃えておくと、アダプターひとつでM42マウントのレンズを複数扱うことができるので、おすすめです。
オールドレンズに特化した記事も書いておりますので、よろしければご参照ください。
ボケ量は、イメージセンサーの比較写真のとおりです。
オールドレンズはフルサイズ(≒昔の35mmフィルム同等)の画角を想定した設計なので、マイクロフォーサーズ機ではレンズが本来映し出せるはずの、かなりの範囲が犠牲になります。
これを後から知ったら、がっかりすることになる、というのが冒頭で述べた「将来的に後悔する理由」でしたね。
そうは言っても、M4/3だってスマホやコンパクトデジカメに比べたら遥かに大きなイメージセンサーです。
ボケをそれほど強く求めないのであれば、選択肢として十分検討する価値があります。
また、「小さくて軽い本格的なカメラ」という点を重視するのであれば、一気におすすめ度がUPします。
街中で・人混みで、ドでかいデジタル一眼レフカメラを構える勇気がありますか?私は、正直無いです(笑)。
ということで、ここからはメリットについて触れていきましょう。
コンパクトさと携帯性で断然優位!
マイクロフォーサーズ規格は、カメラもレンズもとにかくコンパクトなのが特徴です。
本格的な写真撮影はしたいけど、レンズ交換式カメラは重くて目立つから…と敬遠していた当時のカメラユーザーにとっては救世主だったことと思います。
ボディサイズが小さく、軽量なので持ち運びが簡単
マイクロフォーサーズのカメラは、コンパクトで軽量なボディなので、旅行やアウトドアでの撮影など、移動が多いシーンで大変重宝します。長時間の撮影でも「重くて疲れる…」という心配も不要です。
デジタル一眼レフカメラは、それ自体が一番の荷物になるといっても過言ではありません💦
レンズも凄く軽い!どんなバッグにも収まる大きさ
マイクロフォーサーズ用のレンズも、カメラ本体と同様に小型・軽量化されています。サイズも小さければ素材もプラスチックがメインなので本当に軽く、本体とレンズを合わせた重さが「フルサイズ用のレンズ1本」より軽い!なんていうこともあります。
こちらの2つのレンズは、左がM4/3用、右がフルサイズ用(APS-Cでも使用可)の望遠ズームレンズです。
“フルサイズ換算”すると、ズームの範囲はほぼ同じ!
なのにサイズは、右が500mlのビール缶なら、左のM4/3望遠レンズは200mlの缶コーヒーといった感じでしょうか。
一目瞭然ですが、PENなら望遠レンズを持ち出すときも、大きなカメラバッグを用意する必要もありませんね。さすがに紙袋やきんちゃく袋のような、ペラペラのバッグではぶつけたり落としたりすると壊れてしまう危険性がありますが、保護さえしっかりできていれば、いつものカバンの片隅にでも入ります。また、レンズ交換式カメラなので複数のレンズを携帯する場合も多くなるかと思いますが、大きなデジタル一眼レフのように劇的に重くなり、かさばる心配もありません。
コンパクトカメラのように扱える
マイクロフォーサーズの中でもPEN LITEシリーズなどライトユーザー向けの機種は本当に小さくて軽いので、コンパクトデジカメから乗り換えてもそれほど差を感じなくて済むはずです。
これは、フルサイズ機を主に使っている筆者にとっても、結構大きなポイントです。
カメラ本体とレンズで、肩に掛けたらぐいぐい食い込むような大型のデジタル一眼レフカメラに比べると、肩に掛けているのも忘れるほど軽いマイクロフォーサーズ機は、街で人にぶつけてケガをさせる心配もほとんどないので、人の多い場所ではとても重宝しています。
じっくり撮りたいときは大きなデジタル一眼レフカメラ、移動しながらバシバシ撮りたいときはPEN、といった感じでシーンによって使い分けることも可能です。
「デジタル一眼カメラ」としての実力も
最初に「フルサイズ機」と「APS-C機」と比較すると現像される範囲が狭い、とお伝えしましたが、それでも「レンズ交換式カメラ」というジャンルは同じです。レンズと写真の関係より、とにかく重くてデカくて持ち運びにくいデジタル一眼レフはムリ!という方には一転、”超”がつくほどおすすめのカメラとなります。
もちろん「ボケ」を意識した写真も撮れます
繰り返しになりますが、マイクロフォーサーズのセンサーサイズは小さいです。そのため、APS-C機以上のカメラと比べるとボケ具合は弱くなりますが、スマホや一般的なコンパクトデジカメに比べたら圧勝です。当然、レンズの性能に左右される部分ではありますが、撮影方法をしっかり工夫すれば、上に挙げた例のようにキットレンズでも背景もしっかりぼかすことができるので、被写体をより際立たせる「レンズ交換式カメラ」ならではの仕上がりが期待できます。
以下の作例は「何の写真?」と思われそうですが、手前の被写体に対して、背景がしっかりボケていることを確認いただけるかと思います。
使用したレンズの絞り開放が最大「f1.8」なので、ボケ量が得られやすいタイプです。
このレンズはオールドレンズではなく、サードパーティー製のマニュアルレンズです。
変わり種のレンズも「M4/3マウント」のものが、いろいろ販売されています。中古市場で格安なレンズを見つけたら買ってみるのもよいでしょう。
こんな感じで、物撮りやポートレートなど、美しいボケを活かした写真を撮影したい場面でも期待に応えてくれます。
カメラ本体もレンズ本体も当然、PEN LITEシリーズに代表される初心者向けから、上級者向けのOM-Dシリーズまで、多種多様です。
こちらのブログでは、「お気軽にカメラライフをスタートさせる!」のテーマ通り、低価格で入手できる機材を紹介しますが、プロ向けのシリーズはレンズも含めて多数用意されております。
予算があれば、いきなり上位機種から入る、というのもよいかもしれません。
なので、こちらの記事はM4/3への導入程度にお読みいただけましたら幸いです。
実は初期のシリーズから画素数が高め
マイクロフォーサーズのミラーレス一眼カメラはデビューが2008年。デジタル一眼カメラ界では比較的新しいため、当初から画素数が高めです。パナソニックの初代、「LUMIX DMC-G1」はいきなり1210万画素。オリンパスPENシリーズの中でも初心者向け、「PEN LITE」というクラスがあるのですが、こちらも初代「E-PL1」から1230万画素を誇ります。
キヤノンのデジタル一眼レフのエントリーモデル、「EOS KISS DIGITAL 初代」が約600万画素だったことを考えると、できあがった写真の”画質”にがっかりする、ということはないかと思います。
遊べるレンズから本格レンズまで!選ぶのが楽しい
マイクロフォーサーズのレンズは、本格的なプロ向けのレンズとなるとなかなかの高額で気軽に手を出せませんが、安価でお気軽に試せるレンズも多数用意されています。
とりあえずダブルズームキット(カメラ本体+広角ズームレンズ+望遠ズームレンズ)を購入すれば、広角~望遠まで広い範囲をカバーできます。ただし最初に述べたとおり、より特徴ある写真を撮りたい場合は、キットレンズ以外がおすすめ。開放F値の明るい単焦点レンズは、純正もあればもっと安価な海外製のレンズも存在します。
「じぶんカメラ的おすすめ」は、ボディキャップ?と見間違えるほどキャップ感溢れる薄型魚眼レンズです。こちらも安価ですが、なかなか本格的な写真が撮れます。
以下で、いくつかご紹介します。いずれそれぞれのレンズに特化した記事を書く予定です。
ボディキャップなのに魚眼レンズ!?
おすすめの1本は、間違いなく魚眼レンズ界最安・最軽量を誇る、オリンパスのボディキャップ・フィッシュアイレンズです。
中古の相場で5,000円台から探すことができます。
視界が丸く映る、楽しいレンズです。
こちらは設定を白黒にして撮影した写真。異空間にいざなわれそうな雰囲気になりました。
なかなか良い作例がないのが申し訳ないのですが、このサイズでここまで表現できるのか、というくらい本格的な魚眼レンズとして撮影することができます。
アートモードで遊ぼう
レンズだけではなく、本体の機能も遊び心がいっぱいです。
OLYMPUSのカメラには、いろいろなエフェクトが楽しめるアートモードが用意されています。
私は基本、写真を加工しない派なのですが、PENシリーズで撮影するときはアートモードにして思いっきり楽しんでます(笑)。
※作例は「OLYMPUS PEN Lite E-PL6」のものです。機種により選択できるモードは異なります。
買ったその日から楽しめるアートモード
オリンパスのミラーレス機は「アートモード」といって、あらかじめエフェクトをかけた状態で撮影できるパターンが盛りだくさんで、かなり楽しめます。
以下の作例は、アートモードの中でもおすすめ、「ドラマチックトーン」で撮影した空と雲です。
まさに暗雲垂れ込めるといった感じで、これから大嵐がくる、もしくは大嵐真っただ中である雰囲気が強調されていますね。
実際はここまでおどろおどろしい雲ではなく、明暗・コントラストが強調されることで、絵画のような迫力のある写真に仕上がるのです。
同じドラマチックトーンの中にもパターンがあり、好みの色味に調整することもできます。
アートモードに限らず、他にもいろいろな撮影モードがあります。今どき、スマホにも標準で多彩なエフェクトが搭載されておりますし、写真加工アプリも無料で入手可能です。
こちらはトイカメラモードです。枠の有無も設定可能です。
私が最初にPEN LITEシリーズ、「E-PL2」を購入したのは十数年前。まだまだガラケーが主流で、カメラも基本的な機能しかなかったと思います。
その頃に比べると、新鮮味はあまりないかもしれませんが、高機能なレンズ交換式カメラで映し出される加工写真を味わってみてほしいと思います。
まとめ
マイクロフォーサーズ規格のカメラは、イメージセンサーの大きさという点で、フルサイズ機やAPS-C機には負けてしまいますが、使いやすく、楽しいカメラということが伝わりましたでしょうか。
プロ仕様の「フラッグシップモデル」から、入門にちょうどいい「エントリーモデル」まで、その用途や目的に応じるかたちでカメラもレンズも用意されています。
エントリー機であっても、写真にそこまで差が出るということはないので、趣味であればエントリー機で十分でしょう。
オリンパスはカメラ事業から撤退
しかし、マイクロフォーサーズ規格を取り巻く状況は、ちょっと深刻だったりします。
誕生した当時は「ミラーレス一眼」というジャンルを開拓し、パナソニックとオリンパスの独壇場でした。ところが今では、デジタル一眼レフのみだったキヤノンもニコンも、ミラーレス機に主戦場を移しており、競争は猛烈に激化している状況となっております。
さらにはスマホのカメラ機能の進化も目覚ましく、ライバルがいろいろな方向から押し寄せていて、まさに正念場と言えるでしょう。
記事では「オリンパスの」と書いておりますが、当のオリンパス社はカメラ事業を手放してしまいました。
ただし、オリンパスのカメラたちは現在「OMデジタルソリューションズ」という企業に引き継がれており、開発も継続しております。
オリンパスのカメラが無くなるわけではないのですが、ミラーレス市場を開拓した会社が、それを続けられないという現実は悲しいことですね。
カメラをおしゃれに始めるなら、マイクロフォーサーズ
いい写真を撮りたいけど、大きくて重くて目立つデジタル一眼カメラはちょっと、と躊躇しているなら、マイクロフォーサーズのミラーレス一眼から始めてみましょう。
街中でも旅行先でも、本当に目立つことなく、スマートに写真撮影ができるでしょう。
新品でも、エントリーモデルであればそこまで高額ではありません。
紹介させていただいた単焦点パンケーキレンズ、ボディキャップレンズなど、遊べるレンズも本当におすすめです。
ぜひ、マイクロフォーサーズを手に入れて、写真撮影の楽しさを体験してみてください!
同じミラーレス一眼で、キヤノンのMシリーズについても以下の記事で触れていますので、こちらも参考にしていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。